5/20〜5/26
5/20
改めて菫ちゃんに「おめでとう」って伝えたら、真っ赤になって「ありがとう」って言われた。
もう! 恋する乙女の菫ちゃんが可愛すぎる!
昨日話したけど今日も聞きたくて、昼食は非常階段で食べた。
そしたら、ダブル鳳城がやってきた。
いや、本当にこれ「運命」なの?
でも、運命以外で説明できないしなぁ。
まさか菫ちゃん、琥珀くんにストーカーされてる?
いやいや、同じクラスならまだしも、違うクラスなんだから尾行は難しいはず。
運命以上に菫ちゃんと琥珀くんのカップルは結びつきが強いってことなんだろう。
ってか、玻璃野郎にお弁当取られた。
代わりに玻璃野郎のコンビニおにぎりを投げられた。
あいつは、私をなんだと思っているんだ。
現実では言えないけど、日記だから言ってやる!
プンスカプンだ!
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5/21
朝、机の上にお弁当が3つあるから両親がハイキングにでも行くのかと思ったら、ダブル鳳城の分だと言われた。
えええええええええ! なんでそうなった!
抗議したら、私が怒られた。
ひどい、グスン。
理由は、昨日の夜、店に食べに来た玻璃野郎がお弁当を褒めまくったらしい。
あいつめ、お母さんを手玉にとるとはけしからん。
そのせいで、私はダブル鳳城にお弁当を届けるという不名誉を背負うことになった。
まぁ、NECTでお昼休みの集合場所を非常階段にしたから、菫ちゃん以外にはバレずに渡せたんだけどね。
これで私のお弁当が取られなくなったと思えば、よかったのかもしれない。
けど、これから毎日一緒に食べるのか。
誰かにバレた時、ものすごくヘイトを向けられそうな気がする。
うーん……お弁当渡している時点で一緒か。
菫ちゃんと琥珀くんは幸せそうだしな。
バレたらバレた時だな。
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5/22
常連さんが、海外旅行のお土産をくれた。
ヨーロッパに行ってきたらしく、チョコレートと可愛い手鏡だった。
ご飯は美味しかったけど、日本食が恋しくなったとのこと。
日本に帰ったら絶対にお店に来ると決めていたらしい。
「落ち着く、美味しい、安心する」としきりに言っていた。
海外のご飯がどんなだったのか聞いていたら、ワインの話になった。
なんでもドラキュラが愛したワインがあるそうで、それを飲んでみたかったけど欠品中で飲めなかったらしい。
ドラキュラ伝説は、世界各国にあるそうだ。
「今もひっそりと生きているらしいよ」と脅されたけど、特別怖いとは思わない。
吸血鬼だろうが、人間だろうが、動物だろうが、襲ってきたら何だろうと怖いんだから。
まぁ、本当に生きているんだとしたら生きづらいだろうなと思う。
SNSで拡散されて、見世物にされそうだもん。
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5/23
昨日もらったチョコレートを、菫ちゃんと食べようと思って持ってきた。
お昼休みに「昨日こんな話をしたの」とお土産をもらったことと吸血鬼の話をしたら、菫ちゃんの顔色が悪くなった。
怖い話が苦手だったみたいで、必死に謝った。
琥珀くんが菫ちゃんの背中を撫でて安心させようとしているのを申し訳ない気持ちで見ていたら、玻璃野郎にチョップされた。
菫ちゃんに怖い思いをさせてしまった罰を甘んじて受けたのに、「お前、悲しんでるくらいが丁度いいな」と言われた。
あいつは、私に対して酷すぎじゃないだろうか?
帰りにもう1度だけ菫ちゃんに謝ったら、「私こそごめんね。もう大丈夫だから」と言われた。
なんて優しい子なんだろう。
もう2度と怖い話はするまい。
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5/24
菖蒲ちゃんに「蘭ちゃんに気をつけた方がいいよ」と言われた。
何が何だが分からなくて、放課後一緒にアイスを食べに行ったら詳しく教えてくれた。
なんでも今まで学食に姿を現していたダブル鳳城が来なくなった時期と、私と菫ちゃんが教室以外で食べはじめた時期が一緒だから、怪しいと思い、どこで食べているのか探ろうとしているらしい。
「あんたら、後つけられてるからね。一緒に食べてるんならマジで気をつけなよ」と心配してくれた。
菖蒲ちゃん、君もなんていい子なんだ。
私は菖蒲ちゃんのことも大好きだよ。
それにしても、教室から非常階段まではそこまで距離がないのに、蘭ちゃんを撒けていたことが不思議。
ただ単に蘭ちゃんの尾行が下手なんだろうけど、なんか引っかかる。
なんだろうなぁ。分からん。
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5/25
今日は夜だけバイトなので、昼間はワッフルを食べに行った。
クロワッサンをワッフルにしたスイーツなんだけど、中々の美味だった。
欲を言えば、お持ち帰り限定じゃなくて、美味しいコーヒーといただけるカフェコーナーがあればいいのって思う。
最近、テイクアウト限定のお店が多いよね。
どこで食べたらいいんだろうって、本当に悩む。
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5/26
バイトが終わって帰ろうとしたら、何故か玻璃野郎に待ち伏せされていた。
お父さんもお母さんも明日の仕込みやら何やらで帰宅は遅くなるから、私は先に帰るんだけど、今日ほど一緒に帰ればよかったと思うことはなかった。
だって、約束もなく待っていたくせに「おせぇ」って不機嫌になられるし、「ちょっと付き合え」と言った後は何も話さないという始末。
到着した先は、私の家という意味分かんない状況になった。
仕方ないから「何の用だったの?」と問いかけたら、「別に。ちょっと治安が悪化したからな」と私の頭をポンポンして帰っていった。
え? 私、心配されたの? なんで?
え? え? 玻璃野郎が私を気にかけたの?
気づいたら顔が熱かったから、真っ赤だったと思う。
信じたくないけど、あの時、私は確かに「トゥクン」と胸を鳴らした。
くぅ! 2度も落ちてなるものか!
ってかさ、あいつ、なんで私の家を知ってたんだろ?
私、案内するように歩いちゃってたのかな?