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7/15〜7/21

7/15


祝日って、本当に嬉しい。

早く夏休みにならないかな。


今日はお昼の時間帯のみのバイトで、終わってから玻璃とゲーセンで遊んだ。


玻璃は初めてだったらしく、「何が楽しいんだ?」と言いながらもクレーンゲームにハマって散財してた。

「もうやめようよ」と何回言ったことか……


玻璃は取れて満足気にぬいぐるみを渡してきたけどさ。

恐竜のぬいぐるみなんていらないのに、1万円使ってたという事実から断れなかったよ。


あれに1万円……怖い……プレミア感スゴすぎる……

もう2度と玻璃とは行かないようにしよう。


――――――――


7/16


登校した途端に、蘭ちゃんに呼び出された。

正確には、人気がないところまで引っ張られた。


何を言われるのかと思ったら「玻璃くんの秘密を知ってるの」だった。


「え? 吸血鬼ってバレたの?」って、心臓バックバクだったよね。

儀式の時以外、私でさえ吸血鬼っぽいところ見ていないのに、どうやって知ったというんだろう?


たぶん嘘だと思うけど、でも蘭ちゃんにバレたとしたら、怖い未来しか想像できない。


平静を装って「玻璃の秘密? 何それ?」って返したけど、蘭ちゃんは勝ち誇ったような顔で笑って「それだけ」って言うだけだった。


ここで私が思ったことは、「どうしよう」とかじゃなくて「それだけなら、ここまで来た意味はよ!?」だった。


うん、今考えてもダメな思考回路だわ。


そして、なぜか今日もお昼休みの場所を当てられた。

つけられてなかったと思うんだけどなぁ。


玻璃には、帰り道で蘭ちゃんに言われたことを伝えておいた。

玻璃は「めんどくせぇ」とだけ言っていた。


――――――――


7/17


移動教室の途中で四条先輩に会った。

そして、「桃谷が君と友達になりたいって言ってるんだけど、いいかな?」と言われた。


友達になりたいって言われるのは嬉しいけど、どうして四条先輩が伝えてくるんでしょう?

もしかして、ESAは主人の許可なしに友達を作ってはいけないのか?


と疑問になり、つい菫ちゃんを見てしまった。


「そうそう、そんな感じの友達になりたいんだって。色々相談できるでしょ」と、手を銃のような形にして私と菫ちゃんに向けてきた。


突っ込まなかったけど、手を銃の形にして撃つとか、アイドルか乙女ゲームかホストがするイメージしかないわ。

それを1高校生がするなんて……吸血鬼だからいいのか?


若干頬を引き攣らせていると、菫ちゃんが助け船を出してくれた。

「今時間がないので、その桃谷さんという方の連絡先だけいただけますか? 後からきちんと連絡します」と。


すると、四条先輩が「NECTで送るよ」って携帯を出してきたんだけど、そこで菫ちゃんはきっぱりNOと言った。

「紙でください」って、真っ直ぐに四条先輩を見ていた。


見つめ合っている2人にどうしたらいいか分からなかった私はポンコツすぎる。


結局、四条先輩が気を抜くように微笑んで「今度持ってくわ」と去って行った。


放課後、私は玻璃に頬っぺたを強くつねられるほど怒られ、菫ちゃんは感謝されていた。

「お前はどうして危機感が少ないんだ! 菫を見習えよ!」とおでこまで突かれた。


でもさ、分かんないことが多いんだから仕方ないじゃないかー! とは思うよね?

言い返したら、どうせ頬っぺた限界まで引っ張られると思ったから思うだけにしたけど。


あの場で断らなきゃいけなかったってことでしょ。

分かるよ。3Pやら4Pやら嫌だからね。


だけど、そんなに悪い人たちには見えないんだよね。

純粋に友達が増えるのも嬉しいし。


きちんと話していないのに、ESAって理由だけで友達になったらダメっていうのが、私はどうしてもモヤモヤしてしまう。悲しいよ。


――――――――


7/18


昨日菫ちゃんを巻き込んでしまったことと、助けてもらったお礼を兼ねて、菫ちゃんにジェラートをプレゼントした。

放課後菫ちゃんと遊べて、私も楽しかったしね。


例のごとく、玻璃と琥珀くんも一緒だったから、めちゃくちゃ注目されたけどね。

まぁ、平凡な私なんて周りの人の目に入ってなかったと思う。


玻璃に半分取られたけど(あいつは、なんでいつも私の食べ物を取るんだろう?)、暑い日のジェラートは美味しくて大満足。


夏休みにもう1回行ってもいいなぁ。


――――――――


7/19


今日は終業式の後に、菖蒲ちゃんとファミレスでお昼ご飯を食べた。

席が離れちゃった分、お喋りする時間がグンと減って寂しかったので誘ったら、二つ返事でOKしてくれた。


菫ちゃんも誘ってみたけど、今日はお母さんとお買い物に行く約束をしているとのことで残念がっていた。


菖蒲ちゃんは、夏休みの間おばあちゃんの家で過ごすらしく、1度も遊べないそうだ。

田んぼと山しかないところだから、思う存分写真の練習をしてくるとのこと。

時々NECTで送ってくれるそうなので、今から楽しみ。


ルンルンで帰っていると、桃谷先輩に会った。

というか、待ち伏せされていた。


この暑い中、いつから駅で待っていたんだろうと心配になった。

だから、話があるならお茶をしようってことになるのは不可抗力。致し方がないこと。


予想通り、この前の友達の件をお願いされたんだよね。

ESAになってから心細いんだそうだ。


私は知らなかったというか、興味がなかったせいだろうけど、桃谷先輩と四条先輩は付き合っていることになっているらしい。

お互い好きなのに付き合ってはいないそうだ。よく分からん。


まぁそのせいで、一定数の女子からは無視されるし、仲良かった子たちは離れていったそうだ。

だから、同じESAの子なら友達になれると思ったとのこと。


涙を堪えながら話され、何を言えばいいのか分からなかった。

何を言っても違うと思ったから。


「時々、こうやって話してくれるだけでいいの」と頭を下げられて、私には断れなかった。


泣くほど喜んでくれたからOKしてよかったんだけど、玻璃の機嫌は地獄まで到達したのかと思うほど悪くなった。

私、涙目になってたと思う。本当に怖かった。


夜だけバイトが入ってて、迎えに来てくれた玻璃に桃谷先輩のことを話したんだよね。

怒られるとは思ってたけど、一言も話してくれなくなるなんて想像もしてなかった。

何を言っても玻璃の顔が険しくなっていくだけで、どうしていいのか分からなくて最後何も言えなくなった。


友達を取り消すことはできないししたくないから、どうにか他の方法で許してもらえないかな?

玻璃が喜んでくれそうなこと……何だろう?


――――――――


7/20


今日は家族でご飯に行くと決まっていたので、お店はお休み。


玻璃には連絡している。

既読無視されてるけど、休業連絡ではいつものこと。


私もそれ以外何を送っていいのか分からず、携帯の画面を点けては消してを繰り返しただけ。


お寿司は美味しかったけど、茶碗蒸しとイクラとカンパチが頬っぺた落ちそうなほどだったけど、いつもより食べられなかったと思う。

折角のお寿司だったのに、玻璃のせいだ。


結局、日記を書いている今も喧嘩? すれ違い? 仲違い? 何でもいいけど話せていない。

玻璃に心配かけっぱなしの私が悪いんだと思うけど、でもなぁ、友達くらいってなっちゃうんだよなぁ。


仲直りはしたいけど、どう話し合っても平行線のままのような気がする。


本当なら明日は血を吸われる第2回目で、玻璃と過ごす予定だった。

でも、1日バイトなので、数日遅らせることになった。

4日後を予定しているから、明日玻璃に会えるのはバイトが終わった後、送ってくれる時になる。


来てくれるよね?

クッキーでも焼いてみようかな?

何とか機嫌を直してほしい。


――――――――


7/21


怒りながらも迎えに来てくれた玻璃に、体の力が抜けた。

来てくれなかったらどうしようと、相当緊張してたんだと思う。


帰り道で「ねぇ、玻璃と話せないのは辛いんだけど。どうしたら折れてくれるの?」と直球で聞いてみた。


ものすっっっごく眉間に皺を寄せながら「お前、どんなけ我が儘なんだよ」と言われたけど、話してくれたことが嬉しかったんだと思う。体が勝手に動いて玻璃に抱きついていた。


わざとかっと思うくらい本当に盛大なため息を吐かれたけど、抱きしめ返してもらえたから気にしない。


「玻璃と仲直りしたくてクッキー焼いたんだよ」って言うと、「もらってやるよ」と受け取ってくれた。


上から目線でも何でもいい。

機嫌を直してくれただけで十分だ。


桃谷先輩と会う時は、必ず玻璃に連絡してから会うことになった。


そんなことでいいなら、あそこまで怒らなくてもいいのにと思ったことは秘密だ。

だって、玻璃曰く、私が我が儘すぎて玻璃が大人になるしかないらしいから。


仲直りできるなら何を言われてもいい。

言われるくらい、どうってことない。


本当、許してもらえてよかった。

今日はよく眠れそうだ。




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