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6/24〜6/30

6/24


今、私は恋愛で忙しいのに、最悪なことが発覚した。

期末試験の時間割が発表されてしまった!

どうしよう! 古典と英語! 地獄だ!


――――――――


6/25


赤点を回避するべく勉強をしないといけないのに、「教えてやるから家に来い」って迫ってくる玻璃をかわすだけで疲労困憊になる。


中間の時みたいに4人で勉強したらいいんだ。

なのに、奴は「家に来い」と本当にうるさい。


勉強で一旦何もかも忘れようとしているんだから放っておいてほしい。


――――――――


6/26


今日は琥珀くんが玻璃を引き剥がしてくれたので、菫ちゃんとカフェに勉強をしに行った。


教室ではダメらしくて、不思議に思っていたら、菫ちゃんから大切な話があった。

「琥珀くんから、玻璃くんが本気で『もういいだろ』と強行突破しようとしているから、紫陽花ちゃんに心構えを伝えてほしいってお願いされたの」と……。


数秒固まっちゃったよね。

本気? 強行突破?

え? そんなに飢えてるの? って。


ものすっごい真剣な顔で「色々ね、びっくりすることがあると思うんだけど。私はそれで1度琥珀くんから離れちゃったんだけど。でもね、今は付き合えてよかったと思ってるの。あ、紫陽花ちゃんに無理強いするために言ってるんじゃなくてね。えっと、どう言っていいのか分からないんだけど、できるなら玻璃くんを受け止めてあげてほしいって思うの。玻璃くん、紫陽花ちゃんのことが好きすぎて頭おかしくなってるから」って、そんな風なことを言われた。


しかも、「えっと、私は経験済みだから何でも相談してね。今言えることは、気合いを入れても痛くて泣いちゃうからハンカチはあったほうがいいよ」と添えられた。


この爆弾発言を、私はどう受け止めればよかったの!?

それカフェでする話じゃないから!

小声だったけれども!

どもった「うん」しか返せなかったって。


いや、ってか、玻璃は雄だからアレなんだけど、琥珀くんを見る目が変わるわー。

1度離れた理由がって、確かに言ってた。

離れたの中1って言ってたよね?

その時に迫ったってことでしょ。

琥珀くん、可愛い顔して成熟しすぎだわー。


――――――――


6/27


琥珀くんをジロジロ見てしまったようで、玻璃に怒られた。

心の小さい奴め。

私は、本当にいっぱいいっぱいなんだよ。

頭がおかしくなるほど私を好きなんだったら、もっと優しくしてくれてもいいと思うぞ。


まぁ、琥珀くんに妬くくらいだから、菫ちゃんが言ったことは的を射てるんだろうな。


じゃあさー、「好き」って言ってくれてもいいと思うんだよねぇ。

私1人に絞ってくれてもいいと思うんだよねぇ。


はぁ……日記ではグチグチ言えるけど、玻璃を目の前にしたら言えないんだもんな。


槙田先生とのことをまだ鮮明に思い出して悲しいのに、玻璃に別れを告げないのは「閉じ込められるのは嫌だから」っていう言い訳を盾にしてるだけ。

言い訳ができて内心喜んでいるんだもん。


あー、やだやだ。

好きになった方が負けなんだよ。

玻璃のこと考えすぎて、勉強なんて手につかないよ。


――――――――


6/28


ヤバい……お母さんに「あんた、分かってるわよね?赤点なんて採ったら、夏休みの間も学校と同じ時間勉強させるからね」って脅された。


無理無理無理。


夏休みはカフェ巡りしたいし、アイス食べに行きたいし、かき氷も食べに行きたいし、お祭りも遊園地も行きたい。

それに、バイトもたくさん入れる予定なのに。


夏休み、私に勉強をしている暇はない!

明日と明後日で詰め込むだけ詰め込むぞ!

頑張れ、私!


――――――――


6/29


玻璃がいきなり家に押しかけてきて、「ここがいいか、俺の部屋がいいか、決めろ」と言われた。

もちろん抵抗したよ。「私、勉強しなきゃいけないの」って。


そしたら、震えるくらい睨んできて、私を担いで私の部屋に連行された。

ズケズケ人様の部屋に入る奴を、初めて見たよ。

文字通り、私は目を白黒させてたと思う。


で、「待って」「待たない」を繰り返して、キレた玻璃に痛いほど抱きしめられた。

痛いって怒ってもお構いなしで、「紫陽花、俺、吸血鬼なんだ。お前を餌にしたい。いいか?」と真剣な声で聞かれた。


言葉は分かる。意味も分かる。

でも、どうしてあの状況で訳わかんない冗談を言われたのかが分からない。


だから、「ペットより格下げするの?」なんて、つい言っちゃったんだと思う。

でも、玻璃の「バカか。餌がなきゃ生きていけねぇんだから格上げだろ」って言葉が嬉しくて、「じゃあ、いいよ」ってよく分かんない遊びに乗っかっちゃったんだよね。


だって、私がいなきゃ生きていけないって言われたんだよ。

あんなに胸がキューってなったの初めてだった。


その後は、幸せそうに笑った玻璃が勉強を教えてくれて、勉強の合間にキスされて、お母さんが作り置きしてくれてたご飯を食べて帰って行った。


これ、私、うまく回避できたんだよね?

2人っきりの部屋、そろそろいい、我慢できないみたい、強行突破etc……

キス以上のことをされるような気配はなかった。


うん! まだ油断できないけど、今日は回避できたんだよ!

明日も勉強みてくれるらしいから、明日は明日で油断しないようにしなきゃ。


――――――――


6/30


今日の玻璃の機嫌もものすっごく良くて、分かりやすく勉強を教えてくれた。


ただ昨日の遊びはまだ続いているようで、「餌の儀式は新月じゃないといけねぇんだ。だから、7月6日よろしくな」と言われた。


バイトがあるから断ったら、ほんの少しの時間で終わるから問題ないとのこと。

それならと、会う約束をした。

いつも送り迎えしてもらってるから会うしね。


餌としての注意事項があるらしいけど、儀式が成功したら教えてくれるらしい。

言えない決まりだそうだ。


ってか、一体何の遊びなんだろう?

サプライズの前振り?


よく分かんないけど、玻璃が優しくて幸せだ。

このまま楽しいだけの時間が続くのなら、槙田先生というしこりを取りたいと玻璃にお願いできるかもしれない。

早く言えるようになったらいいな。




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