表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/52

6/17〜6/23

6/17


学校を休んだ。

できれば会いたくない。

涙が止まってくれなくて嫌になる。


――――――――


6/18


今日も休んだ。

本当に、どうしたらいいのか分かんない。


槙田先生とのことを知ったと、打ち明けて別れるべきなんだと思う。

そう思うのに、その1歩が踏み出せそうにない。

玻璃が頭の中にこびりついて離れてくれないせいだ。


怒れたら楽だったのかな?

騙されたわけじゃない。

はじめから玻璃は「少しの間」って言ってた。

だから、ムカつかないんだと思う。


――――――――


6/19


そろそろ学校に行かないとと思うけど、朝私を見るとお母さんは「今日も休みなさい」と言ってくれる。

だから、ダメだと分かっているのに休んでしまう。


私は、そこまで酷い顔をしてるんだろうな。

親に心配かけて、本当にダメダメだな。


しっかりしないと!

ペシペシと頬を叩いておこう!


うん! 大丈夫!


しっかりと考えられた。

これから私がやるべきこと。

そして、自分のために取るべき行動。


この3日間、ううん、日曜を足すと4日間、玻璃から連絡はない。

彼女が体調不良で休んでいるんだから、「大丈夫?」の一言くらい送ってきてもいいはずだ。

菫ちゃんと琥珀くん、他にも菖蒲ちゃんが送ってきてくれた。

それなのに、玻璃からの連絡はない。


つまり、そういうことだ。


玻璃にとって、目の前にいなければ私は玻璃と関係ない人物ってことだ。

まぁ、私がペットカテゴリーだからかもしれないけど。


こうなってくると、槙田先生のような人が他にいるかもしれない。

彼女視点でも股をかけられるのは嫌だし、ペット視点からしてもご主人様を他のペットと共有するつもりはない。


だから、最後に盛大に噛み付くと決めた。

飼い犬に手を噛まれて後悔すればいい。


――――――――


6/20


足が震えたり気分が悪くなったりしたらどうしようと思ってたけど、そんなことはなく久しぶりに学校に行けた。

よかった。

失恋で会いたくなくて登校拒否してしまうなんて、黒歴史になってしまうところだった。


昔の漫画では、よく言ったものだ。

星の数ほど男も女もいると。


だから、1回の失恋で引きこもりになる必要はない。

きっと私を、ペットではなく彼女として好きになってくれる人が現れるはず。


心を強く持って魔王に挑もう!


そう思って、魔王と久しぶりに会ったお昼休み。

いきなり抱きしめられて抱き上げられた。

菫ちゃんも琥珀くんも苦笑いしてるだけで助けてくれず、玻璃を叩いても抵抗にすらならなかった。


1階上の非常階段でおろされ、痛いほど唇に噛みつかれた。

パニックってもんじゃない。

ただただ慌てて焦って成されるがまま。


しかも耳元で「4日も会わねぇなんてふざけるな」と怒られた。

キャパシティーを越えると脳が停止するっていう実体験をした。


何言ってんだ、こいつ。

頭おかしいんじゃないか、こいつ。

お前がふざけてんだろ。


暴言が心を占めると、やっとムカつく気持ちが芽生えて、玻璃の手を盛大に噛んでやった。

そう、物理的に歯形が残るほど噛んでやった。


それなのに、玻璃は楽しそうに大声で笑った。

めちゃくちゃひいたよね。

玻璃のツボが本当に分からない。


――――――――


6/21


昨日はキスに翻弄されて切り出せなかったけど、今日こそは別れ話を切り出すぞと意気込んでいた。


結果は惨敗。

昨日もだけど、今日も昼休みはキスされ、下校時は腰をもたれて密着された。


苦笑いの琥珀くん曰く、私がいなくて玻璃はずっと機嫌が悪かったそうだ。

しかも、お見舞いという突撃を何度も試みていたらしい。

それを、琥珀くんが必死に止めたとのこと。


止めた理由を聞いたら、「部屋で2人っきりになるのは避けたほうがいいと思ったから」だった。

頭をフル回転させていたら、一緒に話を聞いていた玻璃は「そろそろいいんだよ」と言ってた。


何がそろそろいいのかは、怖くて聞けなかった。

何となく浮かんだものはあるけど、私にまだその勇気はない。


ってか、私、表向き風邪で休んでたんだからね。

病気の子とって思ってたってことでしょ?

怖いんだけど!


それ以前に、別れるからしない!

私はノーと言える!


とりあえず、2人っきりは避けるんだけど、そうすると別れ話ができないということになる。

この際、菫ちゃんや琥珀くんの前で宣言するべきか……どうするべきなんだろう……


――――――――


6/22


先週代わりに出勤してもらったお礼を、改めて河内さんに伝えた。

「気にしないで。いつでも頼ってね」と、微笑んでくれた姿は女神のようだった。


ただその女神様が、やたら琥珀くんに話しかけているような気がした。

気になって玻璃に尋ねたら、「琥珀を狙ってんだろ。前からじゃねぇか」とさらっと言われた。


夜道で叫んじゃったよ。

近所迷惑で、本当にごめんなさい。


琥珀くんは、華麗にスルーしているらしい。

「琥珀は菫一筋だから心配するだけ無駄だ」と玻璃に言われたけど、河内さんは大切な先輩で……でも、菫ちゃんは大切な友達で……


そんなことをグルグル考えてて気づかなかったけど、夜道なら2人っきりだし、別れ話できるじゃん!

今気づくって、私はバカだ!


河内さんのことは、相談されたわけじゃないから知らないふりをしよう。

もしかしたら菫ちゃんのことを知っていて、私には相談しないという河内さんの優しさかもしれないから。


――――――――


6/23


恋愛相談といえば、今まで付き合った人数は5人という高木さん!

今日バイトで会って、相談する相手いたじゃん! と喜びで飛び跳ねそうになった。


高木さんには、不審者を見るような目で見られた。

実際には跳んでないのに失礼だ。


早速『別れ話の切り出し方』について相談すると、「絶対にしない方がいい」と鬼気迫る勢いで言われた。

高木さんが怖かったけど、そこは勇気を振り絞って「どうしてでしょうか?」と聞いた。


泣かなかった私、偉い!


高木さんが言うには、「彼のようなタイプは、きっと暴走をするから」とのこと。


玻璃が暴走するって意味が分からなくて、玻璃に「もし私が別れたいって言ったらどうする?」とさりげなく聞いてみた。

何が面白いのか可笑しそうに笑って、「そうだなぁ。部屋に閉じ込めて、飽きるまで遊ぶかな」と口角を上げながら見られた。


背中に冷や汗が流れたよ。

あの寒さは、絶対に命を危険を察したものだよ。


え? なに? 私、本物のクズに捕まった感じなの?


玻璃は、まるで私に執着しているようなことを言う。

玻璃を好きだからいいんだけど、好きだからこそ私以外がいるのが嫌で……


これは、玻璃に「私だけにして」と言ってもいいのかな?




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ