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6/10〜6/16

6/10


放課後に玻璃と一緒に、菫ちゃんの誕生日プレゼントを買いに行った。


私が言わなかったせいなのに、菫ちゃんは「遅くなってごめんね」と誕生日プレゼントをくれたのだ。

可愛いコンパクトミラーで、もらった日から持ち歩いている。


私も何か役立ちそうなものをあげたいと思って、探したけど見つからず。

明日こそは絶対に見つけないと。


――――――――


6/11


今日も玻璃と一緒にお買い物へ。

昨日つまらなさそうにしていたから、来なくてもいいよと言ったら怒られた。

解せぬ。


意味不明な玻璃のことは置いといて、無事にプレゼントをゲットした。

折りたたみの日傘である。

喜んでもらえたらいいなぁ。


昨日今日と連れ回したお詫びに、玻璃にはコーヒーを奢った。

私が行きたかったカフェに連れていったことは内緒。

パフェが美味しくて満足なカフェだった。

今度、菫ちゃんと行ってもいいかも。


――――――――


6/12


菫ちゃんの誕生日。

お昼休みの時にプレゼントを渡して、放課後は玻璃と琥珀くんも一緒に、私お勧めのカフェでケーキを食べた。

めちゃくちゃ喜んでもらえて、私もハッピー。


琥珀くんからのプレゼントは、遊園地のチケットで、今週末に行くそうだ。

誘ってくれたけど、土日はバイトなので断った。

夏休みに4人で行こうねと約束した。楽しみ。


――――――――


6/13


放課後、「体育祭のことで」と槙田先生に進路指導室に呼び出された。


虐めてきた人たちがどうなったのかの話かなと思っていたら、「玻璃に好かれたと勘違いするな」と睨まれた。

そんなことを言われるなんて微塵も思ってなかったから、何も言い返せなかった。


「本当に色気がない」だの、「もっと可愛い子は他にいるだろう」だの、「非常食のくせに」だの、「甘い匂いすぎて臭いんだよ」だの散々な言われようだった。


甘い匂いって言われても、香水つけてませんけど!

というか、非常食ってなに?

殺人鬼じゃあるまいし、映画の中みたいに脳みそや人肉食べないでしょ。


暴言を聞いている間に徐々に冷静になって、どうしてそんなことを槙田先生に言われなきゃいけないんだと腹が立った。

つい言い返したら、「はぁ? 俺は玻璃に捧げてんだよ!」と怒鳴られた。


何を捧げてんだよ!

もっと分かりやすく言ってよ!


ムカつきすぎて「だから、何ですか?」って鼻で笑ってやったよ。

そうしたら、「何も教えてもらえないくせにイキがるな」だとさ。

「知りたかったら明日の放課後保健室を覗いてみろ」だって。


いやー、ふっかーいため息でちゃうよね。

玻璃はモテるから何か言われるとは思ってたけど、まさか教育実習生からも罵られるとは。


そういえば、仲良さそうに話してた姿見かけたな。

知り合いっていうより、先生の言い方だともっと深い仲ってことだよね?


とにかく、玻璃は私に何かを隠しているということ。


なんだろ?

どんなに考えても分かんない。


まぁ、明日保健室に行けば分かるんだよね。

従うみたいで嫌だけど、確認だけしに行こう。

どうせ、槙田先生とは明日でお別れだしね。


――――――――


6/14


誰か教えてください……

私が見た光景は嘘だと言ってください……

こんなの菫ちゃんにも相談できないよ……


――――――――


6/15


昨日見た場面が頭の中を占領していて、バイトでは失敗続きでめっちゃ怒られた。


玻璃が送り迎えしてくれたけど、一言も話したくなくて話しかけなかった。

「送ってくれてありがとう」だけは、なんとか口から出すことができたけど……

頭を撫でて去っていく玻璃は、「また明日な」と言っていた。


玻璃は何がしたいんだろう。


昨日、窓の外から見た保健室では、服が乱れた槙田先生に玻璃が覆いかぶさって首や胸に顔を埋めてた。

槙田先生の顔は高揚してて「玻璃……気持ちいい……もっと……」と信じられないくらいエロい声で言ってた。

窓が5cmほど開いていたのは、槙田先生の仕業だと思っている。


気づいた時には、耳を隠して必死に走ってた。

保健室から逃げるように走ってた。


私が教えてもらえなかったことは、私は彼女で、槙田先生は彼氏ということ?

2股しているって教えてもらえなかったってこと?


堂々と言う人の方が珍しいとは思うけど、槙田先生には伝えていたってことで……


私、やっぱり遊ばれてるのかな?

玻璃は私を好きなんて勘違いなのかな?


いや、私はペットなんだっけ……そっか……


おかしいな。

昨日は涙なんてでなかったのに、今ノートを濡らしちゃった。

まだ日記は続けるんだから、涙を止めなきゃノートがふやけちゃう。


――――――――


6/16


熱を出して、バイトを休むことになった。

代わりに昼も出勤してくれる河内さんには、NECTでお礼を送っておいた。


目が痛いほど泣いたのに、玻璃を思い浮かべるだけでまだ流れる。


昨日、日記を読み返したら、玻璃のことばっかり書いてた。

私って、ずっと玻璃のことが好きだったんだなぁって笑っちゃった。

文句が多かったけど、それだけ玻璃を意識してたんだって気づいたんだよね。


玻璃には「風邪をひいたからバイトは休む」って送っておいたけど、返事はない。


私は、どうしたらいいんだろう?

知らないふりをしてこのまま付き合うのか、玻璃と別れるのか。


ああ、そっか。


玻璃は、はじめから私とは長く付き合うつもりなかったんだった。

それって、槙田先生とのことがバレたら別れるって意味だったんだ。


きっとそうだ。

短い初彼氏だったな。




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