9. INTJの思考は仮説から始まる
ここまでの文章の内容にある程度の心当たりがあれば、前述の「INTJの思考は仮説から始まる」についても、正誤はどうあれ、すでに諸君の内向的直感Niが働いていることと思う。
日常的に内向的直感NiのスパークにさらされているINTJ諸君にとっては「思考が仮説から始まること」こそが自然に感じられるかもしれない。
しかし本来の心理機能における思考は、0からスタートし、情報を収集し統合することでのみ先に進んでいき、最後の1ピースの情報を得た瞬間に結論を認識するのが普通である。
INTPやISTPに代表される内向的思考Tiは、大陸を一度も見たことがない人間が「海以外の領域はないのか?」と疑問に思い、前後不覚の大海原で舵をとり続けていずれ大陸にたどり着くような途方もない作業であり、INTJにはそのような超人じみた精神力で思索の海を旅する能力はない。
INTJは思索の大海原において、現在地から目指すべき目標地点を視認し、そこに至るために情報を収集、統合する。目標地点がないままにINTJが舵をきることはほとんどなく、次の目標地点を閃かなくなったINTJは航海そのものを諦める場合が多い。
一般的な思考は疑問から始まり結論で終わるが、INTJの思考は仮説から始まり証明で終わるのである。
よしんばINTJの思考が疑問から始まったとしても、そのほとんどは瞬時に内向的直感Niによって仮説に変換され、そのあとに外向的思考Teによって証明が開始される。
もしくは内向的直感Niが働かず、疑問は疑問のまま忘れ去られることになる。
まれに、生じた疑問に内向的直感Niが働かず、なおかつ社会的に疑問の解決を強制される場合がある。その場合は内向的直感Niがないままに外向的思考Teを使わざるを得ないのだが、それはINTJが得意とすることではなく、疲労と精神的苦痛を伴う。
再三述べるようにINTJが注意する必要があるのは、内向的直感Niによる仮説は証明するまで正しいかどうかわからないということである。
また、INTJにとって仮説を生み出すことは息をするように容易いが、それを証明し続けるには不断の努力を要することを忘れてはならない。
INTJが外向的思考Teをサボった場合、仮説(TeのないINTJにとっては結論)がさらなる仮説を生み、完全に見当違いの結論を事実であるかのように誤認することになる。