8. INTJにおける外向的感覚Se
第4段階に至ってなおINTJが明確に他の性格タイプに劣る点が外向的感覚Se、すなわち外界を知覚する能力である。
ありのままの姿を観察する能力、今この瞬間を感じる能力とも説明されるが、INTJ諸君は「たしかに没頭して気づいてないことあるなー」とか「今この瞬間を楽しむって難しいなー」と論点をすり替えるべきではない。
明確に意識する必要がある。
INTJには情報収集能力がない!ということを。
INTJはあらゆる意味において、外界の情報を正しく取り込む能力に劣る。MBTIとMTBIに気づかないことなど一例に過ぎない。
繰り返しになるが、具体的に表現するほど本質の理解は遠ざかる。
よって少しだけ具体的に言うとINTJは、他のタイプにとっては明らかな視覚情報を見落とす場合が非常に多い。当然これは視覚情報に限らないが、諸君が思い当たる点が多いだろうことから視覚情報と書いた。
INTJは自身の最強の武器である内向的直感Niに無意識のうちに多くの脳のリソースを食われており、その補填として外向的感覚Seを無意識あるいは意識的に制限している。
これを「外向的感覚Seを制限することで内向的直感Niを研ぎ澄ませている」と表現するのは誤りであり、正確には「内向的直感Niの発動を抑制できないため、外向的感覚Seを犠牲にするしかない」という状態である。
すなわちINTJには「内向的直感Niの出力を下げて、その代わりに外向的感覚Seを研ぎ澄ませる」という選択肢はない。
内向的直感NiがパッシブスキルであってINTJ自身の制御下にない以上、INTJが外向的感覚Seを人並みに発揮する日は来ない。INTJの見ている世界は、他のタイプからすれば、Minecraftの世界のように簡素である。
しかし、諸君らは反論するだろう。多くのINTJが芸術に傾倒することについてである。外向的感覚Seに劣る我々が、なぜ繊細な情報の集合体である芸術をここまで詳細に把握し、感動することができるのか。
残念ながらそれは高度な外向的感覚Seを発揮しているのではなく、内向的直感Niが自動的に、擬似的に、本来なら外向的感覚Seで取り込むべき情報を、自身の脳内に直接出力しているに過ぎない。
芸術に対する無数の内向的直感Niもまた、他のすべての物事と同様に外向的思考Teで正誤を判定され、研ぎ澄まされる。
INTJはそれによって自身の愛する芸術を統計的に分析し、どの作品のどの点が優れているのかをあらかじめ理論的に分類している。
その結果としてその分野の芸術に精通する。初めて出会う作品であっても、稚拙な外向的感覚Seから得られるわずかな情報に対して正確な内向的直感Niを発動し、あたかも外向的感覚Seが優れているかのように振る舞うのである。
この擬態は芸術だけに留まらず、INTJが内向的直感Niと外向的思考Teを上手く用いて、高度な外向的感覚Seを要する場面を乗り切ることは多い。