表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/133

第六十九.五話 武器錬成

ラニキス王国の王都エルフィリアからオスティアに戻っているとある日のこと、タカキが黙々と武器錬成の作業をしていた。自分の武器である銃の弾丸作りが一区切りついたときに、隣にいたシンイチに話しかけた。

「シンイチのさ、専用武器を作ってみようと思うんだけど、一番得意な魔法は何属性?」

「えっ、ほんと!? 楽しみだな、得意な属性かー、なんだろ、闇魔法かな。」

「なるほど。じゃあ、全方位に威力が等しく伝わるのと、一つの方向に強い攻撃ができるだとどっちがいいかな?」

「えーよくわかんないけど、使う魔法によるんじゃない。強い相手に使う攻撃系の魔法は一つの方向で威力が強いのがいいのかな、でも広範囲の敵を倒す魔法だったら全方位のほうがいいのかもね。」

「確かにそうだな、切ったり貫通させる魔法なら一方向に強いほうがいいけど、爆発したりさせる場合は全方位に威力があるべきだよな。」

「でも魔法攻撃だけじゃなくて物理攻撃の威力も強いと嬉しいな。今メインで使っているのだって攻撃力が高い武器だから使っているんだし。強力な魔法を使うときは武器持ち替えているんだよね。武器の持ち替えなしに強力な魔法使えたらちょっとニーアっぽくない?」

「魔法剣士のような物理攻撃と魔法攻撃の両立か、難しいこと言うなー。でも今の武器の強さなら何とか両立は可能かな。」

今のシンイチのレベルで装備できる武器の強さに上限があるため、エルフィリア大迷宮で採取してきたレア度の高い鉱石を使用することで今と同じくらいの強さであれば物理と魔法の攻撃力を両立できる見込みであった。

ただし、良素材をつぎ込みすぎると武器自体が強くなりすぎてシンイチが扱えなくなる可能性もあるため、バランスが重要である。

色々と議論をした結果、シンイチの属性魔法とその適正影響範囲は次の通りとなった。

 闇:一方向に強く(単体攻撃系魔法)

 火:全方位(全体攻撃系魔法)

 土:一方向に強く(一方向防御系魔法)

 氷:一方向に強く(単体攻撃系魔法)

 光:全方位(全体攻撃系魔法)


魔法使いの武器といえば杖が一般的だが、杖は基本的に全方位に影響を発揮できるようにするために作られている。一方で、魔剣のように特定方向にだけ強く魔法を作用させる武器の場合、その方向においては、杖で同じ魔法を使用したと場合よりも敵に与えるダメージは大きくなる。

タカキが仕事で研究しているアンテナの理論を応用することで特定の属性魔法を特定の方向に強めることを実現することができそうだった。シンイチとの意見交換で方針が決まったので、早速試作してみることにした。

特定の魔法だけを特定の方向に威力を高めるのはさほど難しくない。しかし、複数属性をそれぞれで調整しようとすると、武器自体の耐久力が足りない、特定の魔法の威力が極端に落ちるなどといろいろな面を考慮する必要が有りなかなか難しい作業となった、さらには武器としての強さも考慮しないといけない。

何度も失敗をしてしまった。

「うーむ、奥が深い、、武器錬成。。」

思わずうなるタカキ、それでも、そのあと何度もトライアンドエラーを繰り返し、シンイチの体術用にグローブと靴で一式となる武器を作成することができた。シンイチが加護を持っている光、闇、火、氷、土の属性に特化して、雷、風属性魔法の性能は完全に度外視である。


なるほど、武器屋に売っているような汎用品はある属性に特化なんてしないというのは当然の結論だとタカキは納得した。そもそもどんな属性を得意とする客かわからないから全ての属性にある程度対応できる必要がある。そうなると特定の属性に偏ったとがったものが作れるわけではなく、属性なしという形になるのだ(ただし、最大性能は発揮できない)。結局個人の特性に合わせようとするとオーダーメイドになるのは必然といえる。手間を考えると高額にならざるを得ないし、自身が成長に伴い物足りない性能となってしまうことを考えると中途半端なものを作ってしまうのは割に合わないといえる。

その一方で、例外としては、属性付加された武器がある。これは武器自体に属性が練り込まれており、例えばアイスブレイド、炎の剣といった形で一つの属性が付加されていてその属性の加護がなくても属性攻撃が可能だったり、使用者の属性攻撃を強めるといったことが可能となる。こちらは、難易度の問題である。一つの属性を強めればそれに相反する属性が弱くなるのは当然である。普通であればそこで諦めてしまうのだが、タカキはそこを、威力を強める方向を相反する属性で変えることにより、共存を可能とした。

闇、氷、土属性については、一方向に強い威力が出るように設計したことにより拳を握って魔法を放つときは一点集中で威力の強い魔法を唱えることができる。範囲は前方に±5度くらいの角度での広さだが、同程度の武器で特に方向を制御することなく魔法を使ったときと比較すると威力は2倍以上となっている(何の制御もなく魔法を使う場合は一般的に前方向に30~45度くらいの範囲である)。

反対に、手を広げて魔法を放った時は広範囲に出力できるようにも調整した。こちらは前方90度くらいの範囲で魔法が放出される。自由に調整可能だがとりあえずこんなものだろう。両手で魔法を放つことがあれば前方180度すべてカバーできるという訳である。この時の魔法の威力は通常の魔法威力の0.6倍くらいとなっている。本来の攻撃範囲と比べると3倍に広がっていると魔法の威力は1/3(0.33倍)になるのが一般的だが、そこは効率よく魔力を放射できるように武器の性能を改善して威力低下を防いでいるのであった。光と土属性についてはそこまでの細かい制御を付与することができず、広範囲攻撃のみとなった。

最終的に出来上がった武器は、光、土属性を 広範囲に約1.5倍、闇、氷、火属性を特定の方向において2倍超まで高めることができる代物となった。あとでわかったことだが、属性と魔法の影響範囲は別々で設計とすることもできるらしい。つまり、単純に闇魔法の威力を2倍として、全方位を1倍、前方向のみの場合を1.5倍の威力ということもできるようだ。そうすると範囲方向2×1で2倍、前方向攻撃2×1.5で3倍の威力の武器が出来上がる。という訳である。もっとも、その場合は、相反する属性である光魔法の威力が弱くなる、もしくは使えなくなるという副作用があるので、術者の使用できる属性しだいとなる。普通であれば、複数属性を使用できる人間はまれなので、それで十分な設計となるはずである。

もっと良い素材で武器を作ることができればさらに威力を上げることもできるだろうが今の素材ではこの辺が限界だろう。

「ふふふ、マルチバンドならぬ、マルチエレメントウエポンってとこだな。」

達成感を得た興奮から思わず変なことを口走るタカキであった。

「うわーすごい!ありがとう。」

シンイチは大喜びで早速装備して試している。結局足装備には魔法攻撃アップには寄与させることができず、物理攻撃のアップと防御力アップにとどまった。ここは今後の課題だろう。ただ、グローブ型の武器にしたことで、そのままシンイチの得意武器である槍も装備することができる。

「うーんちょっとこれで槍を持つと手が滑るかも、やっぱ体術専用かなぁ。」

「ここもまだ改善余地ありか、課題が山積みだな、」

残念ながら一発で完全な成功とはいかなかった。新しい武器の試していたシンイチからの感想を聞き、タカキは頭の中に書き留める。

「そういや、モンスター特攻はどうやってつけるんだろうな、、」

ふとそんな考えが浮かんだが、すぐに考えるのをやめる。ドラゴン討伐の話があったので、少しでもそこに備えることができたらと思ったが、今の自分の錬成レベルでは無理なのかもしれない。また、今度カンナに聞いてみようと思ったが、自分たちと同じ地球からの人族の可能性が高いことを考えるともう教えてもらうこともできないかもしれない。

「あの時に聞けるだけきいときゃよかったな、、」

そんなことを思いながら一体何者なんだろうかと思いをはせた。


翌日、ニーア向けの武器、剣の錬成に着手する。剣先の方向に魔法を放つときはシンイチのグローブと同様に一点集中型の設計とし、威力としては通常の杖で放たれるそれと比較すると、3倍程度の威力の魔法が放てる。ニーアはシンイチよりも強力な武器を扱うことができるため、タカキとしても遠慮なく強くできる。剣の刃の部分で放つ場合は威力は2倍程度で抑え、前方向30度くらいが攻撃範囲と少し広く取れるように工夫した。攻撃範囲が通常の魔法攻撃とそれほど変わらず、威力が2倍になるのだからまずまずだろう。ニーアの得意属性は風、水、雷だが、水属性は回復魔法が多いことから、武器としては風属性と雷属性の二つに絞って威力を高めることができた。強化できる属性を絞った分自由度が増え、その分を一方向に増幅時と、全方向に攻撃する際の威力をシンイチの武器よりも高めることができた。更に両刃の剣のそれぞれの刃に雷と風の二つの属性を同時にまとわせることを可能とした。(もちろん複数の属性魔法を同時発動できる必要が有るが。)

「よっしゃ、出来たぜ、明日は早速性能を試してもらうか。結局時間切れでシンイチとニーアの分しか作れなかったなあ。。。まあ、折角だから二人に試してもらって、改善できるところは改善してやらないとな。」

本来の目的であるはずの、自分の武器はまだ細かい作りこみができておらず、実戦的な試しができるようなものを制作するまでには至っていなかった。剣のように分かりやすい武器なら良いのだが、銃についてはあまり細かいところまで知識がないというのが現状で、どう改善していけばよいのかタカキは分かっていなかった。基本は無属性の弾丸や、時には魔法を込めた魔法弾を撃つこともできる、そういった魔法弾の威力を高めるように設計すればよいのかもしれないが、魔力弾はいろいろな属性(ニーア、シンイチ、タカキがいればほぼ全属性)の弾を撃つことが可能となるので、何を強化すべきかというところが悩みの種である。物理攻撃の威力を高めたほうが良いのかもしれないが、一度きちんと銃の仕組みについて調べてからの方が良いだろうと考え、今回は断念することにした。


「ニーアにも作ってみたんだけどどうだ? 風と雷属性をかなり強化してみたんだが。」

翌日、ニーアにさっそく作った武器を試してもらう。

「えっ!ほんと?ありがとう!どれどれ、物理攻撃力もそこそこでけっこういい感じね。雑魚狩りとの時とかに使えそうな感じね。」

ニーアが近くにあった巨大な岩を試し切りしながら嬉しそうに言った。

「雑魚狩り用か、、まだまだ先は長いな。。」

タカキの武器錬成の道が長く険しいものになることを感じざるをえなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ