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第五十八話 鉱脈採掘

37、38階層も、引き続きタカキの新武器の活躍により順調に攻略していく。38階層の最後は弾切れになりそうだったため、比較的楽に戦える小型のモンスターに対しては武器を剣に持ち替えて戦った。

「うん、うん。やっぱり銃で楽してばっかりじゃあだめよねー。」

剣での戦いで四苦八苦しながらもなんとか敵を倒しているタカキを見て、ニーアは満足そうに言った。

「まさか弾切れになるとはなぁ、さっき補充したんだが足りなかったか。。大量に沸いてくるときついか、、、今後の課題だな。早く次の階層への階段を見つけて彼らと交代しよう、俺はもう疲れちゃったよ。。」

タカキがこりごりと言った感じでため息をついた。

「そんなだらしないこと言わないの、今回はクワッドヴァルキリーと合同攻略だけど、単独攻略だったらずっと戦わないといけないんだからね。」

「それを聞くと、なんか面倒だなダンジョンって。」

「そうなのよ!前のパーティの時はいろいろ大変だったんだから。」

ニーアは思わず声が大きくなった。

勇者パーティ時代の苦労が脳裏に思い浮かんだ。メンバーの一人で支援魔法のスペシャリストのトォーリィが、鍋奉行ならぬダンジョン奉行という感じでこだわりを持っており、各階層の探索から、宝箱の開け方、戦闘時の体力の温存までありとあらゆることに細かく指示を出していた。通常の戦闘では全力て敵を倒し、無理をせず街に戻ってという戦い方を基本としていたため、ダンジョン攻略のために力を温存しながら戦って進むことになかなか慣れなかった。最後には前衛を担当していたアンナが、力を調整した戦闘が得意でなかったこともありイライラし始め、ニーアとアストレアがなだめるといった状況に陥りがちであった。そんなギスギスした雰囲気での攻略になりがちだった記憶からか、どうしてもダンジョンは好きになれなかった。

今振り返ると、最後の魔王討伐の旅ではその経験があったおかげで途中で力尽きることなくやりきれたのかもしれない。

そんな苦労話をしたくなったが、クワッドヴァルキリーの前で勇者パーティの話は厳禁だと思いなおし口を噤む。探索や戦闘に集中していてこちらの雑談なんて聞いていないかもしれないが、念には念をということである。

また、今回の攻略では家族と一緒だと気兼ねなく振舞えていることもあり、少しは苦手意識も払拭できるかもしれないとニーアは期待をし始めている。


「ニーア、どうした?急に黙って。」

「いや、何でもない、ちょっと考え事してた。そういえば、魔法を込めた魔石弾あったんじゃないの?あれはどうしたの。」

ニーアが話を戻す。

「うん、あるにはあるんだけど、貴重だから雑魚戦で使うのはどうかなと思ってさ。」

「なるほどね、でそう言って温存してやられちゃったら元も子もないから、そこの判断はしっかりしてよね。」

そう話しているとアトゥーサが洞窟を見つけたようだ。次の階層へ下りるための階段があるかもしれないと、中に入ってみると、洞窟の壁が輝くような光沢をはなっている、ニーアの光魔法で辺りを照らしてみると、そこはミスリルの鉱脈だった。

「おっしゃあ、鉱脈発見!これで弾丸の素材を金属以外のものから作れるぞ。弾丸不足も解消だな。」

タカキのテンションが急上昇する。

ミスリル鉱石も精製すれば金属だけどねとニーアは思ったが、喜んでいるタカキに水を差さないようにした。

「おいおい、私達は先を急いでいるんだぜ。こんなところで採掘している場合じゃないんだよ。」

ジェイミーが不満げにくぎを刺す。

「まあ、待て、ジェイミー。あの武器の弾が作れる素材が取れるということだったら我慢しようじゃないか。実際あの攻撃があるかないかで攻略の難易度は大きく変わるだろう。彼らが採掘している間、俺たちは次の階層への入り口を探しておこう。それなら時間の無駄はないはずだ。そして今日はもうずいぶんと時間も経っているし、この階層でキャンプをすることでいいんじゃないか。」

「いいんじゃない。じゃあ、次の階層への入り口と食料を探しにだね。」

シュッタウの提案にアトゥーサが乗っかっていった。エレンも黙ってうなずいている。一理あるかと、ジェイミーも納得したようでそれ以上の反対はしなかった。

「そういうことでいいか、タカキ。」

「ああ、ありがとう。助かるぜ。」

「じゃあ、私も一緒に次の階層への階段を探しに行くわ。私達だけ採掘ってのもちょっと申し訳ないからね。この洞窟の大きさだったら小型モンスターしか入ってこれないから、そんなにピンチになることもないと思うわ。鉱石はシンイチのマジックBoxに入れられるでしょ。」

それでいいとばかりにうなずいたタカキとシンイチであった。


皆が出て行ったあと、静けさを取り戻した洞窟内で2人はひたすら鉱石の採掘を続けた。

「こうやって二人で作業するなんて久しぶりだな。」

「どうしたの急に?」

「いや、なんとなくうれしくてな。最近は休みの日も友達と遊ぶことが多くなってきただろ。まあ、それはそれで健全な成長だと思っているけどな。」

「パパ変だよ。」

シンイチも思わず素が出てしまう。

「ここでの二人を見ていると、成長が早くてつい、な。親として思うことがいろいろあるのだよ。」

こんな何でもないような幸せと言える時間は長くは続かないんだろうなとふと思うタカキだった。それでも、時間の許す限り二人の成長をずっと見守っていようと思わざるを得なかった。

その後3時間ほどしてニーアとクワッドヴァルキリーの面々が戻ってきたが、それに気付かず採掘をし続けていたくらいであった。ニーアが大きな声で呼びかけると、二人はようやく顔を上げた。

「入り口あった?」

シンイチが聞くと、ニーアは笑顔でうなずいた。ここから1時間くらいの場所らしい。

体中汚しながら採掘をしていた二人を見てシュッタウが思い立ったように防具用に自分たちも少し採掘をしようと言い出した。

クワッドヴァルキリーの女性陣は汚れるのを嫌ったためか猛反対をし、シュッタウが残念そうに肩を落とした。それを見てシンイチがタカキの顔を見て、そしてお互いうなずいた。

「それならかなりたくさん取ったから分けてあげるよ。お世話になっているからね。」

シンイチが助け船を出す。

「いいのか?世話になっているのはお互い様だぜ。」

「いいって、いいって、僕らが採掘している間、次の階層を探してくれたおかげでかなりたくさん取れたし。これなら数万発は作れると思うよ。それと、奥の方にはアダマンタイト鉱石もあったんだよ、それも結構採掘したし。」

「アダマンタイトもか、それはいいな。こっちがもらい過ぎの気もするが、、、シンイチの厚意に甘えて遠慮なくいただくぜ。こちらから返せるものがあったら言ってくれ。」

「じゃあ、モンスターを討伐した際の魔石を貰うことはできないか。別にレアモンスターの魔石とかじゃなくていいから。」

「りょーかい!商談成立だな。」

シュッタウの顔に笑顔が戻った。

「あと、シンイチと鉱石採取をしている最中に邪魔してきたモンスターを討伐したんだが、そいつが変わった鉱石みたいのを落としてな。もしかしたら超レア鉱石だったりするかな?」

そういって、タカキが四角く整った形の意志を見せる。医師の真ん中にエメラルドのような宝石が埋まっている。実はタカキの鑑定スキルでは鑑定ができず「????」と見えてしまっていた。

「ああ、これは帰還石だな。ダンジョンを一瞬で抜け出せる便利なものだ。レアなものに違いはないが、それ以外の用途では使い道はないぞ。俺たちもさっきドロップしたのを見つけていたよ。そっちの目的を達成出来たら、お前たちに渡す気でいたが、お互いすぐに帰れそうでよかった。」

「へーそうなんだ、ふたつあればみんな帰れるのか。」

「冒険者パーティ単位で有効だな。最大で5人くらいだったはず。」

鉱石の話を聞いていたニーアがふと思うところがあったらしく、タカキに聞いた。

「ところで、ミスリルで作った鎧に、タカキの銃でミスリルの弾丸を打ち込んだらどうなるんだろう。」

「んー、やっぱり質量が違うから弾丸が通らないで壊れるだろうな。鎧の方にもひびくらいは入るだろうけどな。いや、鎧の厚さにもよるかな。ま、あくまで物理法則をベースで考えた場合の話だから、魔法が存在しているこの世界ではもしかしたら違う結果になるかもしれないな。」

「確かにそうね。ミスリルは魔力が通りやすい金属だし、それによっても全然違う結果になりそうね。」

「へーおもしろそう、今度色々試してみたいね。」

横からシンイチが身を乗り出してきたが、レアな素材をそんな科学の実験のような感覚で使われてたまるか、とタカキは心の中で思うのであった。

夕食後、タカキは早速取り立ての鉱石を錬成し弾丸づくりに励んでいた。シンイチも加工された空の魔石弾に魔法を込めて手伝っていたが、深夜を回る前には眠くなってきたと言って、コテージの自分の部屋へ戻っていった。

結局タカキはこの日も徹夜をして、ミスリル弾と、アダマンタイト弾をそれぞれ2000発、1000発程度作り終えた。二日連続で徹夜なんて何年ぶりだろうと思いながら凝り固まった体をほぐしながら自分の部屋を出る。すでにニーアが起きていてご飯支度をしていた。シンイチも起きてきて、三人で朝食を食べる。

「そろそろ、他の冒険者に会えるといいね。」

「うん、ミスリルが採掘できる鉱脈が出てきているし、素材収集目的で来ているならそろそろいてもいいはずよね。」

そんな二人の会話を聞きながら黙ってコーヒーをすすった。果たして今日中に会えるだろうか、今日会えないとすると、さらに深くにもぐっていることになる、そうなるとモンスターが強くなり戦闘がさらに激しくなるだろう。今の自分で大丈夫だろうか。でも、一方で、ミスリル弾の威力を試すにはより強い敵のほうがいいかもしれない、などと考えを巡らせていた。

「タカキどうしたの?黙ったままだけど。」

「いや、ちょっと考え事さ。さー今日もいっちょやってやるか!」

「何それ、ダサ。」

ニーアの突っ込みにより、3人に笑顔が浮かぶ。

つかの間の団欒を終え、3人は再び戦いの場へと向かうべく、コテージを出た。

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