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第三十六話 遠征終了

無事に帰還したお祝いということで、みんなでランチでも、とスタークから提案があり受けることにした。

「こんな大勢で普通に飯を食うなんて何年ぶりだろうな。」

レストランで席につくとダミアンが言った。

「そうだな、俺たちはソロ活動がメインだから、せいぜいお前と二人でというくらいか。まあ、それも数えるくらいしかないけどな。」

スタークも同意する。そんなスタークを見て、ふと、シンイチが思い出したように質問する。

「そういえば今回お二人はオラキ島での目標は達成できなかったんですよね。大丈夫なんですか?」

「ああ、別にクエストとか受注していたわけではないからね。あいつを倒せなかったのは悔しいが、別のSランクモンスターを討伐できたから満足しているよ。」

「そうなんですね、それならよかったです。」

「君たちの協力には感謝しているよ、俺たち二人だけだったら確実に離脱することを優先していただろうからね。」

そう言ってちらりとニーアを見た。

「それは私たちも同じです、お互い協力出来て良かったということで。」

コメントを求められたように感じたニーアは当たり障りのない返しをした。

「しかし、まさかあの脚8本を一人でしのぎ切るとは、一体どうやったんだい?」

みなの視線がニーアに集まる。ダミアンも信じられないという表情である。あの時、みんな満身創痍でニーアの挙動に注目する余裕のある者はいなかったようだ。

「ははは、あれは、まあ、、、企業秘密ということで。」

ニーアは笑ってごまかす、正直自分でもうまく説明ができるかわからない。一言で言うと必死にやったというところだが、振り返ってみると、最後の方は剣技スキル「ゾーンオブモレキュラ」を発動できていたようだ。最初からやれよと言われかねないなと思い言いにくいのだった。

そのあとも盛り上がり、みな満足するまで食事と会話を楽しんだ。


食事の後、倒したモンスターの素材の換金も兼ねて、冒険者ギルドに向かった。Sランクモンスタークラーケンキング討伐の報告があるため自動的に一緒に行くことになった。

「おい、あれ、Sランク冒険者スタークだぜ。」

「ダミアンもいるぞ、あと後ろにいるのは、上級魔族殺しの鉄面女剣士のニーアだっけか。なかなかと豪華なメンバーだな。」

冒険者ギルドに入ると、周りにいる冒険者から噂話が聞こえる。Sランク冒険者の二人は流石有名人だなと思いシンイチも後に続いた。ニーアとしては自分につけられた聞き覚えの無い通り名が気になった。

「こんにちは、スタークさん。お久しぶりですね。」

受付のギルド職員が明るい声をかける。

「ああ、こんにちは、今日も笑顔が素敵だね。討伐したモンスターの換金を頼みたいんだが、ちょっとここじゃ狭いから奥の解体場を貸してくれるかな。」

笑顔をほめられうれしかったのかギルド職員はテンションが上がっているようだ、ご機嫌な様子で案内してくれる。

「はい、わかりました!それではこちらへどうぞ。あら、ニーアさんたちも一緒ですか?スタークさんがパーティ組むなんて珍しい。」

「ああ、成り行きでね。でもなかなかよかったよ。」

「えっ、スタークさんがそんなこと言うなんて珍しいですね。じゃあこれからもパーティで活動を?」

「いや、それとこれは話が別だよ。」

そんな会話をしながら奥の解体場へ移動し、作業台の上に買い取ってもらう素材を無造作に出した。

「こっちの魚と、クラーケンキングについては6等分だ。」

「えっ?」

ギルド職員が固まる。

「え、そんな。僕らが同じだけもらうなんて、貢献度が全然違いますよ。」

ユータとロザーティアも恐縮して固まった。

「まあ、いいんじゃない。もらえるときはもらっておきなよ。いざという時に備えて貯金しなきゃ、貯金。」

ニーアの発言を聞いてみんなが笑った。

「いい性格してるな、全く。まあ、そういうところが気に入ってるんだがな。」

ダミアンがまたしてもさりげなく好意をアピールをしている。スタークも何か言わなくてはと思ったがとっさに言葉が出ず、ちょっと乗り遅れてしまった。

「ちょっと、ちょっと!待って下さい!取り分の話をしている場合じゃないですよ!クラーケンキングって、あのSランクモンスターのですか?」

ギルド職員のリーンが間に割って入った。驚きのポイントの違いに我慢ができず思わず突っ込んでしまった形だ。

「ああ、そうだよ。僕たちって一応Sランク冒険者だからね。」

「それは知ってますけどー、、Sランク冒険者とはいえ、Sランクモンスターの討伐は簡単ではないと思います。。」

クラーケンキングの討伐と聞いて、にわかにリーンの忙しさが増したようだ。鑑定スキル持ちの職員を呼びに行き、間違いなくクラーケンキングのものであることを確認し、Sランクモンスターの素材買い取り相場を調べとせわしなく動き回っている。

他の冒険者にもその忙しい雰囲気が伝わったようだ。

「ギルド職員の目が血走ってるぜ、あいつらいったい何をやったんだ?」

「Sランク冒険者ともなると狩った獲物が多いのかもしれんな。」

そんな噂話を聞き流して待っていると、しばらくしてカウンターに呼ばれ、査定の結果を提示された。一人当たりの取り分は金貨402枚となった。

(クラーケンキングだけで金貨2400枚(日本円にして約1億2千万円さすがはSランクモンスター!)の査定となった。それとは他に、自分たちがオラキ島で狩った分は一人当たり金貨50枚になった。

「こんな大金稼いだことないや。」

「これからの活動資金として大切に使わないとね、ユータ。」

ロザ―ティアとユータは金額の大きさに若干ビビり気味である。

「現実世界に持って帰れたら大金持ちになれるのにね、ゲームたくさん買えるのになー。。」

シンイチが横で妄想しているのを聞いて、見た目は少し大人になっても中身は所詮子供か、とあきれるニーアだった。


カウンターで報酬を受け取り帰ろうとすると、受付嬢リーンが大きな声でみなに伝えた。

「スタークさん、ダミアンさん、ニーアさん、シンイチさん、ユータさん、ロザーティアさんの6名で、あのSランクモンスター、クラーケンキングの討伐を達成しましたー!」

今にも福引で当選した時の鐘をカランカランと鳴らしそうな勢いである。

「うおー、すげー!さすが、スターク!」

「まじかー、倒すところを近くで見てみたかったぜ。」

周りにいた冒険者たちが盛り上がる。ここの町の冒険者はかなり体育会系の人が多くノリが良く一体感がある。セルディス王国王都直下のギルドだと、妙に洗練されたというか、落ち着いた雰囲気もありこうはならないだろう。

これで自由に漁に出れるなど、冒険者ではない人にも恩恵があるらしい。家族に漁師がいるという冒険者がわざわざお礼を言いに来た。ちょっとしたイベントのように盛り上がっていたが、その盛り上がりの火に油を注ぐようにダミアンが追い打ちをかける。

「サンキュー、みんな!今日はお祝いだ、俺たちがおごるから飲めー。」

「うぉー!」

そこからはもうめちゃくちゃになり、酔いつぶれるまで飲めや騒げやという状態で、まさに地獄絵図という表現がぴったりくる状況になった。ニーアたち4人は未成年のため当然まだお酒は飲めなかったのでノンアルコールの飲み物を飲んでいたのだが、あまりにも騒がしかったので途中でこっそり抜けだしてきてしまった。

「はぁー、疲れた、、」

「ひどい状況だったね。。」

ユータとロザ―ティアがつぶやいた。

「ちょっと付き合いきれないわね、、一応、途中までは参加したから主役の義務は果たしたと思うのよね、」

ニーアも同意する。

「昼ご飯を食べたばかりだったのに、スタークさんとダミアンさんはすごいね。さすがSランク冒険者だね。」

「そこはSランク関係なくない?」

シンイチのコメントに思わずニーが突っ込みを入れる。

冒険者ギルドを出て宿へ戻ろうと歩き始めたとき、ちょうどそこにライジングサンのシモンがやってきた。

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