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第百二十二話 vsサモンドドラゴン

「じゃあ僕が、ドラゴンを引き付けるからユータは攻撃をお願いできるかな。さっき僕がウォータースラッシュで傷をつけたところを狙えるとべストだけど。」

「分かった、やってみる。ユニテアたちは援護射撃でドラゴンの目とかを狙ってみてくれ。」

「そうだね、そっちに気が向いたら僕もすかさず魔法で攻撃をするよ。くれぐれもヘイトを取りすぎないようにね、ブレスを吐くときに狙われたらかなり広範囲に来るから躱すのは難しいと思う。僕のマジックシ-ルドであれば耐えられそうだから、ブレス攻撃はなるべくこっちに。」

「私たちは後ろから援護するよ、ロザーティアも一緒に来な。」

「はい。」

ユータとシンイチを残し他のメンバーはすぐさまその場から散っていく。固まっているとドラゴンのブレスの餌食になるというシンイチの助言に従ったためである。

ユータの攻撃力が高くシンイチがうまくドラゴンの気をそらしたすきにダメージを与えていく。狙いも正確でシンイチの指示通り傷口に確実に攻撃を当てている。カウンターでドラゴンの爪の攻撃が来るがうまくかわしている。ドラゴンの攻撃が外れ地面を抉り、その衝撃で地面の破片が飛び散った。それを躱すことに気を取られたユータは、ドラゴンの反対の手からの攻撃への反応が一瞬遅れた。

「まずっ!」

ユータは間に合わないと判断して防御態勢を取った。しかし思ったよりも衝撃が来ない。顔を上げてみると、シンイチが盾で攻撃を防いでいた。

「すまないシンイチ!助かった、大丈夫か?」

「うん、大丈夫だよ。ユータもまだいけるよね?」

「ああ、もちろんだ。」

ユータは再び攻撃態勢に入りドラゴンに向かって行った。

ユニテアとロザ―ティアでペアとなり、ジェイニスはまた別の場所から弓での遠距離攻撃を開始する。シンイチやユータにタゲが行き過ぎないように目を狙うがドラゴンも動いているためなかなか当たらない。目の周りの鱗には当たっているがまるで蚊に刺されたくらいしか気を引けないようだ。

「このままじゃだめだね。」

ユニテアはそう言って、チャージショットという弓の攻撃スキルを放つ。発動までの隙が大きいため1対1の戦いでは使いにくいが、他のだれかがヘイトを取ってくれていると使いやすい。攻撃の威力を通常の2倍とすることができる。

「私も行きます。アイスショット!!」

ロザ―ティアがユニテアのスキルと合わせて、魔法を放った。今度は目に命中しドラゴンをひるませることができた。そのすきにシンイチは闇属性中級魔法のダークアブソープで体力を回復する。クリーンヒットはされていないものの、防御していても少しずつHPが削られていくためこういった隙があると蓄積したダメージをリセットできるのでありがたい。

ここまでは安定して戦えている、これをキープできればこのあと1時間でも戦えそうな感触があった。ここまでの戦いから召喚されたドラゴンは回復スキルを持っていないようなので、ユータと共にこのままダメージも与えていけばいずれは倒せるはずだ。ただ、一つ心配としては、相手のHPが想定よりも高い場合、こちらがじり貧となる可能性がある点だ。シンイチは定期的にドラゴンから吸収して体力回復ができるが、他のメンバーはそうはいかない。ポーションなどの回復薬も限りがある、事故が起こらないうちにニーアが敵の召喚士を倒してくれればよいけど。。


タカキがようやくシンイチたちに追いついたとき、ドラゴンにかなり追い詰められているように見えた。

シンイチ以外のメンバーは明らかに疲労の色が浮かんでいる。周りの建物そこらじゅうが焦げていて、まるで大きな火事があったかのような状態である。おそらくドラゴンがあたり構わず火炎ブレスでも吐いたのだろうと想像した。中でもユータはかなりダメージを負っているようだ、近距離でドラゴンの相手をし続けるのは大変だろう、シンイチのように防御特化のジョブでないためなおさらだ。タカキは迷わず援護射撃の体勢に入った。シンイチがタゲ取りをしてくれているおかげで遠距離からゆっくりと照準をつけられそうだ。帝国兵向けに使用していた麻痺弾ではなく、通常の威力の金属弾を詰め込んだ。しかも相手はドラゴンということで奮発してミスリル弾にする。シンイチがいる方向とは別の場所から狙撃することでどちらかを死角となるように位置取り狙いをつけた。一発、二発とドラゴンに命中する。思いのほか威力が強かったようだ、ドラゴンの右の肩口を吹き飛ばす。みなが驚いて攻撃が来た方向を向き、タカキの姿を確認した。

「な、なんて威力だ。タカキさん凄いですね!」

ユータが独り言のようにつぶやきシンイチを見ると、にこりと笑って頷いている。

「おいおい、威力十分なんじゃないの。」

「モンスターの中でもドラゴンの皮膚は最高の硬度を誇ります。召喚されたドラゴンなので本物のドラゴンよりは劣るとはいえ、たった2発であそこまでのダメージを与えるなんて。。」

タカキの近くにいたロザーティアとユニテアがタカキの攻撃力に戸惑いながらも近寄って声をかけた。

「この調子なら楽勝だな。」

少し離れたところにいたジェイニスもその威力に興奮し、少し元気が出たようだ。こちららに近寄ってくる。

「いや、そう簡単に行かないようだ。」

次の攻撃の弾丸を充填しながらタカキが言う。ドラゴンがゆっくりと建物の上にいるタカキ達の方を向いた。

「あの状態でまだ平然としているの?」

「奴の意識がこっちに向いた、おそらく攻撃が来る、こっちも迎撃するが、向こうの攻撃をゼロにはできないだろう。」

そう言い終わらないうちに、ドラゴンが火炎ブレスを吹いてくる。

「まずい!」

シンイチが叫ぶ。

ユニテアと、合流したジェイニスが防御魔法を展開しブレスを防ぐ。シンイチもとっさにアイスウォールを展開するが、距離の遠いタカキ達の場所にアイスウォールを発動させるのは高等技術で完璧な壁を生成できたとは言えなかった。暫くの間ドラゴンのブレスに包まれる一行、タカキが炎の来る方向に一発、二発とライフルを打ち込む、物凄い叫び声がしてようやくブレスが止んだ。

防御魔法で守っていたがそれでもかなりのやけどを負ったようだ、ジェイニスとユニテアが膝をついた。タカキも体のあちこちが痛い、それでも急いでマジック収納ボックスから人数分の上級ポーションを取り出し、自分も飲みつつみんなに投げ渡す。

「早くこれを飲むんだ。動けるくらいには回復するはずだ。」

みんなを回復する、痛みがすっと和らいでいく。ユニテアとジェイニス、ロザ―ティアが再び立ち上がった。

「ありがとうございます!まだまだ行けそうです。」

「それは良かった、だが無理はしないようにな。」

ロザーティアに声をかけるタカキ、若い女の子がこんなにも体を張って戦わないといけない世界というのはきついものだと改めて思う。

タカキ達が回復している間に、ドラゴンもタカキに撃たれたダメージから立て直し、更にもう一回ブレスをしようと動作に入った。

「さっきはギリギリだったけど、もう一回耐えられるか?」

一同に緊張が走る。そのとき、ドラゴンが大きくバランスを崩して倒れたのだった。


シンイチ達にタカキが合流したときからさかのぼること十数分、ドラゴンとの戦闘を回避したニーアは向かってくる帝国軍兵士を押しのけ敵の本陣付近まで到着していた。そばにいた護衛の兵士を気絶させ戦闘不能状態にすることで、ついにドラゴンを呼び出した召喚士のもとに立った。

うわっと驚きの声を上げる召喚士、見た目はずいぶんと若そうだ、自分と同じか少し上くらいだろうかとニーアは感じた。

「命までは取らないけど、暫く眠ってもらうわよ。」

「ちょっと待って、こっちには最強の助っ人がいるんだ、悪いことは言わないからそのまま立ち去ったほうがいいよ。」

召喚士が緊張した声で言った。

「あなた個人には恨みはないけど、この戦争をさっさと終わらせたいの。そのためなら私は最短の道を取るわ。」

ニーアは問答無用と言わんばかりに、剣の腹の部分で叩いて意識を奪おうとした、その時、横から一人の剣士が飛び出てきてニーアの剣を受け止めた。思わぬ、帝国側の伏兵に、ニーアはとっさに距離を取る。

このタイミングで自分の剣を防ぐとは、しかも直前まで全く気配を感じさせなかった。只者ではないと一瞬で判断した結果である。

「あなたが最強の助っ人?なるほどね、確かにそれなりの腕を持っていそうね。まだそんな使い手が隠れていたなんてね、って、え?」

よく見ると、そこに現れたのは帝国軍の鎧に身を包んだかつての勇者パーティの仲間アンナであった。

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