表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/12

悲劇! 超レアバージョンリングがドロップされてしまう……前

 俺は突然土下座した。


「頼むっ俺の人生がかかっているんだ! こんな事頼めるのお前、いや幼馴染のセレスティアしかいないんだよ! お願いだよっ!!」


 情けないが最後は泣き落としに賭けた。チラッと顔だけ上げてセレスティアを見上げるが、腕を組み恐ろしく冷たい顔をしている。


「………………」

「ね?」

「ね? じゃねーわ」


 やはり駄目か……


「さっきの幼稚園の時の話、ちゃんと覚えているの?」


 え? 何言ってるんだこの人。


「いやーそんな話もあったかなあ? よく覚えて無いや」

「………………んじゃ良いわ。武器買え! 一番高いヤツとは言わん、それなりに高い商品を買え」


 脈ありと思い、俺はすくっと立ち上がった。


「いや、こういう愛のしるしみたいなやつを、お金でどうこうするのは違うんじゃないかなあ?」

「お前が言う台詞じゃねえわ!!」

「分かった! 塔から飛び降りる気持ちで買うわ! それでいいんだな? 頼むよ」

「口約束じゃ信用出来んわ、今買ってローン組んでいけよ……」


 セレスティアの怒りとも何ともつかない冷めた視線の中、俺は普段ならもったい無くて絶対買わない様な高級な剣をローンを組んで買った。高級と言っても一般人レベルでの高級な剣という意味で、これが伝説の剣であったり後々大活躍する……なんて伏線的な事は全く無い。



 次の日、さっそく下町の近くにある、初心者向けのダンジョンに入った。


「うー、なんでこんな事になったかなあ、人魚のユリウルのペアリングあたしにゃあ関係無いとは思ってたけど、お前が叩き壊す為だけに取得しに行く事になるとはなあ」


 セレスティアがダンジョンに入るなりぶつぶつ言い続けている。


「いい加減許してくれよ、俺の分は叩き壊すけどさ、お前の分はちゃんと残るんだから有効に使うつもりで気持ち良く行ってくれよ……」


 等とぶつぶつ言いながらもセレスティアは、初めて見るくらいに武装してこの場に臨んでいた。


「お前ってそんな自前の鎧とか保有してたんだな? すっげえ似合っているぜ!! でもここのダンジョン、特にユリウルが出て来る辺りなんてたいした敵は出てこないから、私服でも良かったんだがなあ」

「来てもらっておいて文句言うな! 怪我したら嫌なんだよ別にいいだろが」


 しかし身体にフィットする軽装の鎧を装着したセレスティアは割とスタイルが良くて驚いた。中の中程度の顔の俺と違い、割と美人でスタイルも良いセレスティアは何故ずっと独り身なんだろうか? 等と余計な事を考えながら歩いた。


「何じろじろみてんだよ? 鎧の女フェチか??」


 え、見てたのバレてる??



「しっかし初心者向けダンジョンとは言え、全然敵が出てこんな? 冒険ってこんなもんか?」


 セレスティアがキョロキョロ警戒しながら言った。


「いや、これはヤバイかも知れん。どうやら先客がいるなあ……張り切って襲って来ないザコモンスターまで根こそぎ討伐してるよ……今日はユリウルも出てこないかもしれん」

「マジかよ……今日一発で済まないのかよ?? めんどくさいなあ」

「そこまでポコポコ簡単に取れたらありがたみもないだろー頼むよー」


 俺は歩きながらセレスティアに手を合わせて拝んだ。



「もうすぐユリウルが生息している地下の泉だからな、残っててくれると良いなあ」

「あーそうだな、わくわくするよな」

「もーーセレスティアさん! どうせやるならもうちょっと楽しくやろうぜっ! なっ!」

「なっじゃねーわ」


 なかなか気分が乗ってくれないセレスティアの機嫌をひたすら取りながら進む。



「やん……やっぱりだめっ」

「いいじゃないか……こんな所誰も来ないよ……」

「はあはあはあ……んっ、ちょっと脱がさないで」

「凄く……綺麗だよ……」


 少し進んだ所でとても淫靡な声が聞こえて来て、俺たちの足はぴたっと止まった。ザコ敵を狩りながら進んでいた先客のカップルだった。ユリウルのペアリングを入手して興奮のあまり所かまわず始まってしまった……という所だろうか。そーっとセレスティアの顔を見ると、氷の様に冷たい顔をしていた。


「あ、あのセレスティアさん、少し待とうか……ね」

「こらああ!! 公共の場所で何しとんじゃ!! 後がつかえてんだ! はよ帰れバカップルがっ!!」


 瞬間的にブチ切れていて俺は慌てた。


「こらこらやめなさい、ダンジョンの深部が公共の場所かどうかは議論の分かれる所でもあるし、ちょっと待っておきましょうね。すいません、この人少し気が立ってて」


 俺は必死にセレスティアをなだめたが、彼女の怒りも最もだ。望まない攻略の最中にこれだと、ぶち切れてもしょうがない。


「なに怖い……帰りましょう!」

「ふん、覗きとは良い趣味だな!!」

「なんだと!! 覗いてねーわっ!!」

「わ、すいませんすいません、では狩場引継ぎますね、おつかれさまでした~~」


 俺はセレスティアを必死になだめながらも、バカップルにぺこぺこ頭を下げ続けた。



「ふーっふーっ、あーーームカツク、めっちゃムカツク。なんで来て早々あんなもん見せられにゃならんのだ」

「まーまー許してやれよ。それよか問題なのは、あのバカップル達が乱獲し過ぎてユリウルが一匹も居ないんだが……」

「やっぱりもう許せん、あの迷惑カップルを代わりに狩って来る!!」

「はわわ、やめやめ、警察に捕まる!!」


 俺は必死にセレスティアの肩を抑えた。


 ドスーーーン、ドスーーーーーン!! ザバーーーン!!

ん、なんだ? さらにダンジョンの深部から物凄い音が……


「アルケイド、これ何の音?」

「Bランク冒険者に聞かないでくれよ……」


 ドスーーンドスーーーーン!!

音が近付いて来た!!


「何だよこれ!?」

「でかい! デカすぎだろ!!」


 目の前に現れたのは、通常大きくても1メートルは越えない人魚のユリウルという名前のオオサンショウオ型モンスターだが、出現したそれはゆうに5メートルは越えていた。

書き進めている内に中途半端に文字数が多くなってしまったので、二つに分割してみました。後ほど後半部分を投稿しますので、よろしければ是非お読みください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ