奇跡の自力逆転大勝利! 俺は二人共手に入れるっ!!
「きたねえぞっ!」
「ヒャッハー! どんな手でも勝てば正しいのさっ!」
俺は言葉が出なかった。次々技が飛んで来る。
「くっ駄目だ避けられない!?」
「ははははは! もう遊びは終わりだ! こんな物騒な所から早く出る為にもなるべく早くお前は殺す!!」
ファディナの剣技がびゅんびゅん飛んで来る。左右から挟む様に攻撃して来て逃げ場所がどんどん減って行く。その気になれば一撃で殺されるだろう。
「もう逃げてっ! アルケイド降参してっ!!」
セレスティア駄目なんだ、多分降参しても関係者全員消される! 俺が観客の前で勝つ以外助かる方法が無いんだよ!!
「止めだっ!! 死ねえ!! ヒャッハーー!!」
遂にファディナが遊びを止めて、確実に俺を仕留める剣技を繰り出した。
「きゃーーーーっ!!」
ソフィアとセレスティアの叫び声が聞こえる中、情けないが俺は足がすくんで攻撃が寸前に迫る中、ただただ立ちすくんでいた。
ぴょよぴょよぴょよぴょよ、ぴょよぴょよぴょよぴょよ、ぴょよぴょよ
俺死んだーと思った時、ぴょよぴょよという謎の鳴き声が聞こえた。
「何だこれは!?」
俺とファディナはほぼ同時に同じ事を叫んだ。俺の目の前には約5メートルの巨大なモンスターが出現していた。
「人魚のユリウルの……レアバージョンじゃん、何でここに!?」
『ああーーーーっと! 何と言う事だ、アルケイドは召喚士だったーーーっっ!! 巨大なオオサンショウウオ型のモンスターが召喚されたっ!』
「え、ええ、おお、俺が召喚士? これが召喚獣!?」
俺は思わず自然に着けていたキラキラ輝く人魚のユリウルのレアリングを見つめた。
「何だこんな化け物!? おりゃっライトニングソード!!!」
バシッ!!
ファディナが撃ち出した剣技がユリウルのしっぽで簡単に弾かれる。明らかに俺が倒した時よりも召喚した今の方が強くなっている。
「審判! こんなの反則だぞ! こいつは没収しろ!!」
「いいえ、貴方は試合開始前に、アルケイドならどんな武器を持ち込んでも良いと宣言していました。よって反則ではありません!」
「な、に?」
はっはーーー!! こりゃなんて偶然だ! 攻守交替と行こうか!! どうやらファディナはユリウルの弱点を知らないな……
「よし、今日からお前はユルルルだ! ユルルル、少し遊んでやれっ!」
「ユルルル……アルケイド……」
セレスティアの目が潤んだ。
ぴょよぴょよぴょよぴょよ、ぴょよぴょよぴょよぴょよ
ユルルルはファディナの剣を全て跳ね返し、ファディナの両足に巨大な尻尾を巻き付けると、逆さまにぶら下げた。
「よーしっ、その調子でプランプランして遊んでやれ!!」
「き、汚いぞお前っ!!」
逆さまに吊られたファディナが必死に叫んでいる。
「はぁーーー? 勝てば正しいんだろ?? よーし、会場中のお客さんに良く見える様にぐるぐるねり歩け!!」
ぴょよぴょよぴょよぴょよ
ユルルルは一声鳴くと、ファディナを尻尾で振り回しながら闘技場を練り歩き出した。
「うげーーーーーっ気持ち悪いっもう助けてくれっ!!」
「よし、軽く床に叩き付けろ!」
びたんっびたんっとユルルルがファディナを床に叩き付け始めた。石の床に叩き付けられるファディナ。これを続けると明らかに死んでしまうだろう……
「も、もう止めて上げてっ!!」
ソフィアが叫び声を上げる。
「ひっひいいい、もうお助けを……」
「ソフィアの事は諦めるか?」
「……ひゃ、ひゃい……もうお許しを……」
ファディナが手を合わせて哀願して来た。
「仕方無いな……では降参しろ!」
「ひゃ、ひゃい……審判、参りましたっ!」
審判がちらっと観客席の王様を見た。王様はすっと手を上げ試合の終了を告げた。
『あーーーーっと審判がアルケイドの勝利を告げました!! なんと勝者Aランク冒険者、いや召喚士のアルケイドに確定!!』
「イエーーーーーーーッッ!! イヤッホーーーーー!! 勝ったぜーーーーー!!!」
ぴょよぴょよぴょよぴょよ
俺は絶叫して闘技場内を走り回った。その俺の後をユルルルが付いて回る。これの戻し方が分からんが……
「アルケイドッ! 心配したっばかぁ」
「アルケイドさまっ! よくぞご無事で!」
「ユルルルが助けてくれたよ! セレスティアのお陰だよっ!」
「もうっ!」
セレスティアとソフィアが両側からがばあっと抱き着く。まさに両手に花だった。
「王様、あの者どうされるのですか? 本当に消してしまわれるのでしょうか?」
「ほっほっほっ、なかなか面白そうな奴じゃ、殺す事も無いだろう」
「良かったですわっ!」
美女と王様は会場を後にした。
数日後、俺はソフィアとセレスティア、初めて三人でデートというか、街に繰り出して遊んでいた。
「ほらほら見せて、あたし達の指輪……これが勝利の決め手になったんだよね!」
「まわっわたくしも欲しくなって参りました……」
「お、おう……」
「もうこれ、本ちゃんの婚約指輪でもいいよね、別に高いヤツはいらないからっ」
「ええ、お二人はもうそこまで……ズルいですっ!」
「えっ?」
「えって、生き残ったら一緒に暮らそうって言ってたじゃん!!」
「そ、そうなのですか……嫉妬……します」
抱き着くセレスティアに対して、ソフィアが戸惑った様な顔をする。
「いや、それなんだけどさ、冷静に考えたら、もうちょっと二人はじっくり自分達を見つめ直す期間が必要かなっていうかさ……」
「はぁ?? どういうつもり!? 決闘前だからって人の身体さんざん弄んでおいて、いまさらどういうつもりだよ!?」
「か、かかか身体を弄ぶ!? 鼻血がっ」
ソフィアが鼻を押さえる。
「聞いてくれっ俺としては、いつも俺を支えてくれるセレスティアも、そして純粋なソフィアもどっちも大切な人なんだよっ! どっちか選ぶなんて出来ないよ、だから……」
「だから?」
セレスティアが目を細めて睨んで来る。
「だからさ、しばらくは三人で楽しく暮らすとか……駄目かなあ?? なんて」
「はぁーーーー?? ふざけんなっ!!」
「わ、わたくしはセレスティアさまとなら、ご一緒でも……」
ソフィアが頬を赤らめる。
「だめだめ、こんな奴すぐに調子乗るから! ほら一緒に行こっ!!」
「あっああ、アルケイドさまっ」
セレスティアがソフィアの腕を掴んで連れて行く。
「ちょ、ちょっと待ってくれよっ!! なーー怒らないでくれよお!!」
俺は慌ててソフィアを連れてどんどん歩いて行くセレスティアを追いかけた。せっかく転がり込んで来たこんな幸運を絶対に逃がさないぞ~。俺はセレスティアとソフィア両方を必ず手に入れる事を心に決めた!!
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