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悪魔の館  作者: 北キツネ
9/11

怪物の1人が廊下を進み、ある部屋の前で足を止めた。

その姿は体中に瘤のような膨らみがあり、手や腕には大小の口が幾つも付いている。

しかも口には鮫のように鋭い牙が並び、頭のような物は無いが胸には大きな目が1つあり、部屋の扉へと真直ぐに向けられていた

するとおもむろに腕を引いたかと思えば扉に拳を叩き付け壁を巻き込んで残骸へと変えてしまう。

そして部屋に入ると目だけをしきりに動かして部屋を探り隅にあるクローゼットへと向かって行った。

しかし、その手は再び後ろに引かれると扉を突き破り中へと差し込まれる。


「キャーー・・・!」


その途端に中から短い悲鳴が上がり大量の血が流れ出して来る。

そして手が引き抜かれると赤く染まった手と血塗れの女性が姿を現した。

しかし、その首は手にある口の一つによって深く抉られ既に生きている様子はない。

怪物は引き出した女性をその場に吐き捨てるように投げ捨てると興味を失ったように移動を始めた。


「一撃で殺してしまうとは失敗しました。次はもっと楽しく死んでもらいましょう。」


怪物は移動を開始して少しすると再び足を止めて同じ様に中へと入って行く。

すると今度は足元に目を向けると敷かれている絨毯を払い除け石のタイルへと拳を突き刺した。


「きゃーーー!」


そこには床下に隠し部屋があり1人の女性が隠れていた。

しかし今度は絶妙な力加減で蓋だけを破壊し、覆い被さるようにしながら大きな単眼で中を覗き込んだ。


「見つけましたよ。」

「いやーーー!!」


女性は逃げ場のない場所で怪物と目を合わせると心臓が止まりそうな程の悲鳴を上げた。

それを怪物は目を細めて見下ろすと手を優しく差し込み女性を掴んで持ち上げる。

その間も肺から全ての空気を吐き出すようにして何度も悲鳴が続き外の見えない窓ガラスを何度も震わせる。

しかし、女性の悲鳴が空気を激しく震わせたのはその時が最後だった。

怪物は掴んでいる手に力を加えると下腹部から胸までを圧迫していく。

それによって女性は呼吸が困難になり必死に空気を吸おうとした。

しかし、僅かに吸った空気はすぐに掠れた悲鳴となって吐き出された。


「アァーー・・・!」


怪物は手に付いている口を使い女性を生きたまま食べ始めた。

肉や骨は鋭い牙によって容易く噛み切られ足元には既に赤い水溜まりが出来ている。

彼女は断末魔の叫びすら上げられずその命が消えるまで地獄の苦しみを味わった。

そして、命が付きて痙攣すら止まると怪物は飽きた玩具を手放す様に投げ捨て次の場所へと歩き出した。


そして次なる獲物を探して館を徘徊し犠牲者を出しながら再び扉の前で足を止めた。

しかし急に扉が開くと中から1人の女性が飛び出しその横を駆け抜けていく。

それを正確に目で追い、活きの良い獲物だと思いながらその背中へと牙を剥き出しにした手を伸ばした。


「逃がしませんよ!」

「ク!」


だが今回はその鋭すぎる牙が仇となり肉を切り裂くだけで捕まえる事は出来なかった。

しかしその腕には深い傷が刻まれ抑えても止まらない血が床に痕跡を残している。

怪物は床に落ちている血の跡を見詰めると手に着いた血を複数の口で奪い合う様に舐め取り廊下の先へ視線を向ける。

そこでは先程の女性が腕を抑えながら通路を曲がり姿を消す所だった。


「少し油断し過ぎましたか。しかし、逃げる者を追うのも一興ですね。」


そして怪物は楽しそうに目を細めると血の跡を辿って歩き始めた。

するとしばらく先で血の跡が血飛沫に変わり、壁には大きな血の跡が付いている。

しかし、そこで血の跡が途絶えてしまい周囲へと視線を走らせた。

だがここは長い廊下が続くだけで部屋や隠れる場所は見当たらない。

怪物は腕を組むと過去の経験と現状を照らし合わせながら状況の分析を始めた。


「まさか途中で引き返して道を変えたか?いや、あの状態の人間がそこまでの知恵を働かせられるとは考え難い。そうなると・・・第三者の介入か。」


そして、目を凝らして廊下の先を見るとそこで2人の人間を発見した。

その片方は明らかに先程傷を負わせた女性であり、腕には止血の為に何かが巻かれて固定されている

怪物は新たな獲物の追加に再び目を細めると通路を進み始めた。



その少し前に腕を噛み切られた女性は恐怖と絶望の中で廊下を走っていた。

その足取りは危うく今にも倒れてしまいそうな程だ。

しかし、後方からは既に怪物の足音が聞こえ頭の中はパニックに陥っていた。


「死にたくない!死にたくない!死にたくない!」


その生への執着だけが彼女の足を前へと進ませ逃走を可能にしている。

しかし、ある廊下に踏み込んだ所で彼女はバランスを崩して壁へと激突してしまう。

それと同時に傷を壁に押し付けてしまいまるで水道を開いたかのように血が噴出した。


「え!やだ!なんで!!」

「どうやら血管の一部が破裂したみたいね。」

「誰!?」


すると目の前には昨夜の遅くに自室へ訪れたミヤが立っていた。

その目は冷静というよりは冷たいと表現した方が正しく、血が出ている腕を見下ろしている。


「助けて!化物に追われてるの!」

「あなた、私になんて言ったか覚えてないの?」

「・・・。」


そこで女性はミヤの突き放すような言葉を聞いて口を閉ざした。

昨日の夜に彼女はミヤの話を鼻で笑いタツトを貶しながら早く死ねば良いのにと口にしている。

その運命が自分に襲い掛かっているから助けてくれとはムシの良い話である。

しかしミヤは軽く溜息を零すと先の曲がった鋏のような物を取り出した。


「でも、私は医者なのよ。どんな暴言を吐かれても拾える命は拾って行かないといけない。それがどんな相手であってもね。」


そう言って女性の手を退けさせると鉗子という道具を傷へと差し込み、血管を挟んで一時的に止血を終わらせる。

それを素早くガーゼと包帯で固定すると肩を貸して無理矢理に立たせた。


「急ぐわよ。」

「・・・ごめんなさい。」

「生き残れたらタツトにもちゃんと誤りなさいよ。」

「はい。」


そして、二人三脚のような速度で走り始めるとフラつきながら廊下を通過していく。


「ねえ、なんでこの道はこんなに気持ち悪いの?それにこの臭いって・・・。」

「ここは道が歪んでるのよ。後ろの奴にも効果があれば良いんだけど。」


そう言って2人は後ろを見ると怪物もフラつきながら歩いている。

どうやらしっかりと三半規管を持っている様で大きな目と単眼が仇となり上手く歩けていないようだ。


「好都合ね。それにそろそろ奴が通路の真ん中に差し掛かるから頃合いね。」


ここの通路には窓があるがその外は分厚い壁に覆われて逃げ場はない。

それに等間隔で電灯は設置してあるが位置を特定し易くするために壊して数を減らし薄暗くなっている。

そして、ここに仕掛けられている数々の罠が言葉の通りに火を噴く時が来た。


「アケノちゃん!やりなさい!」

「はい!」


道の先では既に火の点いたライターを持ったアケノが待機していた。

そして火が床に触れると端に沿って炎が走り、その進路上に置いてある容器を包み込んで行く。

それには布が巻き付けてありしっかりとガソリンが染み込ませてある。


「やっぱりこの臭いはガソリンね!でも何処から!?」

「皆の車からよ。幾つか壊したけど十分な量が確保出来たわ。」


そして激しく燃え上がると容器は砕け床に広がったガソリンが通路一帯を炎の海に変えた。

それによって怪物は炎に巻かれ火傷を負いながら慌てて走り出した。

しかしバランスを崩して足を何かに引っ掛けると簡単に転倒してしまう。


「どうしてこんな所にロープが!」


このロープは炎で通路が満たされると仕掛けが切れて張られるようにされていた。

しかもそれを狙っていたかのように次の罠が作動し頭上からガソリンの入った瓶が何本も落下してくる。

それはさながらナパーム弾のように化物に命中するとその身を直接燃え上がらせ、更に炎の勢いを上げさせた。


「おのれ小癪な事を!」


既に化物の体表は熱で爛れ唯一の目も光りを失っている。

それでも壁を頼りに前へと前進すると炎からの脱出に成功する。


「フフフ・・・ここでしばらく休めば体も回復する。悪魔の回復力を甘く見るなよ。」

「そんな時間を与える訳がないでしょ。」


すると怪物の背後から声が聞こえ何かを突き刺された痛みが襲ってくる。

しかし致命傷と言うには程遠く自身の再生能力をもってすれば僅かな時間で治る程度のものだった。

そう思ったのも束の間であり、化物は体に激しい痺れを感じるとその場に力なく倒れてしまう。


「こ、これはまさか!」

「あなたの想像通り毒を注射したわ。しかも鯨でも死ぬような量を一気にね。」

「ど、どうして貴様がこんなものを!?」

「私は医者よ。しかも表じゃなくて裏の闇医者。時には生かし、時には殺す為にその腕と知識を使う。実はこんな状況じゃなければ料理に一服盛って皆には退場してもらう予定だったのだけど、あなた達が余計な事をしてくれたから予定が狂ったのよ。」

「ま、まさか・・・貴様のような・・奴が・・紛れているとは!」

「タツトが上手に隠れ蓑になってくれたおかげで私はフリーで動けたわ。あなた達は人間を舐め過ぎよ。」


そう言ってミヤはガソリンの入ったポリタンクを置いてその場にブチマケ煙草に火を点けた。

そしてその場から離れると歩きながら後ろにライターを放って火を点けその場を後にする。

背後では炎に巻かれながら断末魔の声が響き渡り怪物がまた1人始末された。

そこへ先程助けた女性が歩み寄ると恐々とした顔つきで声を掛ける。


「ね、ねえ。どうして他の人を見捨てたの?この仕掛けがあれば最初から倒せたんじゃない。」

「悪いけどこれだけの仕掛けを作れたのはここだけよ。それに私達は既に犠牲も勘定に入れて行動してる。言っておくけど人間なんてちょっと針で刺すだけでも殺せるのよ。そんな私達が奴等に勝つために犠牲を出さないなんて有り得ないでしょ。」

「そ、そうだけど。」

「それにあなた達には既に生きる為のチャンスを与えたでしょ。分水嶺を見誤ったのはあなた達の方。もし不満だというなら今からでも残った奴等を助けに行きなさい。行動の伴わない言葉なんて何の意味もないわ。」


ミヤはキッパリと断言すると女性を置いてアケノの許へと向かって行った。

既にここもかなり空気が悪く移動しなければ命が危ない。

特にアケノは心臓と肺を病んでいる。

この場に居るだけでも体に障るため既に距離は取らせてあるが危険な事に変わりは無い。


「早く行くわよ。」

「・・・はい。」


そして、彼女達は炎の燃えるこの場をを離れると外へと向かって行った。



召喚されたもう1人の怪物も館を歩き回り順調に人間の参加者を見つけていた。

その怪物は顔に手足が生えたような姿をしているが、まるで出来の悪い福笑いのようにパーツの位置がズレている。

そのため口があるべき所へ目があり、鼻があるべき所に口がある。

耳や目の位置や数もおかしく、1つや2つよりも多く付いている。

そして片手には女性が捕まっており反対の手がその頭部へと伸ばされていた


「いや・・・いやーーー!」

「お前で10人目。」


化物はそう言って目や口を笑みの形へと変える。

しかし、女性は悲鳴と共に涙を流すと怪物によって上下に引かれ首からは異様な音が聞こえてくる。

そして握り潰されそうな頭の痛みと異様な音の中で最後は首が耐えられず、肉と骨が断裂し血飛沫を上げた。

その頃には既に女性は死んでおり、断末魔の叫びすら上げる事が出来ない。

すると怪物は女性の髪と自分の体毛を絡ませるとまるでメダルのように飾り満足そうに小さく頷いた。


「これで10個目だな。」


その言葉の通り、怪物の体には他にも9つの頭部がぶら下っている。

しかもどの顔も苦痛と血に染まり、中には力を入れ過ぎて歪んでしまっている物もある。

これを見れば捕まった後に自分がどうなるのかを想像するのは難しくない。

先程の女性も既に自分の運命を想像して恐怖と絶望の中で死んでいっただろう。


そして化物は不要な肉体を投げ捨てると部屋から出て廊下を進み始めた。

すると進行方向に動く影があり、怪物は次の獲物を発見した喜びで歩調が早くなっていく。


「クックック。どうやら我らを返り討ちにしようと愚かな考えをした者が居たようだな。」


過去に行われたゲームでも今のように鬼を倒そうと現れた者は何人も居る。

特に前半はともかく後半になれば相手を蹴落とすために人間同士で殺し合う事も何度かあった。

それ程に人の欲とは大きく、心さえも容易く歪めてしまう。


「それでは狩りの時間だ。少しは楽しませてくれよ。」


しかし怪物が少し進むとすぐに表情を曇らせた。

何故なら廊下の角を曲がるとスーツを着た眼鏡男が悠然と立っていたからだ。

もちろんその男とは日本のオタク文化をこよなく愛しタツトを同士と呼ぶクレナイである。

そして怪物の頭の中には2つの可能性が思い浮かんでいた。

それは自身の姿を見て逃げるのを諦めたか、既に頭がイカレているかである。

見る者によっては後者が微妙に引っ掛かるが、それは怪物にとってはどうでもよい事であった。


「どうやら期待外れだったようだな。」


そう呟いたころにはクレナイは既に怪物へと無防備に歩み寄っている。

すると怪物は落胆の中で同じ様に近付くと思考を働かせる事なくクレナイへと手を伸ばした。


「早く終わらせて次の獲物を・・・。」


しかしクレナイはその手をスルリと躱すと怪物の体に触れて笑みを浮かべた。


「モート。」

「何!」


怪物はクレナイの動きと呟かれた言葉を聞いて驚愕に声を上げる。

しかし、このままでは拙いと瞬時に思考が働き伸ばされていた腕を横に振り鋭い裏拳を放った。

だが怪物はその直後に驚愕で目を見開いた。


「躱しただと!」


その1撃は咄嗟の事でありながら怪物としては十分な速度と威力が乗ったものだった。

しかし、クレナイはその攻撃を躱し、あまつさえ笑みを浮かべている。

それは怪物からすれば初めての経験であり、同時に異常な光景でもあった。


「貴様は何者だ!」

「我が真名を聞くか。ならば教えてやろう。我の名はヤナギ 狂魔キョウマ。一子相伝の殺人拳を継承する漢だ。」

「貴様が武人だと!何の覇気も纏っておらぬではないか。」

「フッ!それはお前が弱いから感じられないだけだ。全ては結果が照明してくれる。」


そう言って片目に手を翳すと香ばしいポーズを取って勝利宣言を行った。

しかし怪物からすれば行動から言動に至るまで明らかに頭のおかしいとしか言いようがない。

それでも先程の動きは一般人では不可能な動きであり、何か武道の嗜みがあるのは明らかだ。

そう考えた怪物は油断を消すと半歩下がって構えを取った。

すると体にある複数の目が飛び出すと尾を引く様にしてクレナイへと向けられる。


「これこそが人間との戦いで幾人もの達人を葬って来た無敵の構え。貴様がどんな動きをしようとも全てを捉え攻撃、回避、フェインとの全てを封じる。人間の脆弱な肉体で俺に勝てると思わない事だな!」

「あ~ばよ~!」

「なにーーー!!」


しかし怪物が第二形態へと変わっている間にクレナイは既にその場から逃げ去っている。

それを見て怪物は怒りに目を充血させると後を追って走り出した。


「おのれーーー!この俺を馬鹿にしやがってーーー!」


そして、冷静な判断を失った怪物は床を激しく揺らす様にしてクレナイが消えていった廊下を曲がる。

しかしそこにはクレナイだけでなく膝を付いた体勢で銃を構えるシロウの姿があった。


「汚物は消毒デス!」


シロウは散弾銃の引き金を引くと金属の弾丸が雨のように怪物に浴びせ掛けられた。

しかも飛び散った弾のサイズが小さい物に調整されており、数の暴力によって多くの目が一瞬で潰されてしまう。

しかし、それでもシロウの手は止まらず素早く弾を再装填すると次の2撃で深く肉を抉った。


「グフ!弾のサイズを変えたか!」

「まさか鳥やイノシシ以外を撃つ事になるとは思いませんでしたよ。」

「良い腕じゃないか。」

「お爺ちゃん仕込みで子供の頃から鍛えてますからね。目を瞑っていてもこの程度は簡単ですよ。まあ、念の為に持って来ておいて正解でしたね。」

「何が念の為なのか。」


しかし怪物は撃たれながらも傷を少しでも回復させチャンスを狙っている。

だが、ダメージの方が大きく膝を破壊され腕は落ちそうになっていた。


「あ!?」


しかし、機械のように正確に装填と射撃を繰り返していたシロウに不測の事態が発生した。

装填をミスしてしまい弾を床へと落とし動きが停滞してしまう。

それを怪物はチャンスと見て立ち上がると背中側にある目を出して視界を確保しシロウへと向かって行った。


「ここは俺に任せろ!」

「クレナイさん!」

「貴様とは後で存分に遊んでやる!今はそちらの人間が先だ!」

「モート、モート。」

「な!?」


しかし、そこで新たな人物が横から飛び出し死の言葉を2回呟いた。

そちらを見るとタツトが背後に立っておりその顔には悪魔のような笑みを浮かべている。


「きさま・・・何処・・から!?」

「隠し部屋が室内にしか無いとでも思ってたのか?それにお前の耳は射撃音が、鼻は硝煙が、視線は弾丸とクレナイが潰してくれた。」

「そ、そんな・・・我が・・・悪魔である我が・・・人間・・・ごときに!」

「確かにお前等の強さなら容易く人間を殺す事が出来る。しかし、それはお前等の土俵に俺達が立たされ、そちらが100パーセントの力を発揮できたらだろ。今のお前がどれ程の力を発揮できたって言うんだ。」

「おのれ・・・卑怯な!」

「卑怯な手で俺達を誘き寄せて好き勝手してた奴が言うな。それにこれが俺達の戦い方だ。」


タツトは消えていく怪物へと胸を張ると堂々と言い捨てる。

そして、完全にその体が崩れるのを確認してからクレナイの許へと向かって行った。


「流石だな。でも柳 狂魔って何かの漫画に出てくる主人公だったろ。それに一子相伝の暗殺拳ってなんだよ。」

「でも本当に人間離れした動きで攻撃を避けてましたよ。」

「ははは!あれ位なら日頃の訓練と自己暗示によってなんとかなるものだ。」


しかし、その時の光景を見ていたシロウはその言葉に絶句して手に持っていた銃を足元へと落としてしまう。

だが、その目は場違いにキラキラと輝きを放っており、まるで尊敬する相手を見詰めているようだ。


「もしかして僕も思い込みの力でムキムキに!」

「ハハハ!好きなアニメを何度も見てその役になりきれば可能なはずだ。さあ、あの夕日に向かって駆け出そう。」


そして2人は揃って駆け出すと館の外へと向かって行った。

しかし、その様子をタツトは呆れた目で見送り「そんな事が出来るのはアンタだけだ」と心の中でツッコミを入れている。

そしてタツトは次の戦いの為に屋敷の奥へ・・・悲鳴が聞こえてくる方向へと向かって行った。

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