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スッポンポンで宇宙遊泳

 カイトの話によると、以前の「旅」で、沖縄の離島において大陸からの侵略軍と戦っていた。その最中に矢で射られ、崖から転落した。

 気が付くと、この宇宙空間に浮かんでいた。眼下には、地球の表面があった。同じように光の粒が、ひっきりなしに上がっていたという。また逆に遠くからやってきて雨のように地表へ降り注ぐ光の粒もあったようだ。

 横を見ると、人影があった。裸体で膝を抱え、光に包まれている。近づいてみると、自殺した同級生であった。彼から自殺の理由を聴いた。イジメが原因であった。絶望し、列車の前に飛び込んだ。

 両親のことを思うと現世に多少未練が残ていたので、こうして眺めていたとのこと。そんな彼も、諦めがついたのか光の粒となって去っていった。

 去る前に彼はカイトの霊体に細い糸が付いているのに気づき、「まだ完全に死んではいないのではないか?」と指摘してくれた。

 その言葉通り地上から迎えが来た。沖縄の若いノロ(巫女)で、幽体離脱してやってきたらしい。久高島の祭場で、ノロたちが「魂呼ばい」の儀式をおこない、連れ戻そうとしているとのこと。彼女に手を引かれ、現世に戻った。

 ――そんな話であった。奇想天外過ぎて聞き流してしまったが、事実だったのだ。だが、、フウカの場合、死亡する要素がない。健康そのものだった。

 そんなことを考えていると、再び背後から引っ張られ、宇宙の奥へ向かうことになった。地球は、瞬く間に小さくなり星屑の一つとなっていった。

 飛んでいると、自分がスッポンポンであることに気づいた。現実世界なら呼吸もできず瞬時に凍り付いているところだ。だが、そうはなっていない。寒くも暑くもなく快適である。カイトから臨死体験の話の際、「霊界宇宙」の在り方についても説明を受けていた。

(私、宇宙遊泳しているんだァーー)

 感動した。

 まるで温かい流水プールに浮かんでいるかのようだ。周囲の風景は、流れるどころか線になっていく。猛スピードで移動しているのだろう。速度計があったなら、秒速三十万キロを超えていたであろう。光よりも速い。

 やがてスピードがゆっくりとなっていった。無数の星々が寄り集まり、光を放っていた。宇宙空間なので点滅したりキラめいたりするはずはないのだが、地上から眺めたときのような様相を示していた。もっとはっきりと、しかも個性的な輝き方をしていたのだ。

 フウカには、星々が会話しているように見えた。「星のささやき」という言葉を思い出した。

 ある人から聞いた話だが、遠い遠い宇宙の最奥で星々が集まり話し合いをして、物事のすべて(摂理)を決めているのだという。生命もそこで生まれ、それぞれの使命を背負い、地球へ向かう。そして、また還ってくるのだと――。

 その人は一日の仕事を終えると窓辺に椅子を寄せて座り、夜空を見上げながら星々のささやきに耳を傾けるらしい。「今日一日、私は誠実に生きたのか、あなから見て私のおこないは、どのように見えましたか?」と、自省と問いかけをおこなうとも語った。

(星々って、要するに神様ってこと?)

 フウカは思い、尋ねた。

 しかし、その人は答えず、微笑みを浮かべるだけだった。

 今、星々に囲まれていると、やはり語りかけられているように感じた。でも、何を伝えようとしてしているかはわからない。困惑だけが、胸の内に広がる。

「もう――! 言いたいことがあるなら、さっさと言ってよ」

 誰に言うのでもなく、思ったことを口にした。 

 次の瞬間、ボワッとした幻影が立ち現れた。巨大であった。人の姿であるようにも見える。身体は透けており、向こう側に星々が輝いていた。

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