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大小の竜が群れ集う――一斉攻撃だ

 海上の竜巻は、しだいに近づいてきた。火山島の周囲を取り囲むような形となる。渦の先は、黒雲に達していた。

 すると、黒雲の間から赤や青または緑といった大小の竜が顔をのぞかせ、威嚇するかのように吠えた。大群である。

 これだけの竜が群れ集ったのには、理由があった。

 第一にここが南西諸島であるということだ。この地方には、大ウナギが生息する。成長すると、丸太くらいの太さとなる。それが何百年か生きると川を下って海に入る。そして、竜となって天に昇るのだ。他に蛇も同様に竜となる。「アカマタ」という赤い表皮に黒い(しま)模様が描かれている蛇がいる。これが昇天するときには「巻き上がる渦の中で、とても美しかった」という。目撃者の話だ。

 そういうわけで南西諸島海域には数多くの竜が、群れ集っている。海と天をの間を往復したりして過ごしているのだ。むろん大海竜王の眷属となっている。

 第二の理由は、マオの差し上げる剣の由来にある。「三種の神器」の一つで、正式名を「アメノムラクモの剣」と言う。「天の雲が寄り集まる剣」という意味である。別名「クサナギの剣」とも呼ばれる。こちらは、「竜蛇の剣」という意味らしい。昔から竜は「黒雲と一緒に現れる」と伝えられている。つまり神剣の呼びかけに従い、南西諸島中の竜が黒雲と共に集結したのだ。

「みんな揃ったな。力を合わせてやっつけるぞ。それぞれ何発か食らわせてやるだけでいい。頼んだ」

 大海竜王の娘であるゼン(善女竜王)が、眷属の竜たちに号令をかけた。うるさいくらいの吠え声が、あちらこちらから聞こえてきた。はりきっているのだろう。

 波風は、さらに激しくなった。竜たちが雲から次々と飛び出し、蠅や蚊のように火竜へ群がった。四方八方から水をピュッピュッと吹き付ける。

 火竜のサイズからしたら竜一匹から吐き出される水の量は少ないが、なにせ大軍である。しだいに身にまとう炎の勢いが弱まってきた。

 マオも、神剣を振るった。左右斜めに切る。横にも払う。その度に氷の刃がブーメランのように飛び、火竜の胴体を裂く。すぐに修復されるが、かかる時間は増していった。ダメージは、与えているようだ。

 耐えられなくなったのか火竜は、上体を火口の中へと引っ込める。地中から突進するつもりなんだろう。

「やあッーー!」

 裂帛(れっぱく)の掛け声と共に愛刀「七星刀」を逆手に構えたカイトが、飛び降りる。竜の進む前面付近の海底に突き立てた。刀の刃先は、金の微粒子で形作られた巨大な板となっていた。竜の目の前に障壁を打ち込んだのだ。弱った火竜には、もはや正面突破する力は残っていなかった。壁を避けた。進路を変えたことになる。

「やった――!」

 その一部始終をカミの目でモニターしていたゼンが、叫ぶ。すでに落下するカイトを海面スレスレで回収していた。

 金竜の姿なのでバンザイはできないが、頭の中では諸手(もろて)を挙げて小躍りしていたであろう。海竜たちも、吠え散らかして凱歌(がいか)を上げていた。 

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