第一章 ダンジョン攻略 二話 悪魔鳥
「これはやばい!!」
ルディは勝てるわけない相手の群れから逃れるため崖から飛び降りた。
「「「「「「グァアアアアアア!!!」」」」」」
ウィッガルらもルディの後を追うため、急降下を始めた。
「あのバケモノ、追って来てやがる.....っ!」
そして、ルディは手に魔力を込めた。
「だったら、俺もやってやる」
【黒魔法 黒煙】
ルディはそう詠唱した途端、ルディの手からものすごい量の黒煙が排出された。
これで逃げられるーーそう思っていたルディだが、そんな淡い考えは簡単に崩れた。
「おいおいおい、冗談はよしてくれ.......」
ルディの【黒魔法】は自身でも自慢できるくらいの能力の高さを誇る。だから、黒煙の量も他の【黒魔法】を使用するものよりも多くの量を輩出している。そこらへんのモンスターには絶対的に通用できるはずなのだ。そこらへんのモンスターには.......。
「「「「「「グァアアアアアア!!!」」」」」」
「咆哮で掻き消すってどういう神経してんだよ」
そしてルディは肌を持って実感した。これが王国を死に追いやった厄災ウィッガルの強さなのかと。しかし、
「こんなところで死んでたまるかあああ!!!」
ルディは再び手にほとんどの魔力を込め始めた。そして、
【黒魔法 暗転】
すると突然、世界が暗転した。何も見えない世界にウィッガルらは初めての世界に混乱した。しかし、それでも方向を狂わせず真っ先にルディを追っていた。
「マジかよ...あいつら」
もう手を打てなくなってしまったルディであったが一筋の勝利が脳裏に浮かんだ。
「まさか、こいつら.....っ!!」
そのときルディは気づいてしまった。ウィッガルの特性に.......。
【黒魔法 迷彩】
ルディは残りわずかの魔力を使用して、【黒魔法 迷彩】を詠唱した。これは自身の体内温度を極度に下げえることが出来る魔法である。
それがなんの役に立つのかーーと誰もが思ってしまうことであるだろう。しかし、ルディの読み通りウィッガルらは先ほどまでと打って変わって完全に方向性を失っているように見えた。
そう、ウィッガルは温度で物を判断しているのだ。だから、人間である自分らはどんな隠れていても分かってしまうのだ。ただ、周りの空気と同じ温度にすればどうであろうか。先ほどまでしっかり確認できていた人間基い獲物が一瞬で姿を消してしまうかのように錯覚するのだ。
ルディは悪魔鳥ウィッガルの唯一の弱点を瞬時で把握してしまった。
ルディはこのときはまだ知らないのだ。
ウィッガルなどこの島では小物に過ぎないということを.......。