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かぜのこふうちゃんと ゆうびんやさんと まいごのてがみ

作者: 曲尾 仁庵

かぜのこ ふうちゃん

おてがみ かいた

みしらぬ だれかに

おてがみ かいた

だれか なかよし おともだち

なれたら いいなと

おてがみ かいた

あかい ぽすとに

ことん と いれた

あしたは おへんじ くるかしら


かぜのこ ふうちゃん

おへんじ まった

みしらぬ だれかの

おへんじ まった

まてど くらせど

おへんじ こない

かぜのこ ふうちゃん

ちょっと がっかり

めげずに もひとつ

てがみ かく


かぜのこ ふうちゃん

おてがみ かいた

まいにち まいにち

おてがみ かいた

だけど おへんじ

ひとつも こない

かぜのこ ふうちゃん

ちょっぴり さみしい

きょうも おてがみ

ぽすとに ことん


かぜのこ ふうちゃん

たびぐらし

にしへ ひがしへ

わたりどり

じっと おちつく

いえも ない

きのみ きのまま

こころの ままに

あした どこゆく

あても ない


ゆうびんやさんが

こまりがお

まいにち あつまる

てがみの なかに

まいごの おてがみ ぞうかちゅう

かぜのこ ふうちゃんへの てがみ

たまりに たまって ひゃくやっつ

だけど ふうちゃん

どこに いる?

おとどけさきが わからない


かぜのこ ふうちゃん

おてがみ かいた

おへんじ ないけど

おてがみ かいた

きっと おへんじ くれるひと

どこかに いるさ と

おてがみ かいた

きょうも ぽすとは あかいかお

あたらし えんぴつ

かいに いこ


ゆうびんきょくちょう

だいけつだん

ゆうびんやさんに

だいごうれい

まいごの おてがみ おとどけせねば

ゆうびんやさんの なが すたる

みんなの ちからを

ひとつに あわせ

かぜのこ ふうちゃん

さがしましょ


かぜのこ ふうちゃん

おてがみ かいた

あかい ぽすとの まえに きた

だけど ふうちゃん

おてがみ だせぬ

きっと おへんじ ありはせぬ

そっと おてがみ やさしく なでて

これで さいごと

ぽすとに ことん


かぜのこ ふうちゃん

いませんか?

かぜのこ ふうちゃん

どこですか?

ゆうびんやさんは かけまわる

せかい かくちを とびまわる

てがみに つまった やさしい きもち

おとどけするぞ と みちを ゆく


ふうちゃん とぼとぼ ひとりたび

あたらし えんぴつ

ぽっけで ねんね

そのとき だれかの こえがする

かぜのこ ふうちゃん

いませんか?

かぜのこ ふうちゃん

どこですか?

ふうちゃん びっくり

あわてて さけぶ

ふうちゃん ぼくだよ ここにいる!


ゆうびんやさんは

おどろいて

そして にっこり

わらって いった

おまたせ しました

あなたに てがみ

おとどけ おくれて すみません

おおきな かばんを

どすん と おいた

なかから てがみが あふれでた


かぜのこ ふうちゃんへの てがみ

いっつう ふえて ひゃくきゅうつう

かぜのこ ふうちゃん

とっても びっくり

みんな おへんじ かいてて くれた

おくった きもちは とどいてた

そっと おてがみ うけとると

ぽろぽろ なみだが あふれでた


かぜのこ ふうちゃん

おへんじ かいた

てがみの へんじの

おへんじ かいた

みんな なかよし おともだち

うれしい きもちを

たくさん こめた

さみしい なみだは

どこふく かぜよ

あしたは おへんじ とどくかな?


かぜのこ ふうちゃん

たびぐらし

だけど おてがみ

あしたも とどく

ゆうびんやさんが とどけてくれる

みじかい えんぴつ

ぽっけに しまい

きょうも おてがみ

ぽすと に ことん


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