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ハナウタ  作者: Ruru.echika.
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ハナウタ



「……え?勇者候補の集まるシェアハウス…?」


「ええ、そう」


目の前にはホットミルクを私に手渡し微笑む管理人さんが。

さっきの事もあって、正直頭が追い付いてない。


「えーと、分かりやすく言うと。

トワちゃんの叔父さんの会社でやってる業務があるでしょ?

あれは冒険者用よね」


「はい…大陸における全ての冒険者の方々にクエストを紹介するところです」


「その冒険者の、さらに上位に。

勇者って肩書きを持つ冒険者が居るの。

冒険者の最高位、様々な良い行いをした冒険者を、この大陸では勇者と認定する」


「………」


そう言われると聞いた事があるけれど、それって…。


「あれって、おとぎ話じゃ無かったんですか…?」


昔々聞いた事のある「勇者」と言う称号。

はるか昔、まだ大陸が四つに分かれる前の話だ。

ブリジットと言う男が、魔王から世界を救ったとされるおとぎ話を読んだ事がある。

その本は当時、田舎には珍しく貸本屋があってそこに通っていた時に見つけた本だ。

しかし勇者と言う肩書きは、その本の中でしか通用しない称号だと思っていた。


「それがそうでも無くて、冒険者はここから遠くにあるベリブフィリス大陸にゲートで向かうでしょう?

でもね、勇者の称号を持つ冒険者は、ユートピアに行く事が出来る」


アニスさんの言葉に、この場に居た全員が真剣な表情で頷いた。


ユートピア…それは第四の大陸の名だ。


この大陸は昔ひとつの島だったらしい。

しかし魔王が現れ、大陸を四つに割り、そのうちの一つを魔界として人間の立ち入りを拒絶した。

しかし、勇者ブリジットのお陰で魔王は倒され、魔物や魔族の残党が残るのみとなった第四の大陸、ユートピア。

そこはまだ未知な世界であり、研究も進んで居ないらしいと聞く。

勇者の称号を持つ程の強さを持つのなら、ユートピアへも行けると。

そう言う事なのだろうか。


「俺達は、ずっと未知の大陸ユートピアへ渡る事を考えていた。

勇者として、冒険者の中の冒険者として。

未知なる大陸を見てみたいんだ」


「僕等はその為に鍛錬を続けて居るんだよ」


「……じゃあ今実際に、勇者は居るんですか?」


皆さんを見上げると、渋い顔をして視線を逸らす。


「それが、過去数百年ではブリジットさんただ一人。

私達も色々としてきたのだけれど、今回は国王様の方が勇者選抜に乗り気でね?

ここ何年かで勇者を決めるって事で、国から「勇者候補はこの国に集まるように」との事で」


「私達はこのシェアハウスにやって来たの」


「でも〜、その選抜って言うのが人としても長けていないといけない、集団行動が出来無ければ行けないって事で、一般市民を中に入れる事になったの」


「それが貴女…三苫十和ちゃんよー」


にーっこり笑って、管理人さんは私の手を取った。


「その一般市民枠?の私は、皆さんのために何かしなくてはいけないことが!?」


「いや、そう言うんじゃなくて。

ただ一緒に暮らして、みんなの人となりを見て欲しいだけ。

もちろん仕事が忙しければ無理に時間を割こうとしなくて良いし、基本は好きに生活してくれて大丈夫。

ただ国からの条件として一人一般市民から入れなきゃいけなかったから、三苫さんには申し訳ないけど、居てくれると嬉しい」


管理人さんとは色味の違う、水色の髪を揺らして、管理人さんと繋いでいないもう片方の手を取られた。


「これも聞いてないかもしれないから言うけど、三苫さんの就職先の叔父さんも、勇者選抜の審査員の一人だよ」


「叔父さんすごい人だったの!」


「実はこの国では何度か勇者を選抜したくて、勇者候補を集めた事もあったらしいわ。

その度に審査員は変わるんだけど、貴女の叔父さんは過去5回選ばれるくらいのベテランよ!」


「あ…だからビィーツもご存知だったんですか」


「そう言う事!」


全員が知っていたのがそう言う理由だったとは…。

にわかには信じられないが、もしこれが本当だとすると…ここに居る誰かが、あの勇者となれるのかもしれないのか。


「ちなみにトワちゃん、お仕事はいつから?」


「え?一応明日から…です」


「おっけ、じゃあ明日顔出すわ。

叔父さんから話もあるだろうし、お仕事大変だと思うけど。

出来たらまたみんなでご飯食べようよ」


「それじゃあ今日の晩ご飯は私とマーリンで作るわ」


「あとで材料買いに行きましょう、トワちゃん」


「……はい!」


誰が勇者になるのかだなんて、今分かるはずないか。

私はとにかく目の前のすごい人達を見上げて笑顔で頷いた。

私の想定出来る範囲なんて、たかが知れて居るのだ。

それならこの人達と面白おかしく暮らした方が良いに決まってる。

そう言えばいつのまにかさっきの怖い人達がいなくなっているが「どっかやった」と冒険者に備わる魔力なとでどうにかしたらしい。


彼等冒険者には、生まれ持った力と言うものがある。

炎を操ったり、水を操ったり、風を操ったり。

色々と方法と契約など難しい事があるらしい、大陸のどこそこへ行って何々をするだとか、条件があると。

私は良く知らないけれど、彼等はたくさんの冒険と共にここに居るらしい。

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