白黒(2−2)期待 暴走 授業
フログが周りの生徒と「よろしく〜」「よろしくだぞ☆」などとやりとりをして、そのままスノウの隣の空いている席に座ると、再びエイジ教員は教室が静まり返った一瞬をついて話し出した。
「今日は、午前中は普通に授業を行った後、前から話していた通り午後からはスノウの能力の測定を行う!
あと、フログもまだ能力測定を受けていないらしいから、同時にフログの能力測定も並行して行うことにする!
二人以外は基本的に教室内で自習でもよかったんだが、今回は特別に、二人の能力測定の様子を全員で見学することにする!」
「「「やったー!!!」」」
スノウはこの学院の頂点にあたるこのクラスの中でも常にトップクラスの成績であることもあり、一般的には「頭がいいほど、能力も強い傾向にある」と言われているためか、生徒達だけでなく多くの教員がスノウの『固有能力』には注目していた。
それに加え「他校から『クラス・ゼロ』に編入できるような生徒も同時に能力測定を行う」という噂が広り、注目度はさらに跳ね上がることになる。
基本的に能力測定の様子は公開されているため、この学院の関係者であれば誰でも見学できるのだが、流石に授業などを放り出して見学するわけにもいかないし、手の空いている教員はほとんどみんな見学に行ってしまうので、授業を代わりに進めてもらうこともできない。
なので、多くの他の教員は「仕方ないから真面目に授業をやるか」と諦めていたのだが、エイジ教官だけは「だったら生徒全員で見に行けばいい」と逆転の発想をしてしまった。
つまり、生徒達には「特別に許可する」みたいなことを言っているのだが、要するに「自分も能力測定に同行したい」だけだったのである。
職権乱用、ここに極まれり・・・。
ただ、この辺りの発想力と、それを行動に移してしまえる勇気こそが、『クラス・ゼロ』の担任に選ばれる理由なのかもしれない。
まあ、バレたら後で怒られることになる。 というか十中八九、あとでバレて怒られることになるわけだが。
「とにかく、能力測定は午後からだが、だからと言って午前中の授業をないがしろにすることがないように!
あと、特別に連れて言ってやるが、そのことは他のクラスの人や先生には言わないように!
俺からの連絡事項は以上だ! 他に何か、委員などから連絡がある奴はいるか?
・・・・・、いないようだな。 よし、これで朝礼を終了する!
皆、今日も1日励むように! 以上! それでは今日の授業を始める。 まずは教科書の・・・」
「先生、フログちゃんは教科書を持っていないそうです〜」
「そうか。 確かにそうだな!
よし、それじゃあ今日はスノウが教科書を見せてやってくれ!」
結局その日の午前中の授業にちゃんと真面目に参加したのはスノウとフログぐらいなもので、他の子供達はフログの話題と、今日の能力測定の話題で持ちきりだった。
授業と授業の間の休憩時間には噂を聞きつけたのか、他のクラスの生徒や、他のクラスの先生も大勢見学に来ていた。
流石に、教室の中にまで入ってくることはなかったが、
国でトップの教育機関の生徒とは言えまだ10歳前後の少年少女なので、その点は仕方がないのかもしれない。
「よし! これで午前中の授業は終了だ!
スノウとフログは、着替えて闘技場に向かってくれ!
スノウ、フログの案内はお前に任せるが、大丈夫だな!?
・・・よし。 他の生徒は一旦教室に集合するから、勝手に闘技場に向かわないように!
それでは、解散!」
「スノウちゃん☆ 闘技場がどこにあるのか、教えて欲しいんだぞ☆」
「あとで私が案内するので大丈夫ですよ〜、フーちゃん。
それよりもまだ時間はありますから、まずはお昼ご飯をいただきましょう〜」