表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/16

白黒(2−1)翌日 覚醒 出会い

「ねえねえ、スーちゃん。

 スーちゃんの誕生日って昨日だったよね。 能力はどうだった?」

「そうそう。 私も聞きたいわ! スーちゃんはどんな能力になったんですか?」


 ここは、国立の教育機関の中で頂点に存在すると言われる『王立学院』。

 スーちゃんことスノウは、この国中から有能な人間が集められる学院の中でもさらに上位1%の成績を収めるものだけが所属できると言われる『クラス・ゼロ』に所属していた。


「まだ能力は試していないのでなんとも言えないのです〜。 申し訳ありません〜」

「そ、そうよね。 どうせ今日の午後にはスーちゃんの『能力測定』があるもんね」

「ああ〜、スーちゃんの能力がどんな能力なのか、私気になりますー!」

「スーちゃん! 能力の内容がわかったら、私たちにも教えてよね!」

「はい〜、もちろんです〜。 あ、先生がいらっしゃったです〜。 みなさん席に戻った方がよろしいかと〜」


 そうして話していると、始業の鐘の音が響き、ガラガラと教室のドアを開けてこの学校の『クラス・ゼロ』の担任であるエイジ教員が教室に入ってきた。

 教員は、教室中をざっと見渡し、欠席者がいないことと全員が席についていることを確認しながら


「よし、みんな揃っているな!

 それじゃあまず、今日の連絡事項の前に、みんなにお知らせだ!

 なんと、今日からこのクラスにはメンバーが一人増えます! しかもなんと! 校外からの転校生で、しかも美少女だ!

 男子諸君! 期待するがよい!」


 こんなノリなのだがこの男、これでも『クラス・ゼロ』の担任なだけあって、能力、知能ともにこの国のトップレベルの実力を持っている。


 突然の発表に教室が騒がしくなるのだが、それもこの担任にとっては計算通り。

 というか、騒ぎたくなるのもある意味仕方がないことなのだ。


 なにせ、このクラスは国中から集められた有能な人材の中から、さらに選ばれた実力を持つ人だけが所属しているクラスなのだ。

 下位クラスからの昇格ですら本当に珍しいのに、ましてや他校など(よそ)からの転校生などというのは、それこそ長い学院の歴史を見ても数える程しかない。

 そんな中、事前に噂が流れることもなく突然の転校生なのだから、これで騒ぐなと言う方が、無理がある。


 あと、男子の半分は教員の言った「美少女」と言う単語に反応しただけのようであるが、まあそっちはどうでもいい。


「スーちゃん、この時期に転校生だってよ!」

「そうですね〜、リョーくん。 このクラスに入れる人なのですから〜、すごい人なのかもしれませんね〜」

「おう、そうだな! まあ、俺達もこのクラスに入れているんだから、すごい人なんだけどな!」


 スノウに話しかけているこの少年は、先ほどまではスノウに話しかける勇気もなかったが、たまたまスノウの隣の席に座っているのでいまは少し強気になっている少年である。

 スノウに対して淡い恋心を持っているようだが、まだ10歳の少年なだけあって、本人はそのことは自覚していない。

 ちなみに、周りから見るとその恋心はバレバレで、スノウ自身も自分に向けられる想いにはなんとなく気がついているのだが、それでも全く進展がないと言うことは・・・。

 まあ、望みは薄いのかもしれないが。


「はいはい! そろそろ静かに! 静かにしろー! お前ら、少し黙れーっ!


 よし。 それじゃあ転校生に教室に入ってもらって自己紹介をしてもらうから、お前ら静かに聞くんだぞ!」


 少しの間傍観していた教員が、タイミングを見て声を張り上げると、今まで大騒ぎしていたのが嘘のように教室は静まり返る。

 この辺りの切り替えの巧さは『クラス・ゼロ』の生徒のレベルの高さなのか、それとも『ここぞ』というタイミングを逃さずに声をあげた教員の技術によるものなのか。

 おそらく、その両方が重なった結果なのだろう。


 そうして静かになったのを確認し、教員はガラガラと扉を開き、廊下で待機していた少女を教室に招き入れる。


「初めまして☆ 私はフログだぞ☆

 好きな教科は『社会史』だけど、得意な教科は『生物学』なんだぞ☆

 みんな、これからよろしくだぞ☆」


 教室に現れた少女は、教員の言う通り、まさしく『美少女』であった。

 この学院では珍しい黒い髪に黒い瞳が目を引くと言うのもあるが、それを抜きにしても彼女はまさに『美少女』であった。


 ちなみに、スノウとフログは双子なのだが、育ってきた環境が違うからか肉の付きかたが違うのと、何よりも髪と瞳の色が全く違っていた。

 教会で育てられたスノウは常に『浄化』の影響下にあったためか、髪は白く瞳は青いのに対し、野生環境で育ったフログは髪も瞳も墨のように黒く、皮膚も薄く褐色がかっていた。

 そのためか、教員やスノウ、フログ本人も含め、このクラスの中に「スノウとフログは実は姉妹である」ことに気づいたに人はいなかった。


「それじゃあ、フログの席は・・・お、ちょうど、スノウの隣が空いているな。

 スノウ、フログはこの学院にきたばかりでわからないことが多いだろうから、お前がフログに色々教えてやってくれ!」

「わかりました〜」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ