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プロローグ・白(1ー1)

「スノウ、私は、あなたに話しておかなくてはならないことがあります。

 辛い話になるかもしれませんので、心して聞いてください」

「はい〜、わかりました〜、お父さん」


 それは、10歳の誕生日を翌日に控えた深夜のことでした。

 お父さんから「話しておかなくてはならないことがある」と呼び出された私は、真剣な顔で私を見つめるお父さんが口を開くのを黙って待ち続けます。


「スノウよ、人類(私たち)には、10歳の誕生日と同時に『固有能力』が両目に(・・・)宿ります。

 おそらくあなたにも明日の日の出と同時に『固有能力』が発現するのですが、スノウ。

 どうしてもその前に、お前には話しておかなくてはならないことがあるのです」


「はい〜。 私もお父さんと同じような『守る力』が発現すれば嬉しいです〜!

 そうすれば〜、お父さんのお仕事を手伝うこともできますので〜」


 学校の授業で習ったことなのですが、『固有能力』の種類には遺伝的な要素が強くはたらきます。

 なので、私も多分お父さんと同じような能力になって、将来はお父さんのお仕事を手伝うことが、いまの私の夢です。

 それに、お父さんの『守る力』発動時の瞳は、とても美しく、ずっとずっと前、今でも子供ですがもっと子供の頃から「あんな綺麗な瞳が私にも欲しい」と密かに思っていました。

 ですがお父さんは私の言葉を聞いて、逆に悲しい顔をしています。



「いいですか、落ち着いて聞いてくださいね。

 

 スノウ、あなたは、私の”本当の子供”ではないのです」

「・・・・・?」

「確かに、突然言われても理解はできないですね。

 わかりました、まずは順を追って話します・・・」


 そう言ってお父さんは、いろいろなことを話してくれました。



 私の本当の母は、私を街の神父さん(お父さん)に託すと、力尽きてしまいました。

 翌朝発見された本当の父親も、魔獣の死骸と折り重なって発見されたが、すでに息はなかったそうです。

 その魔獣は、この街の総力をあげても守りきれないほどの凶悪な存在で、その魔獣から街を守ったその男(私の父)は、この街では英雄と呼ばれていて、

 さらには後から調べてわかったことらしいのですが、私の本当の母はこの国の『王族の血』を引いていて・・・。


 つまり私は、お父さんの本当の娘ではないけれど、『英勇の娘』であると同時に『王族の血を受け継ぐ姫』である。 らしいです。


「そ・・・そうだったん・・・ですね〜。 それは〜・・・しょうがない・・・・・ですね〜。

 それでお父さん(・・・・)、それでは私には、どんな能力が与えられるのでしょうか〜」

「そう・・・ですか。

 

 それが、私も調べたのですが、『英勇』の能力は秘匿されていて一切わからなかったのです。

 ですが『王家』の能力には『固有能力を強化する能力』があり、この性質はほぼ必ず遺伝すると公表されています。

 スノウにはただでさえ強力な『英勇』の能力を強化した能力が宿ることはおそらく間違いありません。

 なのでスノウ、あなたは、その強力な力に振り回されないように十分に注意する必要があります」

「大丈夫ですよ〜、お父さん。

 だって私は、お父さんに育てられたのですから〜」


 私の父はとても優しく、そしてとても厳格な人でした。

 今にして思えば、必要以上にマナーについて厳しかったり、大金を払ってまで貴族のパーティーに参加させたりしていたのは、お父さんが私の出自を意識してのことだったのかもしれません。

 ですがそのおかげで、貴族の先生にも「完璧です」と言われる程度には貴族の振る舞いを身につけることができましたし、貴族の知り合いや友達も何人か作ることができました。


「スノウ。 これから先『王家』の力が発現したあなたには、多くのしがらみが生まれる事になるでしょう。

 ですが、私はあなたにその全てを乗り越えられる知識や経験は、今までの10年で全て伝えたつもりです。

 これから先、様々な試練が待ち構えていると思いますが、発現した力(与えられた力)に振り回されるのではなく、今まで身につけたスノウ自身の力を使って『固有能力』を使いこなすことを意識してください。

 私から言えることはそれだけです」

「わかりました、お父さん!」

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