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辺境伯ご令嬢は斜め上の日常を歩む  作者: 黒鶺鴒
ローズガーデン編
37/45

第35話 爆裂!のち、ふわふわ。その名はハカケ。

 

 そうやってみんなと作業しているうちにあっという間に時間は過ぎお昼だと言われた。

 ローズガーデンから来た面々も用意された同じ昼食を食べるようだ。

 食べ物についてはまぁお察しの通り、みな文句も言えず黙々と食べていた。

 スープの中には煮えてるんだか煮えてないんだかわからないコーン粒が浮いている。


 (これは乾燥したコーンみたいだけど、――もしかしたら――)


「ルシアン院長、この黄色い粒は煮ても柔らかくならないんですか?」


「えぇ、そのようなもので申し訳ないのですが同じ食事を出してほしいと言われてまして……」


「あぁ、いえ、後でこの食材見せて貰えます?」


「はい、かまいませんが?」


 ルシアン院長の頭の上にクエスチョンマークが浮かんだ。

 それを聞いていたラー博達は、また何か作るのか?的に瞳をキラーンとさせこちらを見た。


 昼食も食べ終わった。さぁ、遊びの時間だ。

 みんなも食べ終わったようでなんだかそわそわしている。

 院長を見ると何か察してくれたようでうなずいてくれた。


「それではみなさん、午前中に作った物の説明しまーす。集まって~」


 作った物は一か所に纏められている。


「まずはこのヘイグ達に書いて貰った絵の遊び方です」


 そうこれはジグソーパズルだ。バラバラになっている絵を元の絵に戻していく。


「へー、だから切ったんだ」


「じゃぁまず絵を書いたヘイグ達にやってもらおうかな」


 ヘイグ達が絵を知っているのでまずはやってもらう。


 そこじゃない、あ、これだよ、ちがうな~?等々みんなで何枚かの絵を完成させていく。


「こっちできたーー」 


 ヘイグが一番にできたらしい。


「みんなこの絵を覚えてねー」 


 と言いながら出来たそばから絵をまたぐちゃぐちゃにした。


「ええええええーー」 


「はい!他の子達、また最初から~、がんばれー」


 わーわー言いながら他の子達が並べ始める。


「はい、小さい子はこっちへ来て~、これは積み木です、こーやって積み上げていって~」


 小さい子達は積み上げるだけで楽しそうに遊びだした。

 最後にフラン達に作って貰ったボールだ。紙風船も交えてキャッチボールやらを教えていく。


「そして最後にこの大きなボールは庭で遊びますよー」


 何も遊んでいない子を引き連れて庭に出た。ビッケ達と一緒に庭に書いたのはドッジボールコート。ルールを教えながら軽くデモンストレーションをしながら覚えてもらう。


「ルールは大体解ったかな?小さい子に向けて本気で投げちゃだめよ?怪我しないように、胸から上も狙ったら反則でーす。よーし、はじめ~~」


 わーきゃー言いながら初めての遊びにみんなとても楽しそうだ。


「よし!ビッケいくぞぉおおお」 「ふふん、取るからな!」


 バルとビッケはお互いにライバルと見定め他の子達には少し力を抜いている。

 うんうん、ちゃんとわかっているじゃない。ふふ


「ピピー、バル!線から出たから反則!相手ボール」


「えええええ」 


 バルがガックリ膝をついて項垂れ、大げさリアクションを取っている。

 最初のゲームはビッケチームが勝利。


 女の子達だけのチーム編成でもやってみた。お嬢様方も交えて、最初はいやいやの体でやり始めたがそのうちキャーキャー楽しそうに遊んでくれた。

 侍女達も最初はドレスが汚れるだのと渋面を浮かべていたがそのうち応援→後、参加。


「あははは、はぁはぁ、ちょっと向こう見てくるね~」


 話言葉が素に戻っているけど、キ ニ シ ナ イ。


 ホールに戻って手の空いている院の一人に声をかけコソっと調理場へ案内してもらった。

 ルシアン院長にも許可を貰うのも忘れない。目を大きくして何か言いたそうだったけども。




  調理場


「昼に食べたあの硬い実を見せて貰えますか?」


 大きな袋に一杯詰まっている乾燥したトウモロコシを出してきた。ハカケというらしい。なんじゃそのネーミング。そのまま食べると歯が欠けるからだろうか?


 ふーん?やっぱりこれはトウモロコシの爆裂種っぽいよな~、試してみるか。


「蓋つきの鍋を借りていいです? それと油と塩も少々、火も点けて貰えます?」


 院の人名前はサラさんというらしい。目が点になって固まってしまった。

 サラさんの目の前で手を振り正気に戻らせ、鍋に油とコーンを入れ、火の上で揺すること数分。


 あれー?破裂しないなぁ、違ったのかな…?


 諦めかけた時に鍋の中でポンポン弾ける音がしだした。サラさんがめちゃ驚いて飛び上がった。あはは。 

焦げないうちに火から下ろし大きな器に移し塩を振る。何度か繰り返し山盛りのポップコーンが出来上がった。

 サラさんに味見をしてもらったが「なにこれ?え?なにこれ?」と器を抱え繰り返すばかり。おーい、もどってこーい。

 仕方ないのでほっとくことにした。 


 そして、ホールと外に向かって


「点呼ーーーー」と叫んだ。


 リーダー達は慌てて自分のグループを集めてそれぞれ報告してきた。その間、器に盛られている白いふわふわしたものに興味シンシンの視線が注がれている。


「はい、全員いますね?それではおやつにします。汚れを叩いて全員手を洗ってきましょう。リーダーは全員キチンと洗えたか確認してくださいね」


 綺麗になった子供達が戻り、大テーブルにはポップコーン山盛りの器が数個置いてある。


「それではグループ毎におやつのポップコーンをくばります。仲良く食べてくださいね」


 リーダーにそれぞれ器を渡し、恐る恐る食べ始める子供たち。


「なにこれうめーー!!」 「ふわふわ白くてかわいいっ」 「ハグッハグッハグッ」


「慌てないでゆっくりたべなさーい」


 ふと後ろを振り返るとルナディ様とお嬢様達がじーっと待っていた。


「な、なんですの?あの食べ物は」 「なんか香ばしい香りがしますわね」


 等々少し羨まし気に見ていたので、


「みなさんも召し上がります? その代わり手で摘まんで食べるので作法等気にならなければですけど」


 と言いながら最後の器を目の前に置いた。


 「ま、まぁ!いい香り」 「こ、これも初めて食べましたわ」「何で出来ているのかしら?」


 こちらも気に入ったようでなにより。


「ラヴィアン様、この軽食はお持ちいただいたんですか?」


「いいえ、ここの材料を使わせてもらいました。お昼に頂いたハカケですよ」


 「「「「 えええええええ!?!?」」」」


 院長と周りにいた人達が盛大に驚いた。


「あの食材は安いし長期保存もできるのですよね? たまにおやつとして作ってあげてくださいね?作り方はサラさんに教えましたので」


「え?えぇ、それはもちろん」


「それと院長先生、文字の読み書きは教えてるのですか?」


「ええ、すこしづつですが」


「では、これなんですが」


 といいながら四角に切った積み木を見せる。


「この積み木は遊ぶだけではなく、このように文字を一文字ずつ書いておくと読む練習になると思います。あとは、このように真ん中に絵を書いて横に読みを入れるとか」


 日本であったひらがなの積み木や絵と名前が書いてあるものをサンプルとして渡した。簡単な数字を書けば計算にも使える。


 そしてしばし歓談の後ローズに戻る時間になった。


「ルナディ様、ご令嬢方、本日は本当にありがとうございました。特にラヴィアン様、これで子供達の点呼が楽になりました。それに、色々な遊びやポップコーンなども本当に助かりました」


「いえいえ、院長も頑張ってください」


 ポップコーンの元も手に入った。くふふ、ローズではキャラメルをかけようかなぁ?


「おにーちゃん帰っちゃうの?」


 小さな子達が足に纏わりついてきた。別れの悲しい場面なのに、おにーちゃん・・・・・で台無しだよっ。


「にーちゃんっ!また来いよ!」


 はいはいにーちゃんで確定なんだね? それに年上に対する礼儀というものがだね。


「ビグル、今度これたらお説教から始めますからね?」


「ええ~、いいよっ?ドッジボールで勝てたらなっ!」


「こらっ!ビグル!謝りなさい!――ラヴィアン様、申し訳ありません」

 

「いぇいぇ、それじゃみんな元気でね~」


 お互いに手を振りあって別れを惜しんだ。のかな?


 そしてローズの面々は孤児院を後にした。

 空を見れば、もうすっかり夕方に差し掛かっている。

 あー、今日も街中を歩くことは出来なかったなぁ~。残念。


 


気が付けば、この小説を投稿して丁度2ヶ月。

なんかあっという間でしたね~。


最近時間が取れず、更新が間延びしております。申し訳ありません。

毎日少しずつでも書き溜め、早めに更新できるようにがんばりまーす。

ラヴィアンさんを動かさないと、どんどん横に伸びていきそうなのでw


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