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辺境伯ご令嬢は斜め上の日常を歩む  作者: 黒鶺鴒
ローズガーデン編
22/45

閑話1 ヘレナさん 出番よ

閑話を挟ませてください

会話がほとんど無いので読みづらいかもしれません

 ――ヘレナ・ベルジック視点――


 私はヘレナ・ベルジックと申します。ベルジック子爵家の長女でございます。家での私の評価はいつもポヤポヤしててもっと確りしなさいと父様や母様に窘められます。そんな私ですから心配した両親から、来年社交界へデビューするにあたり淑女になるべくローズガーデンに行きなさいと薦められました。

 今回は私が最後の到着だったようです。本当はもっと早く出発する予定だったのですが、ほぼ初めて会うお嬢様方と半年も一緒に過ごすということを考えると憂鬱な毎日で中々用意が捗りませんでした。

 人前に出るのが苦手で、でも、なんとか克服したい、でも、気の利いた事一つ、話せる自信はございません。

 そう考えるとローズガーデンへ出かける段になってもモタモタしてしまい結局到着が遅れてしまいました。


 ローズガーデンへ到着して訳のわからぬまま1週目が過ぎた頃でしょうか、ルナディ管理官様から呼び出しがかかりました。と言いますより来襲されたと申しましょうか、部屋へお通ししてお話しを伺ったのですが、やはりルナディ様にはお見通しの様です。もっと他のお嬢様方と友好を育むよう、社交術もここで学ぶことの一つだと諭されてしまいました。


 落ち込んでも仕方ありません。落ち込みそうな気持を奮い立たせ、まずは情報がないものかと図書室へ行ってみたのです。 

 誰も居ないと思ってドアを開けると一人のご令嬢が本棚に佇んで本を物色していました。少しびっくりしましたが挨拶をし、私も本棚へ向かいました。

 本棚には難しそうな題名の物ばかり、社交術云々の書き物は見つかりません。少し悩んでしまいましたがそこでハタと思い付きました。今この部屋にいるご令嬢、確かラヴィアン様とおっしゃる方だったと思いますが、この方に話しかけてみよう、そしてご相談してみよう。この方は地味な服装ですがいつも堂々としていらっしゃいます。きっと社交術にも長けていらっしゃるのではないでしょうか?


「ラヴィアン様」


 ? 話しかけてみましたが本に夢中のようです。 三回目に呼んだところでやっと気が付かれました。正面に座りまじまじとお顔を拝見すると私と正反対のキリっとしたお顔立ちでお化粧もしていない様なのに肌は白く、銀色の髪の毛はツヤツヤでサラサラしていました。思わずほぅ~っと見つめてしまい、話す事を忘れてしまっていました。

 

 気を取り直して話を進めて行くと、なんとラヴィアン様も人見知りだというではありませんか! 同志です!同志を見つけました!相談していくうちにお茶会を開くという話になりました。ですがラヴィアン様は忙しいということでお茶会の開催責任者は私ということになりました。責任重大です。ラヴィアン様の為にもここは頑張らねば! 

 

 ですがどなたを誘うかどのようなお茶会にしようかと考えては纏まらず毎夜毎夜すぐに眠くなり明日に繰り越すという毎日です。ルナディ様へ相談してみましたが、「ご自分で考えなさい」と冷たく言われてしまいました。


 そうこうしているうちに三週目に入ったある日の午前中です。もうあの時の衝撃は今でも忘れられません。なんと!ダンスフロアに白銀の貴公子様が舞い降りたのです。そしてなぜここに殿方が、と不思議に思っていたのですがその方が声を出した時に衝撃の事実が判明しました。そうだったんです着替えに行ったラヴィアン様だったのです。あの時ほどびっくりしたことはございませんでした。


 そしてたまたま次が私だったのです。そうですダンスです。この白銀の貴公子様とダンスができるのです。 私はもう舞い上がってしまって手と足が上手く動かせなくなってしまいました。そして顔を上げると貴公子様がニコっと微笑んだのです。……残念ながら私の記憶はそこで途絶えてしまいました。気が付けば医務室のベットの中でした。なんと勿体ない事をしたのでしょう、あまりに舞い上がり気絶してしまうとは……。

 

 気を取り直して作法の部屋へトボトボと向かえば なんとっ!そこでもあの貴公子様のエスコートが繰り広げられておりました! 今度は気絶しないように心を落ち着けておりましたが、お茶を出され、顔を見られながら「どうぞ」と言われた時に目と目が合ってしまい、またそこから記憶がございません……。


 それからはその残念体験を払拭すべくすぐにお茶会を開こうと少し話せる様になったラーミン様とマニュアル様をお誘いしラヴィアン様を招くべく招待状や茶器、装飾等の相談をし無事お茶会を開催することができました。


 できたんですが――、なんですか?あのお菓子はっ! ラヴィアン様がお持ちになったあの「プリン」という代物です。もうこの世の物とも思えぬ程の美味しさで気が付けば一つ目はすぐに無くなってしまい残念がる私にまだまだありますとおっしゃり、お付きのカリサさんがどんどん出してくれたものですからどんどん食べていたら……、またそこから記憶が無いのです。 いつもの様に医務室で目覚めた私はあの美味しい体験は夢だったのではないのだろうかとガッカリしながら自室へ戻りました。 戻った私に侍女がラヴィアン様からと手渡してくれたのは、あの夢の様なお菓子のプリンでした。 ああ、夢ではなかったのだとプリンを両手で包み涙してしまいました。ですが今日はもう食べてはダメだと言付かったようで侍女に取り上げられてしまいました。 でもまたプリンが食べられると思うとニマニマが止まりません。 


 しかし少し心配なことが頭をよぎりました。なぜか私は興奮するとすぐに倒れてしまうようです。これから将来を思うと長生きができるのかとても不安になる今日この頃です。




ヘレナさん 高血圧かしらん

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