だからお前はダメなのだ。
「だからお前は、、、」
と言う言葉とともに吐き出されたため息に、胸が、、、む、胸が、、
「キュンとすんなボケ」
「だってぇ!」
照れてもじもじと体をよじってる私を見る目は虫けらを見るかのごとく。
「なにが、だってぇ!だよ!」
「ごめん〜」
かなと君が私に向ける感情や視線、すべてが嬉しい。
私より背の小さいかなとくん。私より可愛らしい顔をしているかなとくん。私よりと勉強ができるかなとくん。私よりみんなに好かれるかなとくん。
私はそんなかなとくんが大好きなのに、かなとくんはたまに私をみて戸惑うような顔をして、だからお前は、、、と呟くのだ。
「かなとくん今日もテストで満点だね。私は誇りに思うよ」
と私はかなとくんに満面の笑みを向けた。
「なんでお前が誇りに思うんだよ」
といって鼻で笑ったあとお前は?と私の非常に知られたくない点数を聞いてきやがった。
「過去最高に」
「お?最高に?」
「悪かった!!何故だ!あんなにかなとくんに教えをこうたというのに!」
「馬鹿だからじゃない?」
鼻で笑ったかなとくん。そーやって見下す顔がたまらんですな!!!
高校に入ってからの毎日の始まりはかなとくんとの登校から。
その後はひたすら授業中は睡魔と戦って、食欲を満たして、睡魔に負けては抗って結局寝る。
授業が終わると同時に目は開くのだから不思議でならない。
それを帰りにかなとくんに話すと鼻で笑われた。またか!
「確かにみんな寝てたけどな」
「ふーん」
「、、、」
クラスメイトの話をされてもどうでもいいのだ。私はかなとくんさえいればそれですべてが成立するのだから。
かなとくんはそれをわかっていながら
「もうちょっとクラスの奴らと喋れよ」
と、いつもいう。
困ったような顔をして、でも何処か嬉しそうで。
かなとくんは私が依存していることをどこかで喜んでいる。
これは、共依存だと私は思っている。多分、かなとくんは気がついてない。
気がついてないから私に困ったやつだというように
「だからお前はダメなんだよ」
と、鼻で笑う。
私はそれを言われるのが嬉しくて嬉しくて。そう言っている間は私が向ける思いに好意的なわけで。
「ふふふ。かなとくんだーーいすき!!!」
「だからお前は」
本当に私だけ?
このあと二人は現実世界の厳しさにぶち当たり、二人だけの世界は壊れます。
二人だけの世界なんてただの幻想でしかないですからね。