心を落ち着かせて
この作品は、「三ヶ月のショートショート集」にも載せます。
あー。勉強をする気がしない…。
僕と、友達の夕凪はそう思っていた。
もう夏休みなのに、もう受験生なのに。
「はあー。勉強めんどくせー」
「本当だよなー。早く受験生から抜け出してぇー!」
「なあ。気晴らしにでも出かけようぜ」
「おう!ちょっとぐらいいいよな!」
そう言って、僕たち2人は勉強から抜け出した。
「どこ行く?」
僕は言った。
「えー?海行こうぜ」
「海!?いいけど…少し遠くないか?それに昼ごはん食ってないし」
「お金なら200円ある」
「じゃあコンビニで何か買ってから行くか」
そんな感じのままコンビニに行き、梅と昆布おにぎりを買って僕たちは海に向かった。
ザザーン… ザザーン……
波の音はやっぱりいい。
「なあ」
僕は昆布おにぎりを食べながら言った。
「志望校、決まった?」
「まだちゃんとは決まってねえ」
「だよな。僕も」
急に静かになる。
「……。俺たち初めて学校離れるよな」
「な。幼稚園の頃からずっと一緒だったよな。」
また静かになる。
「…学校別れても、ずっと友達だよな?」
「おう!」
僕たちは、この時「親友」だということを確信した。
…
「そろそろ帰るか」
いつの間にか太陽が沈もうとしている時間になっていた。
「そうだな」
「あっ、でも…」
僕は止まって声を出した。
「絶対2人一緒に合格するぞーーーー!!」
果たしてこの声は夕日に届いただろうか…。
僕たちは夕日に向かって走った。
「何か心が落ち着いた気がする。明日からは勉強だ!」
僕は自分にそっと言い聞かせた。