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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。

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掲載日:2026/04/21

二階からは、今なお数え切れない程の蝿の羽音が聞こえて居て

浴槽は、様々な種類の刃物でいっぱいになって居た


もう二階には行く気がしない

親の顔など好んで視たいとは思わなかったし、屍体に関しても同じだった



「どうする?」


「───学校、行くのか?」


『相棒』が、座って壁に背を預けたまま僕に言う


浴室の小さな窓から、既に朝の陽射しが入ってきて居る

夜は既に明けたみたいだった



「………もうさ」


「止めない?」


血で全面が粘液質になったレインコートを脱いで、浴室の床に投げ捨てると、床にへたり込む

『相棒』の隣まで、血と油の散らかった中をずるずると腰を滑らせて座った



「親二人殺すだけで、あんなに大変だったじゃん」


「すごい抵抗されてさ」



「学校なんてさ、きっと行っても何人も殺せないよ」


膝を抱えて、そこに顔を(うず)める

「…………少なくとも皆殺しは無理だよ」



「そうだな」


『相棒』が、浴室の床に煙草を擦り付けて消す

窓の外では世界が眼覚めていくようだったが、それとは反対に「僕たちはこれから滅びるのだ」という確信が有った


暫く沈黙が流れたあと、僕は立ち上がった



「絶対殺せるやつ、知ってるよ」


浴槽をがちゃがちゃと探り、ナイフを一本拾う

その過程で指が何カ所も深く切れたが、気にならなかった



「俺も知ってる」


相棒も、立ち上がると浴槽からナイフを拾い上げた



「そいつらをたった二人だけ殺すとさ、何の悩みも無くなっちゃうんだ」


戯けて両手を広げると、嗤う



悩みなんて、もう無くなり始めて居た




二人で着てるものを全部脱いで、向かい合う


双方ナイフを逆手に持って、握って居る

単純に、その方が突き刺せる気がしたからだ


どちらからともなく、僕たちは互いに対してナイフを振り下ろし、突き刺し、ナイフを捻じって傷口を広げ合った


興奮のせいなのか何の痛みも無い

ナイフを引き抜くと、もう一度お互いに振り下ろし合う

数分も経つ頃には二人とも胸や肩、腹が穴だらけになって居た


刃物が床に落ちる音が、同時に二つ

失血で立って居られなくなった僕たちは、お互いに向けて倒れ掛かった



額が触れ合って、

互いの指が肩を掴んで、


最後に唇と唇が重なった



君の唇が「あ り が と う」の形に動く


僕の唇も、きっとそう動いて居るに違い無かった

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