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幼馴染がヤンデレ化して自宅に軟禁されてる俺に果たして自由はあるのだろうか?  作者: 甘酢ニノ
監禁、邪魔が入る

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12/13

「結、もう出る時間」


キッチンに篭っている結に声をかける。

結が弁当を作る時は俺が一緒にやっていたけど、一から全部一人で作ってみたい、と結が言い出したのは昨晩のことだ。

いつもより朝早く起きて、朝食もそこそこに弁当作りを始めた結だが、家を出る時間を過ぎている。


「りっくん! 出来た! りっくんの分!」


結が俺に弁当の包みを渡す。

結は制服を着て学校に行く準備は出来ているが、髪はセットされていない。

いつもは二つに結んだり三つ編みをしたりしているのに、起きて簡単に結んだだけの状態だ。


「結、髪は?」

「うーん……学校で結ぶよ」

「そしたら、俺がやるよ」

「え……いいの? 」

「ああ、お弁当の御礼。くしはあるよな」

「うん! ありがとう!」


俺はよく卯月の髪をセットするのをやらされていたから、一通りのセットはできる。

学校に着いて、廊下の鏡の前で結の希望に沿って髪を結ぶ。


「あのね、途中まで編み込みで最後がお団子になってるのがいい」

「こんな感じか?」

「うん! それで、顔の横に髪がぴょこんって出てるのがいい」

「こういう事?」

「おおー……りっくん、すごい……」


ヘアゴムと櫛を使って、結の髪を結ぶ。

授業を受けるだけなのに凝った髪型だと思うけど、弁当の御礼だ。

それに、ぶーぶー文句を言う卯月よりも、素直な結の方がいい。


「朝からいちゃついてるなー」

「やめとけ。面倒だから絡むな」


登校して来た鬼丸が俺と結を眺めていたが、羽月が鬼丸の背中を押して教室に押し込んだ。

俺は最後にヘアピンを付けて、結の髪型を完成させる。


「はい、できた」

「りっくん、ありがとう! あの……お昼休み、教室に行ってもいい?」

「ああ、でも授業中は……」

「連絡しない! ルールは守るよ!」

「よし。じゃあ昼休み、待ってる」

「うん!」


結は手を振って自分のクラスの教室に入って行った。

それを見送って、俺も自分の教室に入って席に着く。


「竜胆、まだ佐倉と住んでるのか?」


羽月に聞かれて、俺は頷いた。


「ああ、ルールも決めたし、手錠も基本無しになったし、平穏だ」

「平穏」


羽月は俺の言葉を繰り返して、眉をひそめる。


「俺は、あんまりそうは思わないけど」


羽月はそう言っているが、どうせ羽月は卯月と繋がっている。

やばいと思ったら卯月が家に来るはずだ。

卯月が何か言っているのか、と尋ねようとすると、俺のスマホに通知が届いた。

結からだ。


『りっくん』


授業中は連絡しないルールだ、と返事をしようとすると、それを察したように結から連絡が続く。


『まだ授業始まってないよ』

『そうだな』

『お弁当、楽しみにしててね』

『わかった』


結からウサギのスタンプが届く。


「隣の教室にいるのに」

「羽月、乙女心がわかってないなー」


渋い顔をしている羽月を、鬼丸が諭める。

しかし、羽月は深刻な顔をしていた。


「佐倉は、昔から甘えただと思ってたけど、このレベルはおかしい」

「私もそう思ってた」


羽月の言葉に勝手に乗ってきたのは、三崎だ。


「また何か忘れたのか」

「そう。数学の教科書。大丈夫、結が嫌がるからりっくんには面倒をかけない。ね、羽月?」

「できれば俺にも迷惑をかけないでくれ」


羽月は仕方なく鞄から教科書を出して三崎に渡す。


「結と、最近全然話してないもん」


三崎も羽月の真似をして深刻な顔をしている。

教科書を借りに来ただけなのに。


「結、引っ越しもしたから忙しかったんだろ」

「忙しいっていうか、りっくんとばっかり話してるよ」


三崎が俺を見る。

なんとなく、俺が責められている。


「まあ、そうだけど」

「結、前はもっと色々な人と話してたのに」

「うん……」

「最近、変わったよね」


三崎が心配そうに言う。


「……変わってないよ」

「変わるだろ」


俺が言い訳のように言うと、羽月が俺の甘えを打ち消すように言った。

そうだ。結は母親がいなくなって、一人ぼっちになった。

多分、何も変わらないわけがないんだ。

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