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幼馴染がヤンデレ化して自宅に軟禁されてる俺に果たして自由はあるのだろうか?  作者: 甘酢ニノ
監禁、学校に持ち込まれる

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11/13

マンションのエレベーターに乗ると、結がスマホで何かを調べていた。


「何見てんだ?」

「お弁当のレシピ」


結が見せてくれた画面には、カラフルな弁当の写真が並んでいる。


「すごいな」

「でしょ? 私もこういうの作りたいの」

「無理すんなよ」

「無理じゃないよ! りっくんのためなら頑張れる!」


結が拳を握る。

正直に言うと、俺が食べるには可愛すぎる弁当だし、結が作るには難易度が高い気がした。

でも、目標が高いのはいいことだ。


「わかった。頑張れ。俺も手伝うよ」

「うん! こういう可愛いの、りっくんとお揃いにするんだ……! 」


結が嬉しそうに笑う。

結は一人っ子で自分に縁が無いからか、昔からお揃いというものにこだわりというか、憧れを持っているのを俺も卯月も知っていた。

俺と卯月が同じ物を持っていたり同じ服を着ているのを羨ましそうに見ていて、卯月が自分の物を勝手に結に譲っていた。


そして、結のお母さんは忙しい人だ。

タコさんウインナーが入っているような可愛い弁当なんて、結が持って来ているのを見たことがない。

結は、本当はずっと欲しかったんだろうな。

今までずっと一緒にいたのに、初めて結の気持ちに気付いた。


   *


結の部屋に戻る。

ドアを開けると見慣れた部屋だ。もう、ここが俺の家みたいになってる。


「りっくん、お帰り」


一足先に玄関に入った結が嬉しそうに言う。


「ただいま」


俺が靴を脱いでいる間に、結がキッチンに向かう。


「今日は、カレー作ろうと思います!」

「わかった」


結が買ってきたものをキッチンに広げる。

学校から帰宅してからの夕食作り。

結が丁寧にカレールーの箱の裏のレシピを見ているが、これは時間がかかりそうだ。

俺は結の邪魔にならないように、袋の中のものを棚や冷蔵庫にしまった。


「まず……じゃがいもの皮を剥きます」

「結、ピーラーはこっち」

「うん! ありがとう! そしたら……材料を切ります……」

「火が通りやすくなるから、小さめでいいんじゃないか?」

「なるほどね!」


俺が横から口を出して、結が嫌がるかと心配になったけど、結はなんだか嬉しそうだった。


「誰かと一緒に料理するって、楽しいんだね!」

「結は、料理が好きなのかと思ってた」

「うーん……あんまり? 自分で作ったものって食べても面白くないし、作り過ぎちゃうんだよね」

「……そっか」


俺の家では、俺が作った物に卯月が一言文句を言うのに一番良く食べるし、家族が食べて俺の分が無くなる事だってよくあることだ。

好き勝手な家族で俺は苦労していると思っていた。

でも、テレビの音が目立つこの家で結と二人きりでいると、なんだかあの家が懐かしくなってくる。


 *


「明日からルールを決めよう」


出来上がったカレーを食べながら、俺は結に言った。


「ルール、って? 」

「そう、俺と結が一緒にいるためのルール」


結は少し考えた後に、頬を赤くする。


「そ、それって! 朝のゴミ出しとか、保育園のお迎えとかのこと?! うわわっ、それはもう夫婦だよ!」

「落ち着け。誰が保育園に行くんだよ」


多分、ドラマの見過ぎの結を落ち着かせて、俺は説明した。


「俺がここで暮らすことは、俺の家族には了承を得ている……不本意なことに」

「不本意?」

「……ともかく、一緒に暮らすのはいいんだ。でも、学生の男女だ。勉強第一。そして、万が一でも間違いが無いようにしないといけない」

「はぁ~……りっくん、今時珍しい、硬派な学生だねぇ……」

「だから、寝る部屋は分ける。授業中のLINEは禁止。お風呂の見張りは脱衣所の外でとか、決めておこう」


結は首を傾げて少し考える。

俺はローテーブルの足に付いたままの手錠が気になっていた。

まさか、この家では常時付けているのがルール、とか言われるかもしれない。

結は俺の視線に気付いて、手錠を見る。


「あー……うん、りっくん、手錠はもう外したままでいいよ」


結が少し恥ずかしそうに言う。


「本当か?」

「うん。りっくん、逃げないって信じてるから」


結が俺の手を握る。


「でも、その代わり」


結が続ける。


「これからずっと、毎日、一緒に学校行って、一緒にお弁当食べて、一緒に帰ってきて、一緒に寝る。部屋は別だけどね。それだけ、約束して」


そういった結の顔に、笑顔は無い。

それだけ、の約束がどれだけ難しくて重い鎖なのか、俺は多分わかっていない。


「わかった」


でも、俺は頷いた。

結の約束を守りたいのは俺の本心だ。

結がふにゃりと表情を崩して笑顔になる。


「ありがとう、りっくん!」


結が俺に抱きつく。その体温が、温かい。


「じゃあ、今日も一緒に寝るよね!」

「ああ、宿題終わらせてから」

「そうだね! 宿題も、勉強するのも一緒だよ!」


結が嬉しそうに言った。

俺の手錠は外れたけど、この家で俺は結のそばにいる。

それで、いいのかもしれない。

結が笑ってくれるなら、それでいい。

今日も明日も、結と一緒だ。

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