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幼馴染がヤンデレ化して自宅に軟禁されてる俺に果たして自由はあるのだろうか?  作者: 甘酢ニノ
監禁、学校に持ち込まれる

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10/13

放課後、俺のクラスのHRが少し長引いてしまった。

結は先に帰ったかと教室を出ると、廊下の隅に結が立っていた。

俯いて待っていた結は、俺を見つけるとぱぁぁぁと分かりやすく表情が明るくなる。


「りっくん!」

「悪い。待ったか?」

「ううん、全然! あのね、帰りにスーパーに寄っていい? お弁当の材料買いたいの」


俺が結の家に帰ることは当たり前に決まっているようだ。

まぁそこには触れないで俺が頷くと、結が嬉しそうに笑う。


「じゃあ行こ!」


結が俺の腕を掴んだ。

廊下を歩いていると、すれ違う生徒が俺たちを見る。


「佐倉さん、りっくんとラブラブだね」

「えへへ……うん! 」


女子がすれ違いざまに言うと、結は照れたように笑う。

否定しないのか。


「竜胆、明日までの課題って……」


羽月が教室から出てきて、俺が結と一緒にいるのを見て言葉を止めた。

俺と同じく、羽月と結も中学校が同じだ。

当然顔見知りだし、そこそこ仲良しだった気がする。

それなのに、結は羽月に対して警戒心を露わにした様子だった。

散歩中に自分より大きな犬に牙を剥いている小型犬を思い出す。


「いいなー、りっくん。結ちゃんと毎日デートじゃん」

「デートじゃねーよ」


俺が他の生徒と話すのが嫌なのかと思ったけど、続けて顔を出した鬼丸に対しては結は普通の様子だった。


「りっくん、デートだよ。りっくんと放課後デートだもん」

「はいはい、わかったよ」


羽月に後で連絡する、と結に聞こえないように言って、二人から離れた。

結は機嫌が悪いわけではないようで、羽月から離れると嬉しそうに俺の腕を振っている。


「羽月が、どうかしたか?」


俺が尋ねると、結は途端に表情を険しくした。


「……何でもないよ」

「何でもなくないだろ。何か気になるなら教えろよ」


学校で俺が一番よく一緒にいるのが羽月だ。

結と羽月がこじれると面倒なことになる。

笑わないから、と結を宥めてしばらく尋ねていると、結は渋々口を開いた。


「……羽月くんに、卯月、盗られた」

「卯月?」

「りっくんも、盗られるかも」


結はよくわからない事を言っているが、その表情は真剣そのものだ。

俺は少し考えて、ふと思い出した。

中学校の時、頭の良い卯月と羽月の相性が良くて、周囲から付き合っているのかと噂になった。

本人たちも満更ではなかった様子だったが、俺の目の前で冷静な話し合いが繰り広げられ、その結果、付き合わないことになったのを俺は知っている。


「大丈夫だよ。卯月は誰とも付き合ってないし、俺は結が一番大事だ。誰かに盗られたりしないよ」

「……本当? 」

「本当だよ。ていうか、俺にそんなに興味あるの結くらいだから、全然心配することないって……」

「そんなことないよ!! りっくん、人気者だもん!」


結が必死に言ってくれるのが、逆に泣ける。

スーパーに着くと、結はカゴを持って野菜売り場に向かった。


「ブロッコリーとプチトマトは絶対入れるよね」

「そうだな」

「あと、卵焼きも! りっくんは甘い卵焼きと塩味の卵焼き、どっちが好き?」

「甘い方」

「わかった!」


結は卵のパックを入れると、お弁当のおかずコーナーに向かう。


「ウインナーも入れようかな。りっくん、お肉好きだよね」

「まあ、嫌いじゃない」

「じゃあお肉たくさん!」


結がウインナーのパックを三つカゴに入れた。


「多すぎだろ」

「ううん、りっくんにはたくさん食べてほしいの」


結が真剣な顔で言う。


「お弁当箱に入りきらないぞ」

「じゃあ、大きいお弁当箱買う!」


結が弁当箱売り場に走っていく。追いかけると、結は二段の大きい弁当箱を持っていた。


「これなら入るよね!」

「運動部じゃないんだから」

「でも、りっくんは大きいから」


結が俺を見上げる。

俺の身長は平均くらいだから、そんなに大きくない。結が小さいだけだ。


「普通のサイズでいいだろ」

「やだ。りっくんにはたくさん食べてほしいもん」

「わかったよ」

「やった!」


結がカゴに弁当箱を入れた。二つ。


「なんで二つ?」

「私の分も」

「お前も二段弁当なのか」

「だって、りっくんと同じものを食べたいから」


結が笑う。

さっきの不穏な発言を思い出した。同じものを食べて同じ体になりたいとか言ってたな。


「結、お前やっぱり……」

「ん?」

「いや、なんでもない」


結が不思議そうに首を傾げる。


「りっくん、何か言いたいことあるの?」

「別に」

「そっか。じゃあ、次は調味料見よ」


結が調味料コーナーに向かう。俺もついていく。


「お醤油と、お砂糖と、お塩と……あ、マヨネーズも買っとこ」


結がカゴに次々と入れていく。

確実ではないけれど、マヨネーズとかは棚にストックがあった気がする。

やっぱり、結はあんまり料理が得意じゃないよな。


「結、そんなに買って大丈夫か?」

「大丈夫。お弁当作りに必要だもん」

「まあ、そうだけど」


結が嬉しそうに買い物をしている。その顔を見ていると、俺も悪い気はしなかった。

レジで会計を済ませると、結が袋を持とうとした。

俺は横から手を伸ばして袋を持ち上げる。


「俺が持つよ」

「でも……」

「いいから」


俺が袋を取ると、結が少し残念そうな顔をした。


「ありがとう、りっくん……そしたらさ」


結がまた俺の手を握った。

さっきの子どものような握り方じゃなくて、指を絡める恋人同士のような握り方だ。


「りっくん、こうやって手を繋いでもいい? 」


高校生の俺には、少し刺激が強い気がする。

でも、結に気後れしたと思われたくなくて、俺は平気な顔で結の手を握り返した。


「ああ、いいよ」

「うわぁ……! りっくんと、恋人みたいだよ……! 」


結の顔が真っ赤になる。

言っていることもやっていることも変わっているけど、やっぱり、結は可愛い。

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