日記00「日記に刻む、何気ない一日」
「ひらめいたっ! 茉莉花ちゃんのスマホは、その巾着袋の中だよっ!」
金髪ツインテールの美少女――海堂エリカが、教室の机にぶら下がった巾着袋を指差して、自信満々に言い放った。
「え?……うそ、ホントに入ってた! エリカすごっ!」
巾着袋からスマホを取り出した黒髪ポニーテールの伊吹茉莉花が、驚きと感心の声をあげる。
「へぇ~。やっぱ冴えてんな、エリカは」
短髪で日焼けした大柄の男子、三条真司も続けるように感嘆の声を漏らした。
「ふっふーん。この“ひらめき探偵エリカ”に、解けない謎なんてないのだ!」
トレードマークの青いリボンを揺らしながら、得意げに胸を張るエリカ。
「金髪ツインテールで自称探偵って、キャラが濃すぎるでしょ」
そう言いながら、茉莉花が笑顔でエリカに抱きつく。
「ちょっ、茉莉花ちゃ~ん、くるしぃ~!」
二人は机にもたれかかりながらじゃれ合う。
短いスカートなのもお構いなしで。
すると真司が、椅子に座ったまま体を斜めにするようにして目線を低くし、声をあげた。
「見えた! 二人とも今日は、し――」
――その瞬間、じゃれ合いのはずみで机の上の教科書が落ち、その角が真司の頭を直撃した。
「だっ、だぁーーーーー!!」
悲鳴とともに椅子から転げ落ちる真司。
「ちょ、真司、大丈夫!?」
驚いた僕は真司の無事を確認するため、声をかける。
「……いてて……体は無事だけど……後頭部がめっちゃいてぇ……」
どうやら、うまく受け身を取ったらしい。大事には至っていなさそうで、ホッとする。
「バカよねほんと。エロいことばっか考えるからよ!」
「エロ猿真司! 最低!」
女子二人から容赦ない非難の嵐が浴びせられる。
「ひでぇ! 少しは心配してくれてもいいだろ!!」
「自業自得でしょ!」
半べそをかく真司に、茉莉花が追い打ちのツッコミをピシャリ。
僕とエリカは、それを見て笑い合った。
……そして、僕はふと思う。
きっとエリカは、今日のこの出来事も“日記”に書くんだろうな、と。
彼女は毎日、丁寧に日記を綴る。
それはただの記録なんかじゃない。
彼女がこの世界で、自分の輪郭を見失わないための、たしかな“証”。
世界に拒絶されても、諦めずに立ち向かっている。
その姿は、自分が生きた“証拠”であり、そして“希望”でもあるのだ。
――これは、僕・雨宮直央が、
大きな問題を抱えながらも笑顔を絶やさない、幼なじみの海堂エリカと
日常の謎を解いていきながら、その問題を一緒に乗り越え、恋にたどり着くまでの物語。
最後に――お願いです。
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