第6話『出発』
「そういえば、例の扉はどこにあるんだ?」
リーナが言っていた謎の扉がどこにあるのか、聞いていなかったため、確認しておこうと思ったのだが……
「そうだな、ここから4000キロくらいだな」
「お前今何つった」
今のは聞き捨てならない。
「ん?だから4000キロくらいと言ったのだ」
「知ってるよ!そうじゃなくてだな、異世界という未開の地で、そんな距離行くのにどんだけ時間かかると思ってんだ!4000キロってアメリカ大陸横断するくらいあるぞ!?」
「アメリカ大陸とは何だ?」
「そうだよな、伝わるわけないよな!ごめんな!」
違う世界の住人にアメリカ大陸って言ってもわかるわけがなかった。
「しれっとこの世界を未開の地呼ばわりしたのは聞き捨てなりませんが、確かに4000キロって相当ですよ」
「4000キロなんて車使えば、一週間もかからないだろう」
……?
「いや、こんな未開の地に車なんてあるわけないだろ」
「あっ、また未開の地って言いましたね!?さすがに許せません!」
掴みかかってくるルルシュに抵抗していると、
「いや、私が持ってるから問題ないぞ?」
コイツは何を言ってるんだ。
「車なら俺の両親だって持ってたよ。そうじゃなくてだな、急に異世界に飛ばされたわけだから、その車をどうやって取りに……」
そこまで行った時だった。
リーナがカバンから謎のボールを取り出し、何を考えたのか地面に投げた。
その直後、俺の目も前に大型バギーがあった。
……!?
「おい、何だよこれ!?お前のとこの世界はすげぇな!?まんまホイ◯イカプセルじゃねぇか!」
俺は驚愕し、感心していたると、
「ホイポ◯カプセルとは何だ?」
「そうだよな!分かるわけないよな!どうせドラ◯ン◯ールも知らねえよな!!」
「全く持って知らないな。これは『ぽんすたーぼーる』という便利アイテムでな……」
なんだろう、すごくモヤモヤする。
多分ポケ◯ンも知らないだろうが、そのアイテムの名前が例の赤と白のボールに似すぎてる。
そんな、俺の内心を知らずに、ルルシュがはしゃぎ出した。
「カッコいい!カッコいいです!これは何ですか!?もしかして、馬車よりも早いのですか!?」
「そうだな、だいたい馬車の8倍くらいじゃなかろうか」
目をキラキラと輝かせるルルシュを無視して、リーナがバギーに乗り込んでいく。
「ほら、2人とも早く乗るんだ。そろそろ行こう!」