第4話『現地ガイド』
「おいカズキ、元の世界に帰れるかもしれないぞ!」
……。
……早くね?
いや、早く脱出しなきゃって思ったよ。
でもさ、異世界来てその日中に脱出できるってなんのはいくら何でも早くないかな?
「おい、大丈夫か?どうした急に黙り込んで」
おっといけない、心配させてるじゃないか。
「いや、なんでもない。ちょっと考え込んでただけだ」
「そうか、じゃあこれを見てくれ!」
そう言って、俺にスマホを見せつけて、説明してくれた。
「ここに飛ばされたときからドローンを飛ばしてこの世界を観察してたのだ」
ド、ドローン……?
リーナが住んでた世界は俺がいたとこよりも文明が進んでるのか?
いやでもそんなことは……。
「で、何もない平原に謎の扉が置いてあったから、解析してたんだが……」
うん、俺がいた世界の比じゃねぇや。
もっと何倍も進んでますね。
「この世界とは微妙に違う性質の大気が流れ込んでいた。後は言わなくてもわかるな」
そう言ってリーナがこちらを見つめてきた。
……なるほど。
「つまり、その扉が空気清浄機的な役割を果たしてると」
「違うよ、全然違う!何でこの流れでそうなる!?違う世界と繋がってるかもってことだ!」
ほう。
「じゃあ、そこに行くしかないじゃないか」
俺らの会話に突っかかってきた少女は目を丸くした。
「あなた達は違う世界から来たというのですか?」
「ああ、そうだよ。あんたの弟も俺らみたいに別の世界に飛ばされてる可能性が高いだろうな」
少女はさすがに異世界とかは簡単には信じられないのだろう、どうするべきか悩んでいた。
そしてしばらくして……
「先程は失礼な態度を取ってごめんなさい。弟が急にいなくなって焦っていたのです」
「別にいいよ、この状況で焦らないほうが珍しい。で、どうするんだ?」
その言葉に少女は顔を引き締めて言った。
「私はルルシュと言います!ぜひ私も連れて行ってください!あなた達よりもこの世界について知っていると思いますし、役に立つと思いますよ!」
俺とリーナは顔を見合わせて同時に笑みを浮かべた。
何はともあれ、現地ガイドゲットだ!