第2話『異常事態』
「悪い、もっかい言ってくれ」
俺の言葉にリーナは首を傾げながら答えた。
「あぁすまない、質問の意味がわからなかったのだな?つまりここは何という国で、何という街の名前なのかを教えて欲しいんだ。」
違う、質問の意味がわからなかったんじゃない。
「そんなの俺だって聞きたいよ。目が覚めたらここにいたんだぞ?」
その言葉にリーナは目を丸くした。
「なんと、お前もなのか。実を言うと私も気づけばここにいたのだ」
……ふむ。
「つまり、元々かなり近い場所に住んでたんじゃないか?だから一緒に知らんところに飛ばされた、どうだ?」
「なるほど、素晴らしい推理だ!きっとそういうことなのだろう!」
「一応確認しときたいんだけどさ、お前どこに住んでたんだ?」
俺の質問に対しリーナは、
「ヘルスタッド連邦国の首都ラークーズだ」
どこだよ……。
「そういうお前はどこの出身なのだ?」
「日本って国からだよ」
「ニホン?聞いたことも無い名前だな」
……。
「なぁ、やっぱり俺らが元々いたとこはかなり遠いと思う」
「奇遇だな、私も同じことを考えていたぞ」
いきなり行き詰まった俺達はこれからどうするかあーでもないこーでもないと作戦会議を行った。
「……何も良い考えは浮かばなかったな」
「とりあえず、街の人に片っ端から声を掛けてみようか」
結局、安っぽい考えでまとまってしまった。
と、目の前を俺よりも年下であろう少女が通り過ぎた。
俺達は顔を見合わせると、少女の前に躍り出た。
「すんませーん、ちょっと聞きたいことがあるんすけどー」
「なんですか?私急いでるので、どいてもらってもいいですか?」
おっと、かなり冷たい対応だ。
するとリーナが
「お急ぎのところ申し訳ない、長く引きとめるつもりは無いんだ。私達はただここが何という国の何という街なのかを知りたいだけで……」
そこまで言った時、少女は顔色を変えて食ってかかってきた。
「あなた達はこのあたりの人ではないのですか?」
「えっ、あっ、はい……」
食い気味な少女に気圧されたのか、リーナは弱々しい答えた。
「あなた達……」
次の瞬間、少女の言葉でまた俺は驚愕することになる。
「弟を返してください!」