プロローグ① 『何気ない日常』
「和樹!」
昼休みの騒がしい教室に、優希先輩の声が響く。
「あの人、3年の日比谷優希先輩じゃねぇ!?学校一の美人って噂の!」
「マジ!?俺初めて見た!何食ったらあんな小顔になんだよ!」
「そんな日比谷先輩がなんで向田なんかに…」
おい。
しれっと俺のことバカにすんな。
「お前ら知らねぇの?向田と日比谷先輩は家もとなりの幼なじみなんだぜ」
「「「ズルい!!」」」
「うるせーぞ、この非リア共が!」
敗北者共に怒鳴りつけてみたのだが、
「なんだお前!お前だって幼なじみってだけで、別に付き合ったりしちゃいねぇだろが!」
「彼女でもいんのかよテメェはよぉ!」
コイツらァァ!
「いねぇよクソが!でもなぁ、俺は!お前らにとって雲の上の存在な優希先輩と昔からずっと一緒にいんだ!この意味がわかったらとっとと俺に頭を垂れやがれ!」
「コイツ!ちょっとばかし日比谷先輩と仲良いからって調子乗りやがって!」
「やっちまえ!囲んで袋だ!」
非リア共が俺を囲むが、俺は身体能力高いんだ。
この程度のカスがいくら群れようが、負ける気はしない。
「すんません、優希先輩。ちょっと大事な用事できたんで、後にしてもらっていいすか?」
「その大事な用事がケンカなら、ちょっと後にして欲しいかな」
全く何を言ってんだ先輩は。
「今から始まるのはケンカじゃねぇ、一方的な蹂躙だァ!!」
「お願いだから、これ以上煽らないで!」