表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー ~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~  作者: エース皇命
オスカーの帰郷編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/110

その64 将軍シュテルベン☆

 セレナはマヤと戯れていた。

 庭のブランコで、小さな二歳の女の子と、成熟した美女になりかけている華麗な少女が、微笑ましい交流をしている。


 オスカーは自分が(マヤ)に嫌われていることを自覚しているため、父親の農作業の手伝いに行っていた。


「可愛いでちゅねー、マヤちゃん」


「ねーね」


「よちよちー」


 破顔してマヤの頭を撫でるセレナ。

 それに応えるように、マヤも屈託のない笑顔を作る。まるで本当の姉妹のようだった。年が十四歳も離れているため、母と娘、のようにも見えるのかもしれない。


(母と娘……ってことは、私の夫は、オスカー!)


 オスカーと結婚した将来の自分を思い浮かべ、頬が緩む。

 だが、すぐに我に返り、首を振った。


(まだそれは早いか)


 セレナはオスカーに告白をした。

 だが、その返事は結局わからなかった。オスカーが何を考えているのかを理解することは、誰にもできない。


 ブランコに腰掛け、穏やかな揺れを生み出しているマヤの背中を、後ろから優しく押す。


 だが――。


(あちゃー、マヤちゃん)


 一秒前まで満面の笑みを見せていたマヤが、急に泣き始めた。

 声を張り上げ、全力で泣き叫ぶ。何かが、つい一秒前とは変わってしまったかのように。


 セレナはブランコの勢いを止め、マヤを抱え上げた。上下に揺らし、背中をさする。それでも一向に泣き止まない。


 その時、マヤが無理やり体をねじり、セレナの抱擁から逃れた。


 ――感覚。


 ――何かが。


 ――何かが後ろから狙っている。


 ――何を狙っているのか。


 それは一瞬の出来事だった。

 マヤにはわかっていた。そして、セレナは気づくのが遅れてしまった。

 

 左頬すれすれに飛んできた一本の矢。セレナに当たり損ねた漆黒の矢は、ブランコの柱に命中し、黒いもや(・・)と共に消滅した。


(わざと狙いを外した……?)


 即座に振り返る。


『その娘を渡してもらいますぞ』


 セレナの背後に構えていたのは、ダークエルフが……五人。


「その娘って……マヤちゃんのこと?」


 初めて目にした闇の妖精(ダークエルフ)に動揺しつつも、セレナは冷静さを保って聞き返した。

 今ここで、恐怖に押し潰されるわけにはいかない。


西園寺(さいおんじ)オスカーの妹だと聞きました。それにしても、お前は誰ですか? タナトス様からの話に、同年代の女の話はなかったような――」


「オスカーを、知ってるの?」


「ええ、当然ですとも。タナトス様からその者の始末を命じられました」


 セレナが眉を細める。


(オスカーの始末? なんで? 魔王を倒したりしたから?)


 思い当たることといえば、それくらいしかない。それとも……。


(神殺しが、関係してるの?)


 頭の中で考えが浮かんでは消えていく。


 セレナに話しかけているのは五人のダークエルフの真ん中(センター)にいる男だ。顔立ちは皆エルフのように麗しいが、黒い髪に黒い瞳――エルフは金髪などの明るい髪色が特徴だが、ダークエルフは必ず黒髪に黒目である。


「お前がその娘をおとなしく差し出せば、お前自身に(・・・)危害は加えません。我が種族(ダークエルフ)は必ず約束を守ります」


「マヤちゃんに何するつもり? 絶対に渡さないから!」


「勿論殺すつもりですぞ、西園寺オスカーの目の前で。あの者が絶望する様子を、タナトス様に見ていただきながら」


「殺す……? あんた、本気でオスカーに勝てると思ってるわけ?」


 魔王を倒してしまうほどの実力者、西園寺オスカー。

 セレナはオスカーの実力が、目の前のダークエルフを上回っていると確信していた。


「ええ、今の我々はタナトス様より力を授かっています。いくら魔王殺しの西園寺オスカーも、我々が束になってかかれば――」


「あんた、馬鹿ね。オスカーがやられるわけない!」


「お前、思っていたよりうるさいですぞ」


 自分より下等な種族に罵倒されたダークエルフの男、シュテルベン。

 この程度で憤慨するほど愚かではない。ただ、少々の苛立ちを見せてセレナに問いかける。


「もう一度聞きましょう。お前、誰です?」


「私はセレナ。オスカーの将来の嫁になる女よ!」


 ダークエルフの怒りに火をつけるだけだとわかっていながらも、セレナは堂々と言い放った。

 これぐらいのことができなければ、オスカーの隣には立てない。


「将来の嫁……つまりは、現段階で、西園寺オスカーの婚約者……」


 シュテルベンが思わぬ笑みを浮かべた。

 光を狩り尽くしてしまうかのような、じめじめとした笑みだ。彼の頭の中には、盟主(タナトス)を喜ばせている自分の姿が鮮明に浮かんでいる。


「な、何? 何か文句でもあるわけ?」


「いいえ……計画変更です。お前もその娘も、両方殺すことにしましょうぞ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 西園寺オスカーを応援しよう!  ★★★★★評価及びグッドボタンよろしくお願いします!  ユーザーお気に入り登録の方も、作者マイページというところでできるので、ぜひポチッとしてくださいな。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ