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第21話 魔法修得の可能性

 少し考えると、この辺りで退散しようと画策する、


「お三方の手助けができてよかった。このまま交流を温めたいところであるが、ちょっと時間がなくて申し訳ない。お暇をさせていただこうと考えている――」


 その言葉にアンライトとレべリアは唖然とする。


「そうなのでありますか……これは残念なのです」


 このままずらかろうと後ろに下がったところで九十九に声が掛かる。


「ほほう、ツクモは我らにここで野垂れ死にせよと申すのであるな?」


 それは九十九が今、一番言われたくない言葉だった。


「それは誤解だ。俺にとってもここは異郷の地。右も左もわからぬので己のことで精いっぱいなのだ」


「事情は承知したのである。しかし我らは奴隷の身で行動が制限されている。そんな我らを蛮獣が溢れるこの地に放置では死ねというのと同じである! 万が一、この地から逃れても誰かの手に堕ち、凌辱を受けるのは確実!」


 そういい、ハイエルフは自分がしている水晶が輝く首輪を誇示する。その首輪はアンライトとレべリアにもついている。それが奴隷の証であるのだろうと九十九も推測できた。

 MIAに助けを求める。


「MIA、あの首輪は外れないか?」


「その可能性を検証中です。首輪にはこの星で言う魔法という独自の技術が施されております。スキャンで凡その構造はわかりましたが、安全に無効化するとなると数十時間は必要となります」


「………やっぱりそうか、わかった」


 今一度、九十九は脳内で状況を整理する。が、やはりまだ分らないことが多い状況で、初対面の3人の命を預かるのは難しいと思う。

 妥協してもらうしかないと考え、口を開く。


「……では近くの集落まで案内するのでどうだろう?」


「それではダンビス商会に再び捕まってしまうのである。連中は魔法での追跡もお手の物――我らは再び生き地獄を味わいたくはない。いっそこの場でそなたに殺される方がマシなのである」


「ではどうしろと? 俺に余裕がないのは本当だ。しかも土地勘はないに等しいのだ」


「それならば苦しまぬように我らを殺していって欲しいのである」


 アンライトとレべリアも思いつめたような真剣な眼差しで九十九を見る。


「……………………」


 ここで九十九は完全に言葉が詰まる。3人の絶望的状況はわかるが特に打つ手が思い浮かばないのだ。街に連れ込んでも余計にダンビス商会とやらに取り戻される可能性が上がるのも予想できる。

 かといってかくまうような場所に心当たりがない。


「MIA、この辺りで魔法での追跡を受けずに、安全で身を隠せる場所はない?」


「現在では該当ゼロです。該当地域探査にドローンを割り当てますか?」


「そうか、そうだよな……」


 そこで薬師のガズ翁のところにいたノドルとベキンナのことを思い出す。

 あそこに匿ってもらうのは難しいが、ノドル辺りならば何か相談に乗ってくれるかもしれないと思う。


「わかった。しばらくはあんたらが生き延びることができる場所を探すのにつき合おう。……まったく俺には得がない話だっていうのに――」


「いいや、得るものは少なくないのである。例えばダンビス商会が残したこの袋だ! 逆さにすると良い」


 そういってハイエルフは九十九が手にしていた黄色の皮袋を指さす。九十九が袋を逆さにする。


 ジャララララ~ッ!!


「うおっなんだ?」


 袋からは大量の金貨が流れるように飛び出したのだった。明らかに皮袋に収まる分量ではない。


「そうか。マジックポーチとかいう奴か」


「そうなのである。たっぷりの金銭がつまっているのである。こちらの縞模様の袋には魔法の書物、この銀の袋には豪華な食材が詰まっているのである!」


 次々と渡された袋から九十九は縞模様の袋に注目する。


「魔法の書物! こ、これはもしかしてスキルとかなしに、読んで勉強すれば魔法が使えるようになったりするのか?」


 九十九は職業関係なしに魔法を学べないかを考えていた。文字化けして職業がわからなくても、魔法の基礎から正しく学べば体内に内蔵しているであろう魔力を活用できるのではないかと思っていた。

 青光りする髪を揺らしてアンライトが近寄ってくる。


「ええ、初期からしっかり学べば魔法が使えるのです! わたくしも〈職業〉は〈魔弓師〉ですが魔法の初期を学び、リエエミカ様のご指導で3つの魔法を修得するに至ったのです!」


「へえ! それは朗報だ。でそのリエエミカとは誰なのだ?」


「わらわであるのである!」


 そういってハイエルフが胸を張った。九十九は驚きながらも頭を下げる。


「魔法の先生でもあったのか。その――ぶしつけで申し訳ないが俺にも魔法を教えてもらうわけにはいかないか?」


「それはもちろん――我に断る術があると思うのがおかしいのである!」


「えっ? それはさすがにそちらの意思が最優先に尊重されると思うが?」


 という九十九にリエエミカが口角を吊り上げてニヤリと笑う。


「まだわかっておらぬとは嘆かわしいのである。我らはツクモの所有物も同然。その知識もこの体も自由にできるのである!」


 リエエミカの言葉にアンライトは顔を真っ赤にし、レべリアは忌々しいというように顔を歪ませる。

 見ると言い出したリエエミカも長い耳まで紅潮させていた。


 なんだよ、このエロゲみたいな展開は? いやいや簡単に巻き込まれないぞ? でも3人とも滅茶苦茶美人ではあるんだよな……。


 突如始まったハーレムイベントに17歳の少年は興奮せずにはいられなかった。


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