その日 2
二人の証人は互いに見つめ合う
彼らの見つめる先は未来
涙で霞む未来
霞む向こうにかすかに見えるのは
二人の永遠と選ばれた民たちの未来
遠く丘の上に立った二つの人影
彼らは最後に何かを語ろうとした
それを吹き飛ばしたのは
六六六模様の兵士たちと
丘に立った荒らす憎むべき首領
二人は語る前に地から断たれた
それを丘の占領者たちはあざ笑う
彼らは勝ち誇って喜び歌い、
食い散らかしのみ散らかす
挙句に不特定多数が乱れ絡み合う
騒ぎ乱れる嬌声は 不気味に響き
祝砲と聞きまごう乱雑な砲声は
絶望さえ覚えさせる
離れて見守る聖者はそれにより
天の怒りの近いことを悟った
かつて神殿の丘に響き渡った雷鳴
復活した証人の二人
同時に、大地を滅ぼす預言が現れた
大地と全てが焼き尽くされると
選ばれた地だけがそれを逃れ去ると
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一撃で神殿の丘に集結していた軍団は溶け去った。ガラスの表面のような地平に、二人の人影が輝きに包まれながら、佐美たちの許に帰ってきた。彼らは、迎えに来た子ロバたちにまたがって、ヘルモンを見る水辺の村へと帰って行った。
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荒らす憎むべき者は倒された
それでも戦いは終わらない
選ばれた民たちの村は
大地と切り離され
地に降りかかる大火から逃れ去った
そして、遠い遠い未来
あとに残された(Left Behind)者たちもまた
大火から大地を、地球を逃れさせようと
様々に仕掛けを作り上げた
大地たる地球を動かす仕掛け
逃げようとする仕掛けだった
赤巨星へと拡大し始めた太陽
懸命に逃げ出そうとする地球
待ちきれずに大地を飛び出す飛翔体
既に安全な位置から見守る聖者たちの前で、
大地の者たちは逃げられなかった
それが最後だった。