『Mobius Cross_メビウスクロス9:覚醒』
主人公覚醒バトル回です!✝(`·ω·´)✝
☆登場人物
·ルナ:主人公の少年。かわいいだけじゃない。
·シャハネさん:美人のお姉さん。一緒にお風呂に入ってくれる。
·ランス:主人公の救世主。銀髪のイケメンちょっとツン。
·ルナベレッタ:囚われのシスター。自分を責め過ぎる癖がある。
·魔神ギルト:ルナベレッタの一部に宿り、罪を喰って力を増す。
『Mobius Cross_メビウスクロス9:覚醒』
ルナは覚醒した。
その手に創造した鎖双剣がそれを証明する。
対してギルトも、ルナベレッタの罪を喰らいかなり状態が万全に近づいてきた。ギルトは状況を見る。
目の前には未知の力を秘めたルナ、しかし相当ダメージを負っている。
その向こうには鎗を携えたランスがいるが、ルナの力を見極めるつもりか距離を詰めずこちらの様子を凝視している。
まずはやはりルナを標的にする!
ギルトは翼を大きく広げ、複数の鎖をムチのようにしならせ波状攻撃を仕掛けてきた!
ルナはそれを身のこなしで躱し、翻った隙をつく攻撃も短剣でいなし、うち払い、堂内を縦横無尽に駆け回る。
だがルナの短剣、華奢な見た目通り鎖を破壊できるほどの威力や切れ味は無いようだ。
ギルトにとってはありがたい。このまま手数とリーチで押していれば不利は無い…
「趨れ!クロス!」
ルナは鎖を躱しながら、右手の短剣を振り投げた!
狙いは…ギルトの目!
「「ヌッ!!」」
ギルトは左手で覆い防ごうとする!
…だがギルトの左手には剣があたった感触は無い。
「「ヌ…?」」
ギルトが疑問に思った直後、
ザキュッ
「「ギギャッ!ァアアー!!」」
翼の背後からクロスが刺さり、眼球を貫いている!
「ッ!!」
痛みを食いしばるルナベレッタにルナは言葉をかけた
「ベルさん少しの辛抱です!必ず助けます!」
ルナベレッタは応えた
「大丈夫です!貴方の痛みに比べたら…!」
「「オノレッ!!目ガ!目ガ見エン!ドコダ!」」
これはブラフである。
不覚をとったものの、ギルトはルナベレッタの視覚を通してある程度の状況は把握できる。
先程のルナの攻撃はたまたまルナベレッタからも死角になっていたので防げなかったが、
どうやらあの短剣は空中で自由に操作可能のようだ。同じ手はくわない。
ギルトが虎視眈々と不利を装っていると、ランスが口を開いた。
「おいガキ気をつけろ!そいつらは視界を共有しているぞ!」
「「チィイッ!!気に食わんヤツダ!」」
ギルトは左手についた巨大な口を歪ませて悪態をつき、右翼のコブに目を開いた。
何が見エン!だ…。
しかし、クロスの動きはバレてしまった。
なんならルナの能力、ほぼギルトの下位互換。
低威力の剣が最大でも2本飛んでくるだけ。
対するギルトは両翼合わせて8本の大質量鉄鎖。
むしろギルトにとっては後に控えたランスが厄介だ。
単体でも勝てるかどうかわからない奴が、アドバイスをしながら、
隙あらば必殺の一撃を見舞おうと、出入り口を塞いで待機している。
良い仕事をし過ぎている。
そんなことを考察しながら、側面背後からの攻撃を防ぎ、
また自身も鎖を上下左右正面背後、空を切り椅子を割り床を砕きながらルナを追い立てるギルト。
ルナも、思いのほか素早く、しぶとい!このままではジリ貧となるのは自分かもしれない。
しかし、詰んではいない。
そう、ギルトの目的はルナを倒すことではなく、ランスから逃げ果せること。
そのための布石は…撒いてある!
ギルトはルナを追いながら砕いた床の破片を、鎖で一気に薙ぎ払い放射状に飛ばした!
ルナはクロスと鎖で防ぎ、ランスも鎗を回転させ弾く。
が、その隙だった!
ギルトはルナを叩きつけた時のあの跳躍を見せた!めざすは…開いた天窓!
全鎖を地面に一斉に叩きつけ飛翔する、
「それを待ってた」
ルナが片手にクロス、空いた手に剣の鎖を持ち構えた。
もう一本のクロスが猛烈な疾さでギルトの並んだ鎖の輪の中を飛んでいく!燕が木々の間をすり抜けて行く様に!
「縛れ!メビウスの鎖!」
あっという間にルナの光る鎖がギルトの大きな鎖を縫い、翼やルナベレッタに巻き付いた!
自由を奪われ堪らず地面に落下する!
「「グオォ!ナ、ナンダコノ鎖!イツノマニコンナ長く!?」」
ガシャガシャと暴れるギルト。
ルナは決め顔でこう言った。
「その鎖は永遠に終わらない。表が裏に、裏が表にと永遠に続く、∞メビウス∞の輪のようにな!」
「(意味は不明だが…)いいぞガキ!」
ランスも乗っかった。
「「キ、切れンッ…!コンナバカナ…!」」
ギルトはギシッと力を込めるが、
「…ッんあッくぅ…ッ!」
ルナベレッタの体に鎖が食い込み悲鳴を上げる。
「「オ、オイッ!コノママ力を込めレバルナベレッタは細切れにナルゾ!イイノカッ?!」」
ルナは一瞬怯んだが、ランスがすかさずルナの頭にポンッと手を乗せこう言った。
「やってみな。お前は宿主を失い、ルナは苦痛から解放される。ルナだってそれぐらいの罪は背負ってる。俺が弔ってエデンへ連れて行ってやる。
逆にお前が大人しくしてるなら、そのまま俺達の教会に連れて行ってやる。」
ギルトから力が抜けていく。
「「…ワカッタ。オトナシクシヨウ…」」
ギルトはとうに冷静だった。ランスもそれを悟っての発言なのだ。
もともとこの二者の利害はそう離れたものではないらしい。「ルナベレッタの無事を願う」という点において。
そしてもう一人、新たに現れたルナが同じ願いを懐き、それを可能にする力を得たことは、この場に居る者全てにとってまさに幸運だった。
「さぁて、帰るぞ。お前このまま縛って運べそうか?」
ランスがルナに訊く。
するとルナベレッタが提案する。
「あ、私、自分で歩きます。ギルト様の重さを私は感じませんから。」
外はもう夕闇。
男二人がちょっと怪物のついた女を縛って連行していてもまあ大丈夫な時間だろう。
3人でとぼとぼと歩きながら、ランスがふと訊ねた。
「そういやお前名前何てんだ?」
「ルナです。(やっぱり覚えてなかったか…)」
「おいおい。ルナベレッタと被ってんじゃねーか改名しろ。」
「そんなむちゃな…」
そういえばランスはルナベレッタを「ルナ」と呼んでいるようだった…。
「改名しろ、ガキか弟子に。」
「え…弟子に…してくださるんですか…?」
「ガキにすっぞ」
「弟子で良いです!」
「なぁ弟子。腹減った。何か買ってこい。」
「その指示には嫌な思い出が…それにベルさん連れて行けませんよ…
あ!そうだ!貴方に言われて買ったパンがあるんです!」
ルナはクロスを片脇に抱え、懐からゴソゴソとパンを取り出す。
「どうぞ!」
「おう。」
ルナは夢にまで見た。憧れの人に、自分が何かを施すこの瞬間を。
ケガは負いながらも、誰かを救えたこと、誰かを救う力を得たことは、ルナにとって救世の大一歩なのだ。
降り始めた星空と、夕陽の僅かな朱に照らされて…
はむっとランスはパンを頬張った。
「ン!?べっ!!べっ!!」
パンを吐き出した。
「血の味しかしねぇ…」
「あっ…」
「ってめおいこらてめ!破門だァァ!!」
「ひぃ!お、お赦しを〜!!」
ギルトがちょっと膨れ、ルナベレッタはちょっときゅうくつになった。
to be continued
文章でバトルって難しいですね…;
かっこいいバトルかくのが夢なのでがんばります。(アドバイスくれるイケメン募集中です)
「血」+「パン」こういうワードにピンとくる人はこの作品を累乗倍に楽しめるかもしれません。
次回、お風呂回です。