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【処女作完結】Mobius Cross_メビウスクロス  作者: 阿暦史
【第一章】救世主と罪の魔神と蛇の館
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Mobius Cross_メビウスクロス7:魔神教会

この巡り会いは幸か不幸か…立ち回り次第です。


登場人物

·ルナ:主人公の少年。かわいい。

·シャハネさん:美人のお姉さん。一緒にお風呂に入ってくれる。

·ランス:主人公の救世主。銀髪のイケメンでちょっとツン。

·ルナベレッタ:囚われのシスター。自分を責め過ぎる癖がある。

『Mobius Cross_メビウスクロス7:魔神教会』



「…ルナ…?」

…珍しい名前だ。男としては特に。

と、そんな偏見は罪深いと、シスターは話題を戻す。

「本当に大丈夫ですか?あんな高い所から落ちて…介抱もできなくてごめんなさい…」


「こちらこそ驚かせてしまって…って、貴女こそその重々しい拘束具はいったい…!?それに、この場所は?」


ルナがここに来たのは偶然だった。

ランスを追うことは一旦諦め、情報収集することにしたルナは、この教会が『悪魔に取り憑かれた人々事件』の跡地で、廃墟となった今でも悪魔の生き残りがいる等の噂を聞き、調べていたのだ。

人を寄せ付けない見た目の教会にシスターが一人囚われているとは異様な状況だ。

ルナは落下の痛みも忘れて訊ねた。


「ここは魔神教会。

天には遠い神がおわしますが、魔神様は私達の近くにおられて私達ヒトの悩みを迅速に解決してくれます。

私は…ここで修道女をしていました…。

…それで…ある日…真神教会の修道騎士達が押し入ってきて…。私達は異端だと…。

そこからは…よく…覚えていません…。何か…とにかく酷いことがあって…私は…」

話すシスターの顔が段々曇っていく。


ルナは思わず遮る。

「ああ!すみません。。辛いことを思い出させたみたいで…。無理に語ることはないです!」


ドクン


ルナの胸が一瞬痛んだ。


「そうだ名前…貴女の名前は?」

ルナの変えた話題にシスターの顔も明るくなる。


「そうそう!私、ルナベレッタっていうんですよ!なんだかルナ君と似てますね♪」


「へぇ!奇遇ですね!」


「本当に!

長いので、以前はルナとかベルと呼ばれていました。でもルナだと同じになってしまいますね」

ルナベレッタはこまり笑いをしながらそう言った。


「では、ベルさん。そうお呼びしても?」


「勿論!ルナ君♪」


二人はどことなくフィーリングが合うようだ。


ドクン


こんな場所で、友達が出来てしまうなんて…。

幽閉されて久しく、人とまともに会話する機会もなかった。自分がこんな奇跡に恵まれて赦されるのだろうか。

ルナベレッタは嬉しさの反面そういったことも考えてしまう質だった。


対するルナは、彼女のことが俄然心配になってきた。

「あ、そうだ!さっき買ったパンが余ってるんですが食べますか?」

意図としては(拘束された状態で日々の食事は大丈夫なのか)と問いたかったが、ルナは相手の心情に配慮してその言葉を選択した。

因みにせっかく人の為に買ったパンを一人で食べるのも切ない、というのも少しあった。


「あ…ついさっき頂いたので大丈夫です。」


しゅん…(´・ω・`)


「ごめんなさい。食事はいつも、ランスという方が届けて下さるので…心配しないでね。。」

申し訳なさそうにルナベレッタは答えた。


ドクン


「ランス?!銀髪のランス様ですか?!」

ルナは驚いた声で訊ねた。


「え、ええ。そうです。まさか…お知り合い??」


「はい!まさかランス様が関わっているなんて…」


どういうことだろう。

真神教会に罰せられたルナベレッタを秘密裏に救い出そうとでもしているのだろうか。

ランスならあり得るかも…。


ルナは言った。

「ベルさん!今すぐランス様の所に行こう!」


ルナベレッタは

「へ?」

と呆気にとられたが、ルナは構わずすぐさま近くの燭台と瓦礫を手に取った。

そしてルナベレッタを繋ぐ鎖の一輪に燭台の脚をあてがい、杭を打つように石で打ちつけ始めた。


「っ…こりゃっ…時間がっ…かかりっ…そうだっ!」


ルナベレッタはびっくりして止めようとする。

「ま、待って!そんなことして、大丈夫?」


「大丈夫っ!…貴女はっ…何もっ…悪いことっ…してなぃっ!」


「私じゃなくて貴方がよ!

真神教会が罪人と認めた私を勝手に逃したら、貴方も罪人になってしまうかもしれないのよ?」


ルナは少し手を休め、息を整えながら言った。

「ふー…やっぱりベルさんは優しい人ですね。

そんな貴女がこんな所で自由を奪われてるなんておかしい。

ランス様も、そう思ってる…はずですっ!」

ガキンと再び燭台を打ち付けだすルナ。


優しく、そして強情な人。もし捕まってもルナが罪を負わないように努力しよう。

ルナベレッタはすぐにルナを諦めさせることを諦めた。


それよりも、ルナにしてあげられることは無いかと考え、こう問いかけた。

「ルナ君。何か罪の意識を感じる思い出はありませんか?

私、懺悔室担当だったので是非。。」


そう訊かれてルナは自分の行いを振り返ると…

あった!!ヤバいのがあった!

シャハネさんを邪な眼で見てしまった件が!

ルナは言えずに顔を真っ赤にして震えだした。

…神聖な儀式に劣情を懐き、あまつさえそのせいで自分のシンが得られなかったとあっては…あぁ…!

考えているうちにルナはまた恥ずかしくて情けなくて堪らない気持ちになった。


ドクン


直後、ルナは胸が軽くなるのを感じた。

何だこの感覚…。

羞恥と後悔と懺悔、フラッシュバックの波がいつもならどんどん押し寄せて、しまいには溢れて表情や声や行動に漏れ出てくるのに…

その心の中の水を誰かが吸い出してくれているような…。


ドクン


「「…コセ…」」


堂内にルナともルナベレッタとも違う鈍い声が響いた。くぐもってよく聞こえないその声は


ドクン


ルナの心が軽くなると共に徐々に鮮明になっていき


「「…ヨコセ…!」」


居場所を探るが見つけられない。


異様な存在感に背筋が震え、ルナが叫んだ

「何者だ!!」


直後、ルナベレッタを頭痛が襲う。

「この…声は…!」


「「モット…罪ヲ寄越セェェェェッ!!!!」」


to be continued


人間いついかなる時も相手の為を思って動きましょう。

でもよい子のみんなは拘置された子勝手に逃がしちゃダメですよ★


ちなみに、真神教会本体はかなり寛容な縁の下の力持ち組織なのですが、その名を盾にイキ過ぎた正義を振るう一派もあるようです。。一枚岩も怖いですが、あたって砕けて尖って突き刺さる破片もまた怖いのです。

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