表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【処女作完結】Mobius Cross_メビウスクロス  作者: 阿暦史
【第五章】Armageddon
66/66

Mobius Cross_メビウスクロス55.5:God by

  ✝お前のクロスで貫け✝


Mobius Cross_メビウスクロス55.5:God by



 「おらッ!腰が入ってねえぞ!」


甘い打ち合いは赦さない。


「おらッ!踏み込み甘えぞ!」


甘い攻撃など入らない。


「やる気あんのかッ!?」


挙げ句翼を出して空を翔ける。


__ヴァヂヂヂンッ!!!


「なんだ!その新技は見掛け倒しか!?」


デュアルクロスでも、聖鎗アディメンドクロスには通らない。



「そんなもんで勝てるなら苦労しねえぞ!


頭使え!

周り見ろ!

肩の力抜け!

背中で伝えろ!

打ち込む瞬間指を締めろ!

腰入れろ!

丹田で息しろ!

足動かせ!

膝を巻け!

小指で地面掴め!」



…ありがたい…!


…有り難くて有り難くて、有り難くて仕方がない…!


…いつもいつもいつも、あなたは修業でそう教えてくれてた…


…突慳貪な言い方の中に愛がある…。

…本気の攻撃の裏に愛がある…!


…こんな僕の為に…!


…ただの小さな子供だったこの僕を…!


…今の僕ならわかる…。


…有り難い…貴方は有り難い…。


…だって貴方は…その力は…

―…人…―!



貴方を見た日から欠かす事はなかった鍛錬

貴方がつけてくれた 稽古の日々

貴方が教えてくれた 技

貴方がくれた試練

貴方の想い

僕の(いし)

全てが叫んでる!



 弟子(おまえ)に超えれぬ筈はないと…!



ギャルルルルルル…!


 鎖をランスの聖鎗に巻き付け、さらに伸縮で変則的に間合いを詰めて聖鎗の一撃を躱しざまにランスの手を蹴る!

ルナのメビウスの鎖が、聖鎗を巻き取って奪う!


  …よし。ちゃんと身のこなし巧くなってるな。



ザザクッッ!!


ルナのクロスが、ランスの両掌を貫き、十字の丸太に磔にする!


  …いいぞ。相変わらずよく見えてる。


鎖を緊め、勢いをつけて、聖鎗を構え、ランスに向けて…!


…その力でよくぞここまで…!!

…その強さでよくぞ世界を…!!

…有り難う…!

……ありがとう……!


「師匠ーーーーーーーーーーッッ!!」






ランスは呟いた…

「…ありがとよ…」






ビタッ…!!





 その聖鎗は、ランスの胸を穿く寸前で止められていた。



「…これで僕は…貴方より、強い…

貴方なんて…いつでも、倒せる…!

だから安心して、一緒に探しましょう!!

貴方を救い、ベルさんを救い、世界を救うその方法を…!!

…もう大丈夫…

僕が全員助ける…!!!」




ランスは一瞬驚いた顔を見せると、フッと顔を綻ばせた…


  …あいかわらず…

「…臭えこと言ってんじゃねーよ……」






グッ…


トス……ン



「…へ…?

…あ…ああ…

…ぁぁああアア……ッッ!!!」



 ランスは、クロスに貫かれた手で聖鎗を握ると…自らの胸を穿いた。


崩れ落ちるランスの体を、聖鎗も鎖も手放して抱きかかえるルナ。

「なんで!!どうして!!」


「…お前が悪いわけじゃねえから安心しな…

これで良いんだ…

ダメな俺の代わりに…」



 陰から見守っていたシャハネさんも泣いて駆け寄る。

「ッランス様…!」


「よおシャハネさん…よかった顔見れて…。

コイツすげえぜ…

マジで後天的に救世主超えやがった…

これからも支えてやってくれ…」


「貴方はダメじゃありません…っ!

ベルさんを…最愛の人を救いたいと思ってしまうことの…何がダメなんですかぁ…っ!」


「…俺のダメさは俺が一番わかるよ…

どうせいつか土に還るなら…間違いおかす前が良い…。」



ルナは譴責した。

「バカだ貴方は…!!

…貴方が…こんな不幸なシに方していいわけないだろ…ッッ!!!」


「バカかお前…

他人の人生がどうかなんてお前が決めてんじゃねぇよ…

てか…俺の人生が…どんだけHappyか…お前なら…わかれよ…

…水臭えじゃねえか…」



 ランスの呼吸が早く浅くなっていく…


「…っ…お別れみてぇだ…っ

お前ら…愛してる…っ

忘れねえで…くれ…エ、エデンに…っ」



 ルナは叫んだ。

「忘れない…ッ!忘れるもんか…ッ!

語り継ぎます…ッ!貴方のこと…!!」



ランスは吹き出すように嗤った。

「やめ…って…くれ…っ (笑)こん…な…」


  …みっともない男のことを…

  …お前ら…愛する人の中だけがいい…

  飯食って寝て、人を救えよ…?

  あんま無理すんなよ…?

  幸せに生きろよ…


そう語る生力は、彼の瞳孔の光と共に消えていった…



「ランス様っ…!!」

「師匠"ッ…!!

ッありがとうございます…ッ!今まで…ッ!」


「…おぅ…」


「ま、まだ…教えて欲しいことがッ…山ほどあるのに…ッ!」



「……おぅ…」



「恩返しも…でぎでないのに…!」




「………っ…。」




「あ"、愛しています…ッ!!」


「…………ぉ…!」






「……いかないで…ぇ…」





「……………」







✝∞✝


こうして救世主は眠りにつきました。

彼が愛した女性(ひと)、そして彼に敗れた災厄の石像と共に。

時代が流れると、この像が持つ意味も様々となりました。「災の具象化たる竜を聖人が献身をもって鎮める様を表現した作品」とする通説や、「聖骸である」、果ては「御存命である」とする異説諸々…。

メシアについては…_もはや語ることもないでしょう。

物語とは、語らずとも終わらぬ物。

神が紡いだ物語を人は神話と呼び、今に遺しているように、人が紡いだ物語は何と呼びましょう?

想い、描き、奏で、知り、背け…

生まれた者達、生きる者達、やがて生まれる者達が“今”を創り続ける限り、物語はつづくのですから。


good bye

あざっっしたっ!!!


「グッドバイの語源はゴッドバイなんだよ」って昔先生が言ってた。

神があなたと共におられますように…


好評価くれたお方々…有難き幸せでしたm(_ _)m

では!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ