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【処女作完結】Mobius Cross_メビウスクロス  作者: 阿暦史
【第五章】Armageddon
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Mobius Cross_メビウスクロス54.5:最後の戦い

Mobius Cross_メビウスクロス54.5:最後の戦い



 ルナベレッタの古巣、魔神教会。

塀も扉も破られ、血痕の道が中へと伸びる…。


 ランスとルナベレッタが踏み入ると、礼拝堂の奥…かつてルナベレッタが繋がれていた巨大な十字架の前にヤツは居た…

災厄の皇·アルムゲイン

足は無く、その腹は大きく抉れている…!二人の救世主が遺した傷痕…


 ランスは聖鎗アディメンドクロスを床に打ち鳴らして言った。

「腹壊してるとこ悪いな災厄皇!此処を墓場に選ぶたあ上出来だッ!」



『ハア…ハア…クハハ…

此方は誕生日だぞ?祝ってくれ最後の救世主。

貴様さえ消せば…さらに めでたい日になる…!』


__ドクン!


「「残念だがその誕生日がテメエの命日だッ!!」」

ギルトが翼から鎖の爪を伸ばす!



 アルムゲインが 腕 をブンと薙ぐと、ギルトの巨大鎖は いとも簡単に千切られてしまった。


「「ムッ…!」」


『フハハ…!良い相方だが、此のパワーの前には通じんぞ!

ガリアを食らったのだからな…!』


 ランスはピクリと反応するが、鎗を構えたままアルムゲインを見据えている。


『…どうした救世主?ショックで返す言葉も無いか?

ガリアは食らった!

その力を我に明け渡すことが力の救世主最後の仕事となったわけだ…!

なんなんだ??奴は!なあランス?教えてくれ!

力ばかりで思慮に欠ける…

挙げ句、敵に力を与えて散る…

そんな愚鈍を抱えて辛かったろう?

もう貴様も楽になっていいぞ…?』



 ルナベレッタは爪が食い込むほど拳を握りしめた…!

「ッ!アナタに何がわかるの…!!!」

「「ルナベレッタ」」

「ルナベレッタ。

…いい。ありがとよ。


なあアルムゲイン…誹謗できて満足か。

ガリアが何者かも知らないくせに、滑稽だぜ。」



…流石に易易と挑発には乗らない…

『クハハ…!神の腕力を宿した救世主…それ以外に何がある?』

…思い入れでも語ってみろ。全てを卑下してやる…。






「…そんな大したもんじゃないとしたら…どうだ?」



『?…何…?』



 ランスは鎗を片脇に抱え、前方に手を翳す構えを取っている。

翳した手は人差し指のみを立てている。

その人差し指を追うように今…中指をスッと立てた…。

それは、2本指を立てるポーズ。




「…与恵解除…」

ランスがそう呟くと…




 アルムゲインの体がみるみる窶れていく…!

いや正確には、元の体格に戻っていくのだ…ガリアを食らう前の状態まで…!


『!?これは…!!どうしたことだ!!?』


「残念だったな災厄皇。

お前が食ったのは、神でも救世主でもなかったってこった…」


『ば、馬鹿なッ!あれは…紛れもなく…!

ではなんだ!?貴様一体、何をした!!』




「…ありゃあ…


 ただの土 !


土から作った塑像に、与恵のシン使っただけの偶像さ…。」




 『!なッ…!!!

土から、人間を創造したというのか…!?』

…それではまるで…_神_!?




…とでも思ってんだろ…

  「へ…その通り…」 …違ぇよ莫迦(バァカ)…んな即席で作れるかよ…

  「ガリアも、」 …どんだけ懸かったか…

  「スクードも、」 …どんだけ救われたか…!

  「シンで作った偽りの命…、」 …あいつらがどんだけ人のこと想って動いてたか…!!

  「解除すりゃあその通りよ…」 …俺がどんだけ…最低(あいつらを愛してた)か…

  「テメエは、ただの土くれ食って、パワーアップしたつもりでその土くれを馬鹿にしてたのさ。だから滑稽って言ったんだ。ただの…土くれ相手によお…」


……テメエなんかにわかるか……





ズキンッ…


 ルナベレッタの心に痛みが走った…

見ると、ランスの頬を涙が一筋だけ滑り落ちる。


…いったいどれほどの悼みを負いながらこの言葉を発しているのだろう…

…心配で心配で心配で仕方がない…

大丈夫?壊れてしまわない?

…相変わらずこの人の心からは罪の意識は感じ取れないけれど…

ギルト様すら見出せないあなたの心……私の想い過ぎかもしれない。

わかったつもりでごめんなさい…ひとりよがりでごめんなさい…

でももし、私が感じるあなたの悼みが真実なら…

大丈夫だからって一人で無理しないで…?

できるからって一人で背負わないで…?

もう……それ以上 強がらないで…

ほんの少しでも背負わせて…。



「…グッ…!」

ランスはガクリと膝をついた…!


「!?…ランスさん…!」


 与恵のシンは、他のシンより消耗が大きい傾向にある。ましてランスのそれは人の身に余る神業。それを幾年も行使し続けたため、解除した際の反動は想像を絶するものだった。



 …悪の皇はそれを見逃さない!

腕で地を蹴り、身を捩りながら襲いかかる…!






ギャララララララッ!!!


 ギルトの鎖がアルムゲインの腕を縛った!


『!?

こんな物で止めようなど…!』




「「違う。さっさと来い…」」




グワッと鎖を引き、アルムゲインを引き寄せるギルト!



「「ツラ ヲ カセ…!」」



ゴバッキャアアァーッ!!



 魔神化したルナベレッタの左拳がアルムゲインの鼻柱を砕いた!

『ブグワアアア…ッ!!!』


 血を撒き散らし宙を舞う竜の巨体!

それを、羽と鎖を逆張り引き寄せると同時に自身も飛び上がる!

アルムゲインは大口を開け迎え打とうとするが、巨大な鎖を上顎に巻きつけ、もう一発殴る!


『…な、なん…この力は…ッ!!』

アルムゲインは尾を振るうも鎖が何本も絡み縛りあげ、自由を奪われる…!

…いくらなんでも強過ぎる…なんだこれは?!ガリアの力を失い、疵を負っていたとしても、あの程度の異形に負ける筈が…!



 アルムゲインを殴り飛ばしながらギルトは言う。

「「魔皇。テメエは罪を犯した。ルナベレッタをコケにしたことだ。」」



『そ、それが何だと…ッ!』

第一 その女のことは触れてない…!



「「わからんなら滅びろ。テメエのような奴は。」」



『…フ、ハハハ…!読めたぞ!

貴様、悪魔だな?

その女の負の感情を搾取している…!』



ギルトは手を止め、アルムゲインを縛り上げて言った。

「「着眼点が哀れだな。」」



『悪魔が人など救ってどうする気だ…?』


「「狭量だぞ魔皇。悪魔が人を救ってはいけないのか?」」


アルムゲインの竜のような目と口はニタリと笑った気がした。


 ルナベレッタが耐えかねて入る。

「ギルト様……これ以上苦しめるのも哀れです…」


「「お前結構気合い込めて殴ってたじゃあねえか??」」


「!嗚呼ッ…すみません!つ、罪深い…ッ!」



「「クク…女を害し、女に砕かれる哀れな魔皇よ…」」


「…人を嘲り、貶める大罪の皇よ…」


「「脚をもがれた愚劣な悪魔よ」」


「…人の子を辱める悪の子よ…」


「「…魔物の屑よ」」

「罪よ」


「「…」」

「人の子と…!」

「「魔神の力で…!」」

「その魂に…」



「「滅砕を!」」「滅罪を!」



to be continued


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