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【処女作完結】Mobius Cross_メビウスクロス  作者: 阿暦史
【第四章】蛇と女と救世主
59/66

Mobius Cross_メビウスクロス52.666:    子

Mobius Cross_メビウスクロス52.666:

災厄の子







 魔物の母エティダナが懐妊を告げて数週間後、真夜中の蛇術館。


「マザー食欲戻ったね〜。お腹もパンパン。

…まだ産まないの?」

ヒュオラは古い食器を下げながら、そうマザー·エティダナに訊いた。


【焦らないのォ〜♪こういうのは呼吸が大事なのよォ〜??

赤ちゃんと私の、初めての共同作業なんだからァ〜♪】


「…産卵ってそうゆうもの…??」


【さあねェ〜??わかんな〜い♡】


…今まで何匹も産んできてる筈なのに…まったく…

 ヒュオラは呆れて母の間をあとにした。







【ウフフ…赤ちゃんは本当に食いしん坊ねェ〜…??

あなたは、どんな災厄に育つのかしら…?】







 『災厄の子』







 母の間に謎の声が響いた。

エティダナは驚いて辺りを見渡すが、誰も居ない。


『…生まれてから災厄になるのではない…

生まれる時には…いや…

生まれる遙か前から…我は災厄の子。

きっとずっと探していたんだ…

宿してくれたことに感謝するよ…お袋様…。』


エティダナは震えた。

その声は、自身の腹を震わせて伝わってくるのだ。


【まさか…赤ちゃん…??

お腹の中で…卵の中で…喋ってるの…??】


『卵の殻などとうに喰い尽くした…。もっと欲しいんだ。もっと…』


【あらまあ〜♡待っててね食いしん坊ちゃん??私がんばるわァ〜♪】



『…感謝するお袋様。もっと…もっと…


 もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、【え…?】もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、…』

【え…え…?】

『もっと貰う。お袋様…

お前の全てを。』


【ハッ…ハア…ッ!!】

吸い取られる…!?腹の中から

血が、肉が、

命が吸い取られてゆく…!


『フハハ…悪く思うな。お袋様。』


 背の羽根はみるみる枯れ萎み、末端から痩せていくエティダナ。

【ハァッ…ハァッ…

フフフ…♪アハハハァッ…!!

いいわ!!最ッ悪ッ…!!悪い子…!悪い子ねェッ…!!

私の…赤…ひゃん…っ…♡っ…】

舌も首も窶れ、骨と皮だけになり、痙攣しながら腹だけが膨れ蠕き…


『その赤ちゃんというのだけやめてくれ…此の名は…』


 次第に骨も溶け、母の躯は一つ残らず子の臍の緒に呑まれて消えた…。

太陽も月も最も遠く、星の光も雲で遮られたこの地この刻…ソレは生まれる。







 『災厄の子 アルムゲイン』







      [第五章:Armageddon]







 暗闇に光る眼。生まれたてのソレは…4本足の蛇のような生命体だった。


to be continued


ここまでお読み頂き、有難うございます。


災厄の子の名前はAから始まるのを子自身が名付けました。


神の子の名前はJから始まるのにしようとした所をイレギュラーでLから始まるのになって、聖母が名付けました。

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