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【処女作完結】Mobius Cross_メビウスクロス  作者: 阿暦史
【第四章】蛇と女と救世主
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『Mobius Cross_メビウスクロス47:許すまじ』

敵を助けに来たのは敵! 敵の味方は敵!

『Mobius Cross_メビウスクロス47:許すまじ』



 龍の姿となったヒュオラを倒したガリアだったが、そこに現れたのは主ゴルゴーンと新生ヲロチだった。


 ガリアは特にヲロチを警戒しつつじっくりと歩み寄る。


 ゴルゴーンは、徐ろにヒュオラの髪留めを拾い上げ、変わり果てた龍ヒュオラにあてがった。

するとみるみる龍の体は小さくなっていき、人型に戻った。

ヒュオラを地面に柔しく立たせると、ゴルゴーンはガチャリガチャリと前に出てきた。

蛇髪から炎を滾らせるヲロチの横を過ぎ、ガリアに聞こえるように声を上げる。


「…ヒュオラ!ヲロチ!わかっているな!

…ガリアよ!こんなことになってすまない!

私から一つ、どうか言わせてくれ!」


「言ってみるがいい。」

ガリアもたまにはランスを見習うことにした。

なんと言おうが絶対に許すまじという前提のもとに…。



ゴルゴーンは…シェリーは静かに言った。

「さあメリー。言ってやれ。」




甲冑兜が叫んだ!


 「ッゼッッタイに許さないッ!!!!!


オマエは屠る!オマエだけはッ!!!!!」




 それを聞いたガリアは、瞬時に距離を詰め、拳を振りかぶる。




ズヴォンッ…!


「…?!」


 突如甲冑の腕が蛇化し、ガリアの手から肘にかけて飲み込むように受け止めた!

衝撃で腕蛇の骨は砕け腹は破けながらも、魔物大蛇の筋力、構造、靭やかさ…それら全てを投げうつことで、神腕を止めたのだ。


「やはり貴様も魔物か…ついに本性を見せたな…!」

ガリアがそう言った瞬間、

 甲冑の体が上下真っ二つになり、上半身がひとりでに跳ね飛んだ!

反撃しようとしていたガリアもこれには混乱を禁じ得なかった。

 その隙に、下からガブガブガブガブガブガブッポキ…とガリアの足に何かが咬みついた。見るとそれは鎧の下半身から伸びる無数の蛇。

 その隙に、今度は魔物が正面で振りかぶる!ガリアにとっては初見の存在!

大蛇の双腕、その名はエリー!


「ぶち飛べぇッ!!」

エリー渾身のアナコンダラリアット!!

ガリアの腕のガードの上から叩きつけると、ボキボキブチブチと蛇腕の肉と骨を犠牲にしながらガリアを後方にぶっ飛ばした…!



 好機ッ!ヲロチはヒュオラにもたれかかった!


「合わせなヒュオラッ!」

ヲロチの髪の八蛇が円形に構え口を開く!キイィンと朱く輝く砲門!


「!うんッ!」

さらにその周りをヒュオラの髪の九蛇が取り囲み口を開く!ギュオォと碧く輝く砲門!



「消し爆ぜろ…!!」

「…ヴイパー…!

「バーン…!!

「 「ブラスタアアアアアアアアアー!!!!!!!!」 」



 ヒュオラの放つ毒液を、新生ヲロチの超高温火炎毒で爆発させる複合技。


視界を埋め尽くすその爆炎にガリアは、火山でも噴火したのかと思った。

…これは…この力は…帝都まで届くな…


パァンッ!!とガリアが力強く拳を握る。

はち切れんばかりに隆起するその剛腕。


…何が来ようと…俺にできるのは、この両腕で人類の脅威を打ち砕くことのみ…!


 迫る爆炎に、拳で立ち向かうガリア。

大気ごと押し潰すような一撃は、爆炎を確実に削り取る!

一発で駄目ならもう一発!!

ゆっくりと前進しながら何発も何発も、ヲロチとヒュオラが放った爆炎が消え去るまで!

 その全てを打ち消し終えた時、ガリアは生まれて初めて自身の拳内部に亀裂が走るのを感じた…。

しかし目の前には広がる青空と蛇術館。ガリアは見事爆災を討ち果たしたのだ…


が!


 その究極爆炎すら、真の切り札ではなかった。




「ぶっぱなせぇ!!メリーィッ!!」



ガリアが危機を感じたのは、傷だらけの魔物達の中心に佇む一人の女の殺気に対してだった。


 …しまった…と思いつつ、その瞳と、そこから放たれた眩い光を見て、ガリアはランスの言葉を思い出していた。


_(「行く前に言っとくぞ。

伯爵の目は見るな。ゴルゴーン…多分シャレじゃあねえ…。

特にガリア。お前は詣言の特性から、相手を目で判断しようとするからな。

…てか、いつも言ってるが、そうじゃなくたってお前話す時目え見過ぎなんだよ気いつけろ。

?…誰にでもだよ。

目を見ると本心が言えなくなる奴だっているんだ。目を見て話すことが必ずしも良いことだなんて思うな。目を見るんじゃねえ、相手を見るんだ。」)_


女の瞳は叫んでいた。

…この身、この魂を魔物に堕してでも、オマエを屠る!!!愛する者を傷つけたオマエだけは…



それを最後に、ガリアの意識は途切れた。




 魔物達が目を開けると…

そこにあるのは、石像と化したガリアだった。


それを確認したあと、みんなゆっくり互いの顔を見合わせる。。

「っしゃーーーーーァ♪!♪♪♪」

エリーとシェリーが狂喜乱舞する。

ハイタッチしようとしたらエリーは腕が折れていてイテテ…ってなってた。

ヲロチはグータッチしようとヒュオラに拳をつき出したら、思いっきり抱きつかれた。

ヒュオラはすぐにへたりこんでいるメリーの所へも駆け寄る。

しかし、いつものように抱きつくことはせず、神妙に正面に両膝をついて座った。

「…メリー様…私……」


「ふゥ…勝手に制御冠外して…私に蛇眼光まで使わせて悪い子ね…。あんたの躰は私のモノなんだから大事にしなさいよ〜…?」


「うあぁ…あ…っ…ごめんなさいっ…私…アイツに壊されたのがガマンできなくて…メリー様がしてくれた形…」


「…バカねぇ…。謝っても…死んじゃったら許せないじゃない…。

あ〜疲れた…♪蛇眼光(こんな忌わしい術)なんて二度と使わせないでね?」

メリーはそう言ってヒュオラを抱きしめた。

ヒュオラは肩を震わせて泣いているようだ…。


「…!っあっつッ!!!ヒュオラ!溶けてる!服溶けてる…っ!!」

「ふぇ…?!

ふぁわわっ…!すいません!」


涙は溶解毒の制御が利かないようだ…。


「…ン何百年一緒に居て初めての事実ッ!!?」


 ドタバタしてる二人に、ヲロチとシェリーと、腕を支えてもらいながらエリーが寄ってきた。

「おぉいバカやってねぇで祝杯あげようぜぇ?♪?」

「おぉ!よいな!1番高いワインを開けよう!ヲロチとヒュオラもよくやった!お前たちも呑むであろう?♪」

「いいの?蟒蛇よ?♪」「え?;あの…」

「え〜…私もう目ぇ凝っちゃったわ〜寝た〜い。」


そう言って館に入っていこうとする皆をヒュオラが呼び止めた。

「あ、ちょっと待ってください;

あの像どうするんですか?

置きっぱなしじゃまずいのでは…」


エリーが返す。

「はあぁ??あんなクソ重そうなもんほっとこぉぜぇ〜?宴だ宴」


シェリーも言う。

「そんな事より宴だ うた…おほんッ!

エリーの手もこんな有様だしな…。小間使い達とヒュオラに任せるしかあるまい。」


ヒュオラは困り呟く。

「えぇ…;

うーん…私…動かせるかな…触りたくないな…」


スクードが言う。

「だいじょぶさお嬢さん達?俺に任せときなぁ。」




!!!!!



 いつの間にか現れた救世主スクード!

ガリアの像に触れながらそこに立っていた…!

「…。ふぅ…駄目かぁ。

こんなデカイの置き場所に困るだろうし貰っとくぜ〜?」

そう言って2メートルはあるガリアの像を片手で肩に軽々と担いで背を向けた…。


 蛇術組は震撼する…

…コイツもヤるか…!?今ここで…!

戦力は…

エリーは除外…消耗したヒュオラ、ヲロチ、蛇の牙が折れたシェリー、メリーの蛇眼光はまだ撃てるか…?

全員が冷や汗をかきながら、ヲロチの髪蛇が再び起動する…


 すると、カッッとスクードの腕が輝き、大盾が出現。

そして背中越しに言う。

「……やめてくれよぉ…。

俺ぁ女の子と喧嘩する趣味は無いんだ…。

仕事で女の魔物を討伐することはあるけどね……。」


表情は見えないが、メリーとヲロチはちょっとちびった。


「っまっ!また来るぜぇ〜?♪そんときゃよろしくぅ♪」

最後はいつもの軽薄な口調。スクードは去って行った…。



 暫く固まる蛇術館の魔物達。

最初に口を開いたのは…エリーだった…。


「…宴しよ…?」

ばばばば…と他メンバーがエリーの顔を見る。

そして皆でゆっくりと首を戻し、皆で遠ぉくを見た。。


「…酒…全部開けようか…」

「…楽しみね…」

「…眠いわ…」

「…メリー様ご一緒します…」

「…勿論…ヲロチも来る…?」

「…絶対嫌…」

「チッ!」


 魔物達は現実逃避した。

ちなみに宴で一番早く酔い潰れたのはヲロチだった。


to be continued


あまつさえ勝ってしまう敵。満足〜。ヴイパーはヴァイパーとヴェイパーをかけた言葉です。テキトーです。

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