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【処女作完結】Mobius Cross_メビウスクロス  作者: 阿暦史
【第四章】蛇と女と救世主
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『Mobius Cross_メビウスクロス46:出逢ってはならない』

短髪ヲロチは蛇術館のお姉さん達にだいぶわからされました。だいぶ反省しました。


☆登場人物 (この回に出ないのもいます)

·ランス:主人公の救世主。銀髪のイケメンちょっとツン。

·ガリア:拳の救世主。巨漢でクールな力持ち。ちょいコワ男前。比較的短気。

·スクード:盾の救世主。長身軽口兄貴。女性に甘いハンサム。

·シャハネさん:美人のお姉さん。一緒にお風呂に入ってくれる(洗礼)。


·シェリー:蛇術館当主魔蛇三姉妹が長女。下半身が無数の蛇。頭脳主義。

·エリー:次女。両腕が大蛇。腕力主義。

·メリー:三女。顔が蛇の奇才彫刻家。美女趣味。三姉妹合体变化で鎧の巨漢ゴルゴーン彫伯爵の完成。

·ヒュオラ:蛇術館の侍女長。メガツインテールで毒を吐く妖女。マザーに呑まれて…?

·ヲロチ:蛇術館に召喚された東方の魔物(?)ヤマタテールで火を吐く妖女。ついに懲りた?

·エティダナ:蛇術館準最高機密、通称マザー。太古より魔物を産みまくる歴戦の母。


『Mobius Cross_メビウスクロス46:出逢ってはならない』



 蛇術館のトンガリ屋根の中。

ヲロチは度々母の間へ顔を出す。

マザー·エティダナともすっかり打ち解け、色々なことを話すようになっていた。

マザーの子供達の逸話や、好きな異性のタイプ、マザーの恋愛遍歴など色々だ。

マザーの話はどれもぶっ飛んでいて面白い。

それと、ヲロチにはある目的があった…。


「ねえマザー。

貴女の臍ノ尾ってさ、貴女の子共しか産みなおせないの?」


【ううん〜??…その気になれば誰でもォ〜??】


「ふーん…。じゃあさ、

我は、貴女をその気にさせられるかしら?」


【えぇ〜??相変わらず挑発的な子…♡

初めて見た時から貴女のことォ…産みたァい♡って思ってたわァ〜??】


「OKマザー。我を、ヒュオラを超えるくらい…

救世主を超えるくらい強くしてちょうだい…!」



 暫くして、ヒュオラが母の間にやって来た。

「…マザ〜。ヲロチ知らない〜?

わ。卵。」


【ソレ、ヲロチね♪救世主より強くなりたいんですってェ〜♡応援したげてェ〜??】


「うん。わかった。…ヲロチ、懲りないね〜。」

卵を撫でて話しかけるヒュオラ。


【諦めない子好きよォ〜??人類に負けるなァ〜♪】


「…ヲロチが羨ましい。」


【あらあらァ〜心配しないでェ〜??ちゃ〜んとヒュオラも好きよォ〜??】


「でも私、ここまで自分のためにがんばれない…。」


【?…ウッフッフ♡

世の中には〜、

自分のためにしか頑張れないヲロチちゃんもいればァ〜、

誰かのためにしか頑張れないヒュオラちゃんもいるわァ〜??

…大抵、ヒュオラちゃんはヲロチちゃんを羨むしィ〜、ヲロチちゃんがヒュオラちゃんを羨むことはないんだけどォ〜…

実はヒュオラちゃんの方が、いい味出すのよねェ〜。】


「…食べた時の話…?」


【ううん〜??生き様が醸す味の話♡

メリー達を見ればわかるわァ〜??あなたを必要とする者は、きっ…と多い。ヒュオラは、ヒュオラのままの方がいいのよォ〜??】


ヒュオラはメリー達の顔を思い浮かべた…

「…なんだかわかった気がする。マザーありがと。

…ヲロチ、早く生まれてきてね。私、がんばるからね。」


ヲロチの卵に別れを告げ、ヒュオラは母の間をあとにした。



 仕事場に戻ると、使用人達が騒然としている…?

ヒュオラは訊ねた。

「何かあった?」


案内嬢の一人が答える。

「あ!侍女長!大変っす!!

…男前っ!?男前が来たっす!」


「…誰…?」


「あの!前来た三人組!

イケメンと、ハンサムと、一緒に来たマッチョっすよ!扉壊した人!!!」


…救世主…!!


ヒュオラは一気に緊張感を高め言った。

「…わかった私が対応する!

あなた、シェリー様たちにゆってきて…!」


 玄関の扉を開け外に出ると、そこには拳の救世主ガリアが一人、ぶっとい腕を組んでおっ立っていた。


…会いたくなかった。印象としてはコイツが1番…!


「…お待たせしましたガリア様。本日はどんなご用件で…?」


「決まっているだろう。御用改めだ。

館の中を詳しく調べさせてもらう。」


 …本来なら、応接間に通し主の指示を仰ぐというのが、来客時のマニュアルだ。(作:ヒュオラ)

しかし…

「…お断りします。

不戦の証は立てた筈ですが、覚えてられなかったんですね?」


…コイツはもう客ではない!

不審者及び襲撃者対応マニュアル…!館中の鍵を閉め、捕獲兼撃退係が目標へ警告、攻撃する。(係:ヒュオラ)


「何を言ってる。髪が伸びているようだな化け物。貴様こそ不戦の証は何処に忘れてきた。」


「女の髪が伸びることがそんなにこわいですか?」

まずい…止まらない…


「話を逸らすな。調査に入らせてもらう。

勘違いしているようだが、貴様らに拒否権など無いと思った方がいい。

抵抗しなければランスに免じて攻撃はしない。多少の物損は覚悟しろ。」


「今回はドアを壊さずに“まて”ができてえらくなったな〜と思ったらそれですか…。

ならちゃんと飼い主を連れて来ないとだめですよ?一人でちゃんと帰れますか?」



 グオン…

そんな音が聞こえた気がした。

ガリアが腕組みをやめ、ただゆっくり腕をおろしただけなのに。

「ペット相手では話にならんな。退け。」


ザンッ…ザザリッ

 詰め寄るガリア。

身長差から、ガリアはほぼ真下を、ヒュオラはほぼ真上を睨みつけている。

高さを補うように、巨大な蛇のツインテールを逆立てガリアの顔面めがけて威嚇するヒュオラ!


「…最終警告だ。退け。」

「…最終警告です。帰りなさい…!」

…コイツは強い。疑いの余地は無い。

主たちが争いを避けるほどだが、私にはその感覚はわからない。

恐怖を感じている暇など無い。

相手が脅威であればあるほど、主を守らねばという意識が私を突き動かす。

それと……そこはかとなくコイツが憎くて毒が止まらない…!



「その醜悪な髪…今度は根本からいくぞ…!!」

 ガリアがヒュオラの髪蛇をズンッ!と掴む



「!ッ私の髪に触れるなァッ!!!」

 豹変するヒュオラ!





 ズルンッとガリアの手から蛇が抜け落ちたかと思うと、ヒュオラは地に手をついて衝撃に備える姿勢をとった!

それは…発射体勢…!


「ハイドラブラスタァーッ!!」


ゴッッバアアア…!!!!


 ヒュオラの超砲水が、ガリアごと天に向けて放たれた!

斜め後ろに遥か押し飛ばされたガリア!ヒュオラも髪蛇から水をジェットのように噴射して空を追う!

ガリアの直上、ヒュオラのツインテールが再び水風船のように膨らむ…!


ゴバッッ…!!

ッバアァンッッッ!!!!!!


 ヒュオラが毒液を吐いた瞬間、ガリアは猫騙しのように両手を打ち鳴らした!

凄まじい空気の爆発に弾かれた毒液は飛散し、小雨のように降り注いだ。

空圧で蛇術館側に弾き飛ばされたヒュオラ、空中でなんとか体勢を立て直す…


が、居ない…!?

落下しながら辺りを見回すが、ガリアの姿が見えない…!

あるのは地面、岩…その向こうの森、そして帝都の街…

 一瞬岩が動いた!ガリアは既に地上に降り、持ち上げながら身を隠していたのだ!


大岩…!



…その更に下の地面!!岩盤まるごと!

ヒュオラが次に見たのは、飛んで来る地面だった…


 このままじゃ、蛇術館が潰れる…!

ヒュオラは、決死の覚悟で全砲門を開く!

ツインテールから枝分かれした九つの蛇。

砕けて散弾する岩盤の、その一片さえも、後ろに通してなるものか!!

周りの破片から、正面の巨岩に収束するように、溶解液の大砲を斉射し続ける!


「ーー…カッ…!!」

いかなヒュオラといえども、一息で放てる水量には限界がある。

ヒュオラの砲水が尽きたのと、飛んできた岩盤が全て溶け去ったのはほぼ同時だった。


その後ろから走り込むガリア…!

ヒュオラはとても躱せる状態ではなかった!


ボンッッ!!!!


ガリアの拳がヒュオラのボディを捉え、鈍い破裂音のあと、ぶち飛ばされたヒュオラは蛇術館の壁にビタンッ!と叩きつけられた!

ずるりと地面に落ちたヒュオラ。

「うぐ……」


生きている。

元々半液状であるヒュオラは、ほぼ全ての衝撃を吸収できるのだ。

…今対峙する例外中の例外を除いては…。


…なんかスースーする…


自身の状態を確認すると…

ヒュオラの腹から下は消し飛んでいた。


「あ…ぁあ…!…うあぁあ…!!」

打ち震えるヒュオラ。


あまりの惨状に感覚が麻痺しているのだろうが、あれは間もなく絶命する。

ガリアは遠目に成り行きを見据えていた。


すると

…ドロ…プチュプチュ…グチ…ミチ…

…ペタン…

と、ヒュオラの断面から液が漏れ出し、それが形を成して、なんと下腹部、足が再生してしまった…!


「ッ!?」

目を疑うガリア…!


一方ヒュオラも、未だ動揺を隠せない…

…あれ…

人間の足の指って何本だっけ…

この長さであってるんだっけ…

くるぶしのでっぱりって外側が上だっけ…逆だっけ…

…私一人じゃ…メリー様の形を再現できない…

…こわされた…

あんな奴に壊された…!

許せない…許せない許せないユルセナイ…!!

「オマエモコワシテヤル…!!!!!!!!!」


 激情したヒュオラ。

カランッカラン

と髪留めを無造作に落とすと、その躰が鈍い光を放ち、髪からボゴンボゴンと膨れ上がっていく…!

蛇術館に影をおとし、大津波のごとき叫び声を上げて姿を現したのは…


圧倒的に巨大な、九つ頭の龍だった…!!


ガリアは拳を握り締める。

「本性を現したか…。…ふっ…そっちの方がやりやすい…!!」



 龍となったヒュオラは再び水の大砲を放つ!

小さかった頃とは規模が違う…!

ガリアが避け、地面に着弾すると広大な穴が空く!

それを惜しげも無く乱射するものだから、周辺の地形は瞬く間に変わっていった。


対してガリアは超人的な疾走、跳躍でそれらを躱し、龍ヒュオラの首の一つを殴りつける!


ヴォンッ!!!


砕け散る首!


するとガリアの左右から凄まじい勢いで首が迫り、ズズンッ!!と挟む!

ゴボォン?と首の根本から毒液の塊が押し寄せ、ガリアの居る口内で出遭う…!


ヴォヴォンッ!!!!


拘束していた2首を破裂させ、ガリアが飛び出す!

しかし、着地も許さず今度は極太の水柱を放射してガリアを吹き飛ばす龍ヒュオラ!

ガリアは水切り石の如く地面に跳ねて転がるが、すぐ体勢を立て直してキッと龍を睨む。

厄介なことに、潰した首は次々と再生していく…!


「…首を一つ一つ相手にしていたのではキリがないか…」

ガリアの闘気が湧き上がる…!

そして龍ヒュオラに向かってまっすぐスタートを切った。

狙いは首の根本、胴体!その一点!

水砲も、水柱も打ち砕き、大木のような首の叩きつけも、クジラの如き丸呑みも叩き潰して進撃を続けるガリア。

それを…


真っ向から受けて立つ龍ヒュオラ…!

首を何度砕かれようと!コイツの破壊が追いつかないほどのスピードで再生させればいい!

コイツを屠るまで…攻撃を止めない!!


 それは、地を割り空を裂く、神と怪物の、ラッシュ対決だった。

幾百のぶつかり合いを歴て、先に劣勢の色を見せたのは…


龍だった。

ほんの少しずつ、破壊が再生を上回っていく。

首のラッシュは9手から8手…8手から7手と、徐々に徐々に追いつかなくなっていく…。

相手は息一つ乱していないというのに…!

首が…6から5、4、3…

1本を残して残りの首が打ち砕かれた時、龍は、ついに攻撃を躱して後ろに跳んだ!

しかしそれは逃げるためではない…!

巨体を一瞬屈曲させて、一気に跳躍!

一直線にガリアに飛び掛かる!

まさに全身全霊を込めた最後の一撃!捨て身突進である!


「これで…最後だ…!!」

ガリアのラッシュをしめる力のこもったブロウ…!!


 龍の口と拳がぶつかり合った須臾、衝撃により、龍の体がよれて縮んでいく…

鼻先から…頭…喉…そして体全体へ…

刹那、龍の頭だった部位は、確かに自身の尾の先端まで圧し潰された…

そして次の瞬間、その巨体はブチブチと崩壊しながらぶち飛ばされた!

地面を跳ねながら、体の欠片を撒き散らしながら蛇術館に向かって横向きに飛んでいく!

そして突っ込む



ドシィイイインッ……!!!



 直前!館の玄関前に立つ何者かがその巨体を受け止めた…!!!

龍の尾と頭は勢い止まらず蛇術館の両端に激突!窓ガラスは全壊、壁は一部崩壊、一面に大ヒビを残すも、館の崩壊は免れた…。


それを成し遂げたのは…


 ゴルゴーン!!!

大甲冑全身を使って、龍ヒュオラの巨体を受け止めたのだ。


ガリアがヒュッッ…!と呼吸し、今度はその黒幕めがけて走り出す!

ここで決める気だ!!


 直後、

ガリアの進行方向地面に八つの火球が突き刺さる…!

…これは…!!

ガリアは過去一度の経験から三呼吸早く後ろに飛んで回避する!

が、そこから放たれたのは過去の火柱ではなかった!

避けたガリアをさらに狙い撃つような収束火炎(レーザー)

ガリアは咄嗟に地面を殴って隆起させそれを防いだ!


 …地面の壁は光って燃え尽き、火の粉となって散っていく…

そこに立ちはだかるのは…


 新生ヲロチ


「約束通り、早く生まれてきてやったわよ。ヒュオラ。」


to be continued


たまには喧嘩上等にいかねばヽ(`Д´)ノ

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