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【処女作完結】Mobius Cross_メビウスクロス  作者: 阿暦史
【第四章】蛇と女と救世主
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『Mobius Cross_メビウスクロス44.44:最悪の主』

蛇術館の機密、マザー·エティダナ。魔物の母である彼女は、なんとヒュオラを尾で呑み込み卵にしまう。そしてなんと孵化して最初に見たものを主と認識するとのこと。姉妹の血み泥の戦いが今始まる。


☆登場人物 (この回に出ないのもいます)

·ランス:主人公の救世主。銀髪のイケメンちょっとツン。

·ガリア:拳の救世主。巨漢でクールな力持ち。ちょいコワ男前。

·スクード:盾の救世主。長身軽口兄貴。女性に甘いハンサム。

·シャハネさん:美人のお姉さん。一緒にお風呂に入ってくれる(洗礼)。


·シェリー:蛇術館当主魔蛇三姉妹が長女。下半身が無数の蛇。頭脳主義。

·エリー:次女。両腕が大蛇。腕力主義。

·メリー:三女。顔が蛇の奇才彫刻家。美女趣味。三姉妹合体变化で鎧の巨漢ゴルゴーン彫伯爵の完成。

·ヒュオラ:蛇術館の侍女長。メガツインテールで毒を吐く妖女。

·ヲロチ:蛇術館に召喚された東方の魔物(?)ヤマタテールで火を吐く妖女。

·エチィダナ:通称マザー。古から魔物を産みまくる歴戦の母。産み終わった子をもう一回産む事すらある。

『Mobius Cross_メビウスクロス44.44:最悪の主』



 蛇術館大広間を覗くと、ヒュオラの卵を狙ってシェリーとエリーが睨み合っていた。


「なぁあシェリー??

わかってんだよてめえが油断させといて横取り狙ってるこたぁ…ケヘヘ…」


「ふ、流石我が妹…!やはり久々にやるしかないようだなぁッ!!」


 エリーは大蛇の双腕を、シェリーは無数の蛇脚を振りかざして対峙する!


「なあエリーよ、一つ教えてやる!

お前は、足を潰された時点で卵を運べなくなってゲームオーバーだ!

対して私は足が無数にある!絶対的に有利なのだ!

降参するなら、ヒュオラ使用権を月に1回はくれてやってもいいぞ…!?」


「御託並べてねーでやってみろよぉ…?

わあしの足に掠る前にてめえの足48本全部オシャカにしてやんぜぇ…??」


 …ヲロチは見た…。

姉妹の醜い争い…!

頭半分出してどん引きしていると、その横をメリーがフラフラと通って行った。

その手には…彫刻刀…!?


震える声でメリーが言った。

「ぉ…お…ぉおねがぁい…お姉ちゃぁん…。ヒュオラを…ゎ渡して…?…私がどれだけヒュオラを愛してるか知ってるでしょ…ぉ?」


ドロヌマだぁ…!! ((((;゜Д゜))))


 しかし現実は無情。

蛇の力を戦闘に活かせる姉二人に対し、蛇顔が醜いだけのメリーが敵うはずもなく、一瞬でボロ雑巾にされ、眠りについた…。


 流石に哀れに思ったか、ヲロチはメリーを寝室に運んであげた。

見るに堪えない姉妹争いは放っておいて、他の使用人共に、「大広間へは行かないように」と注意喚起して自身も眠りについた。



 次の日の朝。

姉妹はまだ、目バッキバキで牽制しあっていた…。

なんと浅ましく、醜く、哀れ、…それらを通り越して、愚かなのだろう…。

互いに疲労困憊。

互いに隙をつかれぬよう一定の距離を保ち、

互いに眠ってしまえと念じながら、

互いに、卵にヒビが入るその瞬間に残る力を爆発させて相手を抑え込もうと企む膠着状態…



 その状況を崩したのは、最悪の再来者だった…!


「きッ?!…き、き…、きゅ…ッ…救世主!!救世主が来たわ!主達!対応できる?!」

ヲロチが駆け込んで来た!


血相を変えるエリーとシェリー。

「あぁん?!!んだとこんな時にーッ!!」

「!不味い不味い…!!

昨日の今日でこの状況を見られるのは流石に不味いぞ…!?メリーはどこだ?!」

「寝室よ!」

「よし!ヲロチ!来い!」


 シェリーとエリーは寝ぼけるメリーを頭に載せ、ゴルゴーンの姿で玄関へ駆けて行った!



…それを、


大広間の前でしれっと見送るヲロチ…。


 満面の邪笑ッ!



「…ふふん♪…本当に愚鈍…。

そもそも、自然孵化を待ってる時点で甘ちゃんなのよ…」


ゴヂッ!

バッキャワッ…!

卵に鈍器で亀裂を入れ、素手で破り開く。

中のヒュオラは既に目覚めていた。

光に窄まるその瞳孔に、オロチの顔が映る…。



 ほどなくして血相を変えた三姉妹が大広間に戻ってきた。

「ッ謀ったなヲロチッッ!!」


 そこには、ヒュオラを侍らせながら、舌をねろねろして三姉妹を挑発するヲロチが居た。


「ヲロチ様ァん…♡ナデナデ…」

ヒュオラベタ甘えだ…!

髪はまた伸びているが姿形は変わっていないように見える。


 ヨロヨロとヒュオラに近づくメリー。

「あ…あ…ヒュオラ…?

私よ…?メリーよ…?わかる…??」


「…メリー…さん…?」

ビー玉の様なヒュオラの目…。


メリーが触れようとすると…


「ヒュオラ。そいつ変態だから触らない方がいいわよ。」

ヲロチの言うことを聞き、触られる前に たじたじとさがるヒュオラ。

…メリーは目の前が真っ暗になった。


 改めてヲロチは、三姉妹に向かって高らかに言い放つ。

「さ〜てこれで?

我に逆らえる奴は此処には居なくなったわね?

これで我の髪蛇が元に戻れば…さらに盤石…!!

キャハハッ♪あんた達も一応主だから、我の役に立つ内は頑張らせてあげる♪

さ、行くわよヒュオラ?

我のために我の仕事をしなさい…♪」


「はいよろこんで」

 ヒュオラはメリー達を一瞥しヲロチの後をついていった。


「クヘヘ…アイツやるなぁ?

シェリーも真っ青の鬼畜生じゃねぇかぁ」


「チッ…

最悪の主だ。。」


to be continued


そんな悪い子に甘えて大丈夫なのかヒュオラ

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