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【処女作完結】Mobius Cross_メビウスクロス  作者: 阿暦史
【第三章】砂漠と骸と魂の都
43/66

『Mobius Cross_メビウスクロス38:凱旋』

スピニクスを倒し、ミイラの親玉の存在が明らかに…!そして襲い来るミイラの大軍…!ルナ達は無事に帰ることができるのか!大乱戦を見逃すな!(嘘予告)


☆登場人物 (この回に出ないのもいます)

·エピファネス:甦りし古代文明の骸王。絶対に不滅。

·ルナ:主人公の少年。かわいいだけじゃない!!

·マナ:車輪靴を履いて舞う様に闘う異国人。ずっと元気!

·マホ:双剣で舞う様に闘う異国人。普段は、ぽや〜んだが!

·ルナベレッタ:通称ベル。囚われてたシスター。自分を責め過ぎる癖がある。

·魔神ギルト:ルナベレッタの一部に宿り、罪を喰って力を増す鎖翼の異形。

·シャレス:マナとマホを迎えに来た異国人。世話係兼…

『Mobius Cross_メビウスクロス38:凱旋』



 ルナ達が遺跡を飛び出すと、目の前に広がる光景は想像していたものとは違った。


暮にしては明るいと思ったら、辺りには所々炎が上がっていた。

ミイラの姿は無い。

そして正面には…


「おお…!王女!王子!ルナ殿!ベル殿!ご無事でしたか!」

シャレス!さらにその後ろには…

「皆のものーッ!王子達が無事戻られたぞーッ!!」


「「「「「ぅおおおおおおおおおーッ!!!!!」」」」」

 イウヌポリス国軍がズラリ歓声を上げていた!!


「シャレス!…皆助けに来てくれたのー!?」


「はい!突然ミイラどもが引き上げてここに集結しだしまして…

我々はそれを追い、今しがたやっつけ終わった所で御座います!」


驚きを隠せないルナ。

「た、隊長ミイラもですか…?!」


「はい!手練もおりましたが、私含め帰還した近衛兵団にてちょちょいで御座いますよ♪」

不意打ち多めだったのは内緒だ。


「ヘハ…強いんだ…!」


鳩が豆を投げつけられたような顔のルナに、マナは自慢げに言った。

「そりゃそうよ!シャレス、妾たちの師匠だもん♪」


 っ…ふーーー…っと安堵の吐息が漏れると、今まで踏ん張っていた足が急に言うことをきかなくなった。

ルナとマホはよろけ、それをマナとルナベレッタがトン…と支える。


 シャレスは今更気づく。

「おおう…!皆様よく見ればボロボロではないですか!?

王宮へお連れしますのでまずはお体の治療を…!」


「そのつもりー!さっ、いこ?ルナ。」

そうしてマナがルナを連れ、ルナベレッタがマホを連れて、入り口で待たせていたラクダに近づく。



「お待たせー!またよろしくねラクダちゃ〜ん♪」




…モゴモグ…

ペッ!



「わっ!?」

ヒュッと頭を下げたマナ。

…あ…と後ろを見ると、ラクダの唾でドロっと頭を濡らしたルナのせつない顔…。


「あらら〜姉さんと同じですね〜♪背中から跳んだからでしょうか〜」


ペッ!

マホもかけられた。

「…うぇえ…そう言えば予もでした…」


皆さんお気の毒…とルナベレッタが思っていると…

ペッ!っと彼女もかけられた。

「…な、何故私まで…」

「「うわくっせえ…!!」」

「…うぷっ…!!」

「「あ!またルナベレッタ吐いたぞ!

こいつこの臭い吐きグセになってやがる!」」



シャレス曰く、

ラクダの唾吐きもひょっとしたらマーキングみたいなもので親愛の印なのかもしれないとのことだ。


 皆仲良く臭くなったところで、二人一組ラクダに跨り、満天の星の下、イウヌポリスの王宮へ戻ってきた。


 まず汚れた躰を清潔にするため大浴場に通された。

…案の定みんなで入ろうと言い出すマナとマホ。

ルナとルナベレッタは猛反対したが、王宮の中で王女と王子に逆らうことはかなわず、皆仲良く入浴となった。

…また、風呂には多くの宮女や従僕がおり、人の躰を洗ってくるものだからびっくり。

ルナベレッタは恥ずかしさのあまり意識がパンクしかけていた。

ギルトにとってはほくほくだった。

なるほどマナやマホの恥じらいの無さはこういった身の上も影響していたのか…とルナはまた見識を広げた。


 風呂から上がると怪我の治療と豪華な食事で饗され、さながら宴のようだった。


 またルナベレッタは“私寝る時は一人じゃないと落ち着かないんです”と提言するも

丸め込まれ、皆仲良く、小屋くらいある天蓋付きベッドで就寝となった。

ちなみに結局一番早く寝落ちしたのはルナベレッタだった。



 その日を境にミイラの軍勢はなりをひそめ、最大の脅威と目されていた古代王の討伐、もとい葬送も、ルナ達の出る幕すらなくイウヌポリスの軍隊によりあっけなく成し遂げられた。争いの最期など案外そんなものである。




 ルナ達の仕事も終わり、帝都に向けて砂漠の帰路を行く。

暑い陽射しの下、ラクダは2頭。

ルナとルナベレッタの二人は静かに揺られていた。


 ふとルナベレッタが話し始めた。

「…イウヌが救われて良かったですね…。ルナ君ももう立派な救世主ですね…。」


「…いえそんな…ベルさんやあの二人が居てくれたからですよ…。」


「…寂しいですね…。あの二人とはもっと一緒に居たかった…。」


「…まぁ、彼らには彼らの、僕らには僕らの役割がありますからね。」




 そう言ってルナは思い出していた。

旅立つ前、宮殿のテラスでやわらかな風を浴びながら交わした、マナとの別れの言葉を。


「ルナ…行っちゃうの…?」


「うん…。帝都では今も、ランス様達が災厄と戦ってる…。少しでも助けにならないと…」


「ルナ強くなったもんねー…」


「まだまだだよ…。これからマナ達の助けも無くなると思うと恐いしね…。

…でも正直、マナは反対押し切って僕達についてくると思ってた。」

ルナは可笑しそうに言った。

「…責めてる訳じゃないよ?立派な決断だ。」


「妾は行きたかったんだけどね… 。

マホは、今は国を空けないほうがいいーって…。

ひっさびさにマホとケンカしちゃった♪

…で負けちゃった!

男の子ってほんといつの間にか強くなるよねー…。」

車輪靴を脱いだ状態だとルナの方がちょっとだけ身長が高い。

その身長差を確かめるような仕草のマナ。


「神様がそう作ったんじゃないかな?女の子を守る為に。」


マナは下唇を指でつつきながら言った。

「口も大っきいしね…思ってたよりずっと♪」


ルナは耳が真っ赤になりしどろもどろとしだした。

それを見て笑い、マナは続けた。

「まだちゃんとお礼言ってなかったよね?

ありがとう…。ほんとに…ありがとう。」


「こっちこそ。先に命を助けてもらったのは僕の方だもの。

…生きててくれて、ありがとう。」


マナはウルっと来てしまい背を向けた。

「…ねえ。…此処に…残って、なんて言ったら…怒る…?」


「怒りやしないよ。

でもごめん。今はまだ、やることがある。」



「っだよね!ゴメンめめしいこと言って!ありがと元気出た!


えいっ」

っとマナは、ルナの胸に十字架のようなアクセサリーを押し付けた。



「??これは…?ロザリオ?」


よく見るとマナも自身の胸にそれを押さえつけている。

「これね、アンク。お守りみたいな物。

これを妾だと思って持ってて?きっと良いことあるから!」


そう言って、ルナの胸に当てていたアンクを自分が持ち、自分の胸に当てていたアンクをルナに持たせた。


「また…会えるよね?」


「…きっと!」

「死んだりしないよね?」


「が、がんばるよ…!」

「ほんとにさよなら?」

「…またね、だよ!」


問答しながら少しずつ追い詰めてくるマナ。

ルナは安心させようと必死に答え続けた。


「…またっていつ?」

「あ…んと…世界が平和になったら!

会いに来るよ!必ず!」

「言ったな〜?♪あんま遅いとマジでこっちから行くからね?」

「が、がんばるよ!」

「またね?♪」

「ま、またね!」

「元気でね?♪」

「げ、元気で!」

「がんばれっ!ルナ!」

「が、がんばっ…」


最後マナは踵を少し浮かせた。




 あの時と同じやわらかな風に、ルナベレッタ達の服がそよいでいた。

「…私、マナちゃんはまた無理言ってついてくると思ってました。」

ルナベレッタがあの時のルナと同じこと言ってる。


ルナは少し笑ってしまった。

「引き止められてマホと喧嘩した〜って言ってました。

あんなに仲良くて、マホだってあんなに大人しいのに、お姉ちゃんを守る為には怒るんだな〜って…

マナもそれをわかって残ることに決めたんじゃないかと…」


「ウフフ♪…きょうだいって良いですね…」


「ええ。本当に…」

そう応えるルナの胸にアンクがキラリと光っていた。



「…あ!そーいえば…!

 ランスにあげたアンクってどこに置いたっけなー」

ゴソゴソ…


おいルナ気をつけろ!マナはアンクを結構配っているぞ!

がんばれっ!ルナ!


【第三章 完】


to be continued


三章おわり(´・ω・`)めでたしめでたしにできてよかった。


四章を楽しみにしてくれる人募集(ヽ´ω`)

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