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【処女作完結】Mobius Cross_メビウスクロス  作者: 阿暦史
【第三章】砂漠と骸と魂の都
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『Mobius Cross_メビウスクロス37:統べる者』

新装備と皆の頑張りで大ボス、スピニクスミイラを辛くも倒したルナ達。

さて、脅威も去ったし帰ろう…


☆登場人物 (この回に出ないのもいます)

·ルナ:主人公の少年。かわいいだけじゃない!!

·マナ:車輪靴を履いて舞う様に闘う異国人。ずっと元気!

·マホ:双剣で舞う様に闘う異国人。普段は、ぽや〜んだが!

·ルナベレッタ:通称ベル。囚われてたシスター。自分を責め過ぎる癖がある。

·魔神ギルト:ルナベレッタの一部に宿り、罪を喰って力を増す鎖翼の異形。

·シャレス:マナとマホを迎えに来た異国人。世話係。


『Mobius Cross_メビウスクロス37:統べる者』



《ファハハハハハハハハ!!

見事見事…》


 !!突然室内に何者かの声が木霊する!!


「「!誰だ!?何処だ!!?」」


《予はエピファネス。

うぬらから見れば遙か古代の王…そして、死者の国を統べる者!

探りは無駄じゃ。

予は神殿の奥深くにおる。

…しかし、予からはうぬらのことがよく見える…!》


 全員で周囲を見回すが気配は無い。

ギルトとルナベレッタが見つけられない辺り言っていることは本当らしい。


ルナが問う。

「…その古代王が今更僕達に何の用だッ!?」


 《ファッハッハッハ!…なに、うぬらは見所があるゆえ直接いざないとうなったのよ。

予は求めておる。うぬらのように若く強く、美しいミイラをな…!》


マナが応える。

「ミイラにされかけた身としては…!ゼッタイ、イーヤッ!!」


《フフ…そう!そちよ、そち…!

マナとか申したのう…。美しい…妃を思い出す…。

そち、おそらくは予の子孫じゃろう?

そちは、特に丁寧に処置してやろう…。》

古代王は気味悪く嬉しそうにそう言った。



「うえっ!!…どこの時代に、孫をミイラにしようなんて輩が居るのよっ!!」


「…姉さん…エピファネスの時代には居るってことでは…?」


「あそっか…」



《…うぬらに一つ言っておく。

ミイラは悪いものではないぞ?

一度復活してしまえば、壊されぬ限り朽ちることの無い肉体…!

魂は不滅…!

予の配下として永劫の幸せをくれてやろう!》



 マホは強気に返答する。

「内臓を抜かれて、脳まで抜かれて…

例え魂が有っても心が無きゃ幸せとは言えないです〜っ!」


《クフフ…そちも麗しい…。

なに…成ってみれば理解る…。

ハラワタを抜かれ、脳を抜かれたのち、予の脳にて呪法をかけられればもう逆らえん…

悩みも痛みも無く、漠然と予の命を遂行することが幸せになるのじゃ。


全人類をミイラにし、争いの無い世界を築く!


予と共に来い!強く美しい我が子らよ!

うぬらが加われば夢の実現も近くなろう…!》




「…悩みも痛みも無く…争いの無い世界…」

 ちょっと揺れるルナベレッタ。


「「おいルナベレッタ!

お前なに揺らいでんだ罪深い女だな!」」

「ひっ…も、申し訳ありません…」


 「「おい古代王とやら。

人間はな、一人一人悩むからかわいいんだ。独りの思考のもと皆が悩まないような生き物なら…神はそんな物一瞬で見捨てるぞ。

世迷言言ってんじゃねえ。」」


《黙れ。気色悪い寄生生物め。

ミイラとなるのはその美しい娘だけでよい。

それなぞ早々に切除してスカラベの餌にしてくれるわ。》


「「ああんテメッ…!ミイラの分際でこの俺を気色悪いだとテメコラッ…!!」」


 鎖をいきり立たせるギルトの前にクロスを持つ手をかざして諌めるルナ。

「いいぞ。やってやるよ…来いよ古代王…!」


「ルナくん…?」

「ルナ?!…ちょっ…!」


 ルナは敵との連戦でゾーンを超えてトランス状態に入っていた。

ここまで来たら親玉をぶっ潰してやる!と三度闘魂を滾らせる。


《フフン!予がうぬらの前に現れる道理があろうか…。

高みより見物するのみじゃ…。

もし、予のもとに辿り着けたら相手をしてやろう…ファハハハハハハ!》



それを聴いてルナは、今まで睨むように見上げていた目線をゆっくり下げ、見下しながら言った。



「上等だ…目星はついてる…。


覚悟しろ…!古代お

うへッ」

突然マナに頭を叩かれた。





 「おバカ言わないの!帰るよ!」


「…え?帰る…?」

《なぬ?!帰るじゃと…?!》


「あったりまえじゃん!」


「ここまできて…?」

《何故じゃ!?

うぬら気迫に満ち満ちておったじゃろうが!?》




「…つかれた!!」

マナはバッサリとそう言ってそっぽ向いてしまった…。



あらら…顔を見合わせる他メンバー。



「…あの…私はマナちゃんに賛成です。

皆無事ですし、無理することはないかと…」

ルナベレッタが意見を述べるとマホも…

「姉さん言い出すと聴きませんから〜…仕方ないですよ〜。」


ルナは納得、とまではいかないが…

「うーん…帰るか…?

うん…そうしようか…。」

皆の言い分に血気を抜かれてしまったようだ。




《ななな…!何を拍子抜けな…!

みすみす帰らせはせぬぞ!?》

古代王も必死だ。


マナは呆れて返す。

「もぉー…古代おじいちゃんもさぁ、孫に帰って欲しくないのはわかるけど、妾たちも疲れたのっ!

今度また来てちゃあんと弔ってあげるから。」


《こ…古代おじいちゃん…?;?》



「じゃ。バイバーイ。」

「あ…お邪魔しました〜。」

 マナがスイスイ歩いていき、マホもぴょこぴょこついていく。

ルナベレッタは軽くお辞儀をして踵を返し、ルナはこれでいいのかなぁ…と首を傾げて皆のあとを追う。



 《うおい!待て待て!!どの道うぬらに選ぶ権利は無い!

聴くがいい…!うぬらがスピニクスを屠った瞬間、ミイラどもに神殿の入り口を封鎖する命令を発した!その数…隊長ミイラ百ッ!兵士ミイラ千ッッ!!ファハハハハ!逃しはせぬぞ!必ず予の物とする!おい聴けッ!!》


スタスタ出口に向う4人。

 ふとマホが立ち止まり、振り返って古代王に訊く。

「あの〜…古代おじいちゃんの夢はみんなをミイラにすることなんですよね?」



古代王の声が少し明るくなる

《おお…!かわいい孫よ…そうじゃ!そうじゃとも…。》



「…それって、淋しくないですか?

友達いますか?怒ってくれる人…いますか?」




《…予にそんな物は要らん。…要らぬという覚悟が要るのじゃ。

世を統べる者とは、そういう者じゃ…。》


「…でも…予は…予はね…?」



「マホー!何してんの行くよー!」

マナが先頭から呼びかける。


「あ、はい今行きます〜!

…とにかく古代おじいちゃん!もし淋しくて甦ってるなら、予たちは見ての通り元気なので、安心して寝てていいんですからね〜!」

…そう言ってマホは部屋を出ていった。



《…淋しく無いと言うておるじゃろに…。

お主は予の傍に置いてやるからな…マホ…。》





マホが皆に合流する。

「遅くなりました〜!」


 マナが皆に声をかける。

「さあ!これから古代おじいちゃんの熱烈な見送りあるよ!がんばろー!」


ルナやギルトももう一踏ん張り。力を入れ直す。

「ミイラ千体…か…」


「「雑兵は俺に任せろ。隊長はお前ら抑えろよ。」」


「勿論。マナ、マホ、まだやれるかい?」


「おかげさまで!ルナより元気だよ?♪」


「予もやれますー!」


 皆元気満々!…というわけにはいかないが…生きる為にはやるしかない。

不思議とこの4人 (と一魔神)なら負ける気はしなかった。

遺跡出口へ向う坂道、徐々に外のあかりが入り込んでくる。

4人は互いに目配せしてウンと頷き、意を決して外に飛び出した…!


to be continued


負けたらミイラエイジが来るかもしれません。

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