Mobius Cross4:祈り
無能力だったので不採用です。
世知辛い世の中ですね…。
登場人物
·ルナ:主人公の少年。かわいい。
·シャハネさん:美人のお姉さん。一緒にお風呂に入ってくれる。
·ランス:主人公の救世主。銀髪のイケメンでちょっとツン。
…
「__ハァッ…ハァッ__! グッ…!」
…絶体絶命だ。
いや、シン(能力)が覚醒めなかった…とか、
救世主に入居拒否された…とか、
そんな生易しい逆境ではない…
「「罪ヲ……罪ヲ喰ワセろオオオ!!」」
化け物に追い立てられている…!
___ギャララララ___!
巨大な鎖が地を掻き毟る…
___バキャアッ___!
巨大な爪が床や椅子を破壊する…
間一髪…間何髪目だ…!
死ぬ…あたったら死ぬ…
こんなのが襲ってくるなんて…
罪を喰らう魔神…!!?
そんなものが“彼女”に憑いているなんて…!
_ゴッ!
「ぅわッッ!!?」
巨大な鎖に躓き、ついに僕は魔神の巨大な腕に捕まってしまった。しかも掴まれたのは、頭。
絶体絶命中の絶体絶命。
頭蓋骨が悲鳴を上げる。
…くそう……こんなところで………なんて無力で馬鹿なんだ…………せめて……………
ルナは祈った。
…救世主に恩返しがしたかった…
…シンの力が欲しかった…
…死にたくなかった…
…いや…
…そんな贅沢言わないから…
……“彼女”だけでも救いた…い……!
グシャァ
✝∞✝
『Mobius Cross4:祈り』
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あの時…諦めて帰っていればこうはならなかった。
洗礼を享け、神判が下ったあの時…
神に選ばれなかったあの時に…
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入居拒否。救世主から直々に。
「無能力者にできる仕事なんて此処にはねえ。」
「そんなランス様…。おいてあげませんか?」
「ムリだムリ。かわいい女ならともかく。」
「ええ〜。。かわいいですよ…?」
「女どこいった」
メシア教会、ランスとシャハネが、一頻り二人でむつごとを交わしたあと、ランスがルナに向かって投げかける。
「まあそういうことだ、諦めろ。
ついてくるだのは知ったこっちゃないが、宿や飯は自分の力で工面しろ?
助けに来た相手に頼りっきりじゃ意味無いだろ?」
シャハネもあらたまってルナを励ます。
「ご足労頂いたのに御期待に添えず申し訳ございません。ルナさんの今後の御活躍を、心より御祈り申し上げます。」
「…ふにゅぅ…」
ぐうのねも出ないかわりに、自身もびっくりするほど情けない声が出た。
ルナは、とぼとぼと聖堂を後にしたのだった。
…
次の日は爽やかだった。初夏の鮮やかな空の下
「さて、行くか。」
ランスがふらりとどこかへ行こうとしていると、
シャハネが見送りにやってきた。
「行ってらっしゃいませ。本日はどちらへ?」
「ちょいとあの娘を口説きに、な。」
「ぞっこんですねぇ…」
心配そうな表情でシャハネが続ける。
「救えそうですか?」
「わからん。」
「せめてお二人を待った方が…」
「シャハネさん。二人が討伐に出てくれてるおかげで俺は決め手を探せるんだ。
それにこの件は俺が。俺自身がなんとかしたい。」
「ランス様…。わかりました。どうか今回もご無事で。」
「ああ。いつもありがとう。シャハネさん。行ってくる」
そうしてランスが教会の扉を開いて外に出ると、
「…何してんだお前」
そこにはルナの姿があった。
さも「門兵3年目です!」みたいな雰囲気で立ちはだかっているものだからついランスも声をかけてしまった。
「あ、おはようございます!夜の見張りをしてました!」
「寝ずにか」
「はい!」
「寝ろ」
スタスタと歩き出すランス。目を輝かせながらルナはついてきて
「お出かけですか?お供します!」
…これはどんなに拒否してもついて来る類の人間だ。。
ついてこさせない為には滅すしかない。が、流石にランスもそこまで悪魔ではないので諦めるしかなかった。
「めんどくせぇ。。邪魔したら、ママに言いつけるからな。」
「その母が生きているのも貴方のおかげなんです…どうか恩を返させてください。」
その返しには若干の感慨をおぼえつつ、ランスは尚もついてこさせたくなかったので突慳貪な態度を崩さない。
「糞真面目なのはいいが相手を胸焼けさせないように注意しな。」
「見張りをしながら災厄の魔物の情報を集めておきました!ご参考になれば!」
ルナは糞を肥えて土真面目だった。
ランスは呆れ果てて黙っていたが、ルナにとっては好都合で仕入れた情報をペラペラと列挙しだした。
狼男に吸血鬼、人造怪人、蛇女にミイラ男、人を石に変える魔物、実は皇帝が魔物、悪魔に取り憑かれた人々等々、
眉唾なものも多かったが、ランスの調査と合致するものもあり、案外こういうのが決め手に繋がったりするのかも知れない。
諜報員…悪くないかも知れない。と思ったランスだが、同時にある事を思い出した。
「なんでお前シンが無いんだろうな」
今回はランスに悪気は無かったが、それを言われるとルナも黙るしかなかった。
自分が一番訊きたい。
無いモノは無いは世界の真理だと理解している。納得はできていないが。
「シンってのはな、自分を映す鏡である事が多いんだ。
思想、意志、宝、罪やトラウマなんかもな。」
冷静に。穏やかに。神父が子供に教訓を説くようにランスは語る。
「それが無いってことはお前…
シャハネさんでやらしいことでも考えてたんじゃねーの?(笑)」
ど鋭角に投げ込まれた言葉にルナの沈んでいた心が一気に波立つ!
「な!な!な!そんなっ…ことは…」
「…考えたのか…」
否定はできないが…。もし本当にそれが原因なら自業自得な上に情けなさ過ぎて涙が出そうだ。
「申し訳ございません!!少し…考えてしまいましたっ!一生の恥っ!ああっ!僕はどうすればいいのでしょう!バカだバカだバカだバカだ」
発狂しているルナに対して、ランスはこう言った。
「バカかお前。
助平な事考えるのが悪い事なわけねーだろ。」
「え?」
呆気にとられるルナ。
ランスは続けた。
「いいか?
性欲は人を幸せにする為の物だ。
性欲で人が不幸になってはならない。
欲が悪なんじゃない。欲に負ける精神の弱さが悪なんだ。
欲を育てろ。
そして欲を制する精神を育てろ。
それがお前のめざす強く正しい人間だ。」
「おぉ…救世主様…」
ルナは救われた気がした。
「欲をもっと育てろよ?」
「はい」
「精神も育てろよ?」
「はい」
「だいいち、あのシャハネさんに対して欲情しないのはそれはそれで失礼だろ?」
「はい…」
「シャハネさんは可愛いし、Hだ。」
「はい…?」
「お前もいつかとんでもなくHなシンが目覚めるかもしれないぜ」
「え?」
「あっ…しまった…」
話し込んで下町まで来たところでランスは何かを思い出したようだ。
「どうかされましたか?」
「お前に、弟子としての初任務を下すぞ。」
「!?、何でも!お申し付け下さい!」
「よし。飯買ってこい。」
to be continued
現実ではこんな無茶なことしたら前科がつきますから真似しやダメですよ☆
でも、不採用でも諦める必要はありません。
できることを仕事に。やりたいことを趣味にできればそれは幸せな人生と言えるのではないでしょうか。そっちのほうが幸せ…まであると私は思います。
ありがとう…今の状況…ありがとう。
頑張って恩返しするよ…!