『Mobius Cross_メビウスクロス29:ミイラの軍勢』
マナ達はイウヌポリスに戻ってきました。
お話も脱線から戻ってきました。もう安心です。
☆登場人物 (必要そうなの抜粋)
·ルナ:主人公の少年。かわいいだけじゃない!
·マナ:車輪靴を履いて舞う様に闘う異国人。元気。
·マホ:双剣で舞う様に闘う異国人。ぽや〜ん。
·ルナベレッタ:通称ベル。囚われてたシスター。自分を責め過ぎる癖がある。
·魔神ギルト:ルナベレッタの一部に宿り、罪を喰って力を増す鎖翼の異形。
·シャレス:マナとマホを迎えに来た異国人。世話係。
『Mobius Cross_メビウスクロス29:ミイラの軍勢』
砂漠が終わり、踏みしめる大地に岩や草木が見え始めた頃、黄色い町も見えてきた。
「おぉ〜!妾たちの宮殿も見えるー!」
異国情緒溢れる屋根屋根に囲まれた都の中心に、巨大な王宮が聳えている。
あれがマナ達の家だなんて信じ難い…。
そして、荒野に面した国境の町は、長い塀で囲われていた。
ミイラ達の侵入を阻むためだろう。
シャレスは皆に言った。
「ミイラ達は国の南側からやってきます。ここから近い東門へ向かいましょう。
門は堅牢に閉ざされていますがご安心ください!
秘密の合言葉で!
門兵が開けてくれる手筈なのです!
皆さんもゆめゆめ忘れないようにしてください?
『アーブラ·カターブラ·ヒラケ·ゴマ』
!」
そうして一行は東門前にやってきた。
シャレスが前へ出る。
「では皆さん!
私がやって見せますのでとくとご覧下さい!」
シャレスはまず
「…シャレスだ!王子達を連れて只今戻った!門を開けよ!」
と言った。門からは返事が無い。
するとシャレスはしたり顔で振り返り、指でチチチとマイムした。
そして…
「おほんっ…アーブラ…!」
「…」
なるほどかけ合うタイプの合言葉のようだ。
門はまだ静か…シャレスは続ける。
「アーブラ…カターブラ…!」
門は無反応。シャレスは首を傾げる。
「アーブラ…?カターブラ…!?…ヒラケ…!??
…ゴマ??!!…」
自分で最後まで言った…
が、門はうんともすんとも言わない…。
首を水平になるまで傾けているシャレス…。
「誰も居ないんじゃない?妾開けてこよっか。」
言うが早いか、マナはラクダの背を蹴って跳び、トン、トン、トーンと門を駆け上がっていってしまった。
「あ!マナシス様!…ああ…行ってしまわれた…。」
「はは…自由ですよね。マナ。」
「全く…どんな壁も王女を阻むことは出来ません…。
閉じ込めることも…。」
門がギギイと開き、マナは明るい顔で出てきた。
「いらっしゃ〜い♪ようこそ〜我が国へ〜!」
するとその顔にベとっとラクダがつばを吐いた!
「!うっわくっさ!!!最悪〜!
ごめん蹴ったのは悪かったよぉ…;」
「姉さん今イウヌはお客さん招ける状態じゃありませんよぉ…;」
「ごめーんそーだったね〜;;」
中に入り、様子を覗う。
門の見張り台、民家、商店…何処を見ても、人の気配が無い…。
「どうなっている…?
おい!誰かいないか!…」
さらに声を張ろうとするシャレスをルナが止める。
「待って…!普通じゃない…」
メリッとルナベレッタの背中からギルトの瘤が生える…!
「「ルナベレッタ…」」
「…はい…何か聞こえます…。これは…
戦いの音…!」
マナが訊く。
「どっち!」
「あっちです!」
ドヒュンッ
とマナはまた一人全速力で駆けて行った…!
皆はラクダで後を追った!
…
東の町の中央広場、
そこでは市民兵とミイラ軍が激しい戦いを繰り広げていた!
兵士の木の盾が割れ、槍で向かっていく!
「うわあああ!!化け物めえ!!」
ザスッとミイラ兵の腹を串く…!
ミイラはぶらん…と力尽きた…
兵士が安堵したのも束の間、ミイラはグワッと槍の柄を掴み進んできた!
余りの恐ろしさに槍を手放し尻餅をつく兵士、あわや…!
ドガッとマナの跳び蹴り!
ミイラは吹っ飛ばされた。
槍が抜け、腹に穴が空いているが意にも介さずただ迫って来る…!
「…妾の国でさ…好き勝手しないでくれる…!」
スパッスパッスパッ
目にも止まらぬ回転蹴りでミイラは、足、腰、胸、と両断され、最後に力強い一発でバラバラと輪切りになって散らばった。
「お、王女様?! (臭い…)」
「ハァイ♪頑張ってるね!助けに来たよ!」
挨拶してすぐ、次の兵士を助けに滑り出すマナ!
そして他の兵士のピンチには…
けたたましいラクダの足音!
メビウスクロス、チェインソードを抜き、ラクダの背からジャンプ!!
ミイラを蹴散らして参戦するルナとマホ!
ミイラ達から知性は感じられず、身体は弾力が無いぶん脆く、心臓を破壊するか、動けなくなるまで分断すれば無力化できる。
3人は次々とミイラを倒していくが、かなりの数だ。
少し遅れて駆けつけたシャレス。
「馬鹿な…もうこんなところまでミイラ軍が…」
その後ろから、ラクダを降りたルナベレッタがゆっくり戦場へ歩み寄っていく。
「べ、ベル殿…?危険では…
ひっ…!」
ルナベレッタの背中から巨大な灰色の肉と鎖の翼が隆起していく…!
「「フン…ちまちまと何をやってる…」」
「…死して尚苦しむ…哀れな者達…」
「「贖罪の心すら亡くした無価値な亡者ども…」」
「魔神の力で…」
「「その骸に…」」
「「断罪を!」」「救済を!」
魔神の翼が勢いよく広がる!
ギャラララーー!
と8本の巨大な鎖が乱舞し、ミイラ達を粉砕していく!
「危なっ!…ベルつよっ…!!!」
避けなければ味方にも当たる容赦無い攻撃。
敵の数が見る見る減る。
ギルトは攻撃の質量、威力、範囲の面で他を圧倒していた。
こと多人数戦においてその戦力は計り知れない。
ルナベレッタが鎖の嵐の中心でただただ気に病んでいる間に、広場の鎮圧は完了してしまうかに思われた。
が、
ヒュンヒュンと鎖をかい潜り、ルナベレッタに迫るミイラが出現!
他のミイラよりも丁寧に布が巻かれた身体、額には鉄甲と頭巾…
「「…隊長格か…!」」
ギルトは鎖を標的に収束させる!
ガシャン!と鎖同士がぶつかるが、隊長ミイラは打ち漏らした蚊のようにすり抜け、
手に持った剣をルナベレッタに振るう…!
ガッ!とギルトがルナベレッタの左手を魔神化させ、爪で止める!
そしてルナベレッタの後方から走ってくるマナ
「ベルしゃがんでっ!!」
「?!はい!」
ルナベレッタが屈むと、その両翼の間を跳び蹴りの姿勢のマナが飛び越していった!
ドシュンッ!と隊長ミイラの腹に蹴りと刃が突き刺さるが、ミイラは膝を曲げてザザリと踏ん張り、マナの蹴り足を掴んだ。
「おっとと…!」
勢いを止められ軸足を地に降ろすマナ。
「そんなことで妾を止められると…」
言おうと思ったその時、マナの足が刺さる隊長ミイラの腹部の布が うじゃりと波打った。
「ひゃっ…!」
短い悲鳴が出た直後、ブツッと足に痛みが走った。
同時にボトボトボトッとミイラの裂けたハラワタから何かがくねり落ちる…!
「「!!気をつけろッ!!」」
ガシャアンと鎖で跳躍しルナベレッタを退避させるギルト!
「「蛇だ!あいつ…腹に毒蛇を飼っていやがる!」」
「待って…!マナちゃんがっ…!」
マナは様子がおかしかった。
いつものマナなら、噛まれたとてすぐに反撃し離脱しそうなものだが、今は腰くだけて倒れ、肩をこわばらせ忌避の声を上げ逃れようとするだけ…
離れて闘っていたルナが叫ぶ。
「どうしたマナッ?!」
それに対しマホが言う。
「マズイです〜!姉さん蛇が苦手なんです〜!!」
あら意外。
「マナちゃん鼓動を落ち着かせて!毒が早く回るわ!」
ルナベレッタとルナとマホ、それにシャレスが助けに寄ろうとする。
すると今度は、どこからか中型動物の蹄の音が大量に聞こえてきた。
「な、なんだ?」
広場の向こうから大量のガゼルのミイラが引くチャリオットが、すごいスピードで走ってくる!
隊長ミイラはマナを担ぎあげると、そのチャリオットに飛び乗った。
「く!趨れ!クロス!」
ルナが飛ばしたクロスは隊長ミイラに打ち落とされ砂の地面に突っ込んだ…。
「そんな…!姉さんッ…姉さーーーん!!!」
to be continued
マナ、攫われる!
次回めっちゃピンチになります。ミイラに捕まったらどうなるか…




